第4話 皆、寝過ぎだな…

引芹



 というか、俺はこの女顔のまま生きていくのだろうか。 それならいっそ女になった方がマシだ。勿論、出来ることなら男に戻りたいが。ここまで男として生きてきたのに急に女をやれも言われてる無理がある。そもそも、女っていうのは大変な事が多い。多分。それは傍目から見ても分かる。別にガン見してるわけでは無い。世間の一般論、的にだ。果たしてそれが本当の一般論かどうかは知らないが。そもそも一般論というのすらどう定義していいのかすら分からない。世論は結局のところその人それぞれの感性に基づいている、と俺は思っている。正解は複数ある、という奴だ。

 ガラ、と音を立ててドアが開く。巫先生が戻ってきた。

「…えー、今日の件だが、原因は不明で調査中との事だ。元に戻れるかどうかは分からない」

「ホントですか!?」

「ああ、授業は終わりだ。帰りの支度でもしておけ」

 そういうと、また音を立ててドアが開く。巫先生は教室から出て行った。

「俺このままなのかよ!」

 こういう奴もいたが大半は、

「女になれて良かった…」

 そんな奴が多かった。どうなろうと知らん。俺は知ったこっちゃない。

「なあ、ヒッキー。俺、可愛いよな?」

「さっき自分で可愛いとかほざいてなかったか?」

「そうなんだけどさ、一応確認だよ」

 知るか、寝言は寝て言え。戯言は戯れて言え。

「あっそ、勝手に言っとけ」

 そう言い、似榎磐を放っておいて帰りの支度を始めた。

「は~い、座って下さい。これから帰りのHRを始めますよ~」

 E組の担任である子会理しえり先生がそう声を掛ける。親しみを込めてしえ先生の愛称で呼ばれてるらしい。らしい、ということは少なくとも俺には関係ないということだ。別に仲良くもないしな。偶に居るだろう、謎に生徒と仲の良い教師。子会理先生はそういうタイプの教師だ。俺には縁のないタイプ。いや、俺の方から縁を絶っているのかもしれなかった。

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