第5話 どうなっている?結局そうなるのか。

引芹


「へえ。現実でそんな事が起きるのね。」

「みたいだな。俺も今日始めて知ったよ。…それに身をもって体験したしな。少しとはいえ。」

「本当に可愛いわね。その顔。」

「俺も好きでなったわけじゃない。」

「まあ、それもそうね。…先、お風呂入っちゃってもいい?」

「あのな姉貴、何度も言うが、わざわざ聞かなくてもいい。先、入ってくれ。」

「ありがと。分かってるわよ。」

「分かってるなら聞かないでくれ…」

もうこのやりとりを何度した事か。面倒くさいから、いい加減にしてほしい。

…それにしても、今日はいつもより疲れた。似榎磐のからみが、普段に比べて数十倍ウザかった。出来る事ならあのウザ絡みはやめて欲しい。

ってか、寝るのがトリガーなら、今日の夜寝るの不味くないか?この女体化の効果(?)がいつまで続くか分からないし…とりあえず、今日寝るのは避けよう。明日に解決方法が見つかるかもしれないし。明日見つからなかったら…知らん。明日の事は明日考えよう。

…プルルルルル。電話が鳴った。相手は巳環だ。俺はスマホを手に取ると電話に出た。

「どうした?俺だが。」

「やあ、引芹くん。僕だよ。」

…は?

「…どちら様ですか?冷やかしなら似榎磐さんの所へどうz…おい待て。まさか…」

「そのまさかさ。家について、気が付いたら寝てしまっていてね。」

「バカかよ…」

「こればっかりはバカとしか言いようがないね。…それはそうと今出れるかい?」

「? ああ…出れるが…何でだ?」

「いやね、伝えたい事があって…」

「それ今伝えればよくないか?」

「それじゃ面白味が無いだろう?」

そういえば、こいつはこういう奴だった…

「はあ…なら明日学校で伝えてくれ。」

「…分かったよ。それじゃ。」

残念そうに言いやがって…まあ今聞く気は無いが。

「ああ。また明日な。」

そう言い、電話を切った。

あいつ…バカかよ…ってかお前じゃねぇか。寝る事がトリガーとか言ったのは。何でその本人が…まあ、なってしまったものしょうがない。もうどうしようもない。なので、それは置いといて。

さて。今日の夜、どうやって、オールするかな…案としては、本や動画だ。ってかそれしか思いつかないからそうするけども。

そしたら本を選ぼう。えーっと、てきとうに…このシリーズ、というか長編だな。『ヶ原がはらティアリス』さんと『八雲 もも』さんのタッグ作品である『欺き、確かめ合う。』。ちなみにこの二人は有名な作家だ。

そういえばこの作品、最近ドラマ化が決定したらしい。主演は、ここ最近売れている『文之山好実ふみのやまこのみ』さんと『灘上川椿なだかみがわつばき』さんのこれまたダブル主演らしい。興味は無いが。よくテレビで宣伝しているからな。

まあ、これでも読み終わったら動画でも見てればいいか。

今は漫画でも、よんで…よう…




「ちょっと!…!」

…あ…れ…

「起きなさい!」

はっ。

「寝ちゃってたみたいだな。…って寝ちゃダメじゃん!ちょっ、俺何か変わってる?」

「んーと、まず一回立ってみて。」

俺はソファから降り、立ち上がる。

「んーとまず、髪が少し伸びてるわね。可愛い。」

「その情報は要らん…それで?」

「ちょっと背が縮んだ気が…あと心なしか声が高くなった気がするわね。」

「何でそこまで分かるんだよ。」

「そりゃあお姉ちゃんだもの。当たり前でしょ?」

「当たり前なのか…」

「ええそうよ。」

姉ってものも良く分からん…

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