第2話 一時の別れ、そして新たな出会い
──二週間後
地球に降り立ち2度目の調査が行われようとしていた。
前回の目的は地球への環境適応、大まかな地質調査、調査から得た情報から地球シミュレーションを実践化するためだった。しかし、今回からは本格的な地球調査―—海の痕跡の探索。並びにこの環境に適応し進化した生物の捜索。未知の物質の調査、採取——が始まる。
今回はもしもの時に備え、ユーカを含む医療技術班3名が同行することになった。
「いいか。ここから座標〈25,14,73〉までざっと10時間くらいだ。目的地までかなり起伏の激しい地形が続く。まず、第一小隊が出発し……」
ラウドさんから部隊編成、作戦要項が伝えられた。各々武器や器具を持ち、自身の持ち場へ向かう。俺も自動小銃、ナイフ、採取キットを持ち自分の持ち場へ向かった。
今回の調査は全三部隊で行われる。一小隊につき機動隊4人、医療技術メンバー1人の構成になっている。俺は、ラウドさん、先輩であるカイトさん、ザックさん、医療技術メンバーのユカリさんの第二小隊に配属された。どうやらユーカは第一小隊のようだ。
「おいおい。ユーカちゃんが寂しそうにこっち見てんぞ〜」
「カイトさん、やめてくださいよ…」
「手ぇぐらい振ってやれよ〜ユーカちゃん地球降りるの初めてだろ?緊張してんだよ。」
まぁ確かに俺も最初は緊張していたな…手ぐらい振ってやるか…
そう思いながらユーカに控えめに手を振った。それを見たユーカは満面の笑みで手を振り返してきた。
今ので緊張ほぐれた…のか……???
そう思っていると横からにやけ顔でカイトさんが
「よくやった旦那」
と囁いてきた。
数分後、第一小隊が出発の合図を出した。手を振って送り出した。案の定、カイトさんはニヤけていた。
* * *
第一小隊を見送ってから2時間後、俺たちは砂嵐のど真ん中にいた。
砂埃が酷く数10メートル先までしか見えない。事前に地球周辺に小型衛星を設置しており、第一小隊のGPS反応を頼りに後を追うことができた。その間地面や風の流れなどに注意を払い、調査を進めていく。
ここで急にザックさんが足を止めた。ザックさんはこの事態を想定し、赤外線ゴーグルを持ってきていた。
「どうしたザック。何かいるか?」
「いえ、生物ではないと思います…3時の方向に人工物と思われるものが」
「距離は」「およそ320メートルです」
その短いやり取りから俺たちはすぐさま進路を変更した。
俺はすぐに自動小銃を手に取った。カイトさん、ザックさんも警戒態勢に入る。じりじりと目標物との距離が縮まる。砂嵐の激しさはより一層激しくなり、油断しているとよろけてしまう程にまでなった。その中をひたすらに進む。
200メートルも進むとやっと目標物が肉眼ではっきりと捉えられるようになった。
「これは……っ」
そこにあったのはまるで小型宇宙船のようなものだった。それも、
俺たちは20メートル程離れた場所で待機し、ラウドさんとユカリさんが慎重に目標物に近づいていく。ザッ…ザッ…と砂を踏みしめる音が砂嵐の中でも伝わってくる。
ユカリさんが警戒しつつ目標物を覆う砂を払っていく。砂が払われていくにつれ、鼓動が早まっていく。その時だった。
「…っ!!」
ユカリさんが音にならない声を発し、全身を震わせた。すかさずラウドさんが駆け寄る。目標物を覗いたラウドさんの動きが止まる。しばらくして、その口が開かれた。
「……人間だ」
* * *
俺たちは第一小隊と第三小隊に救援信号を送り、目標物の調査を続けた。
どうやら、これは旧時代の小型宇宙船で間違いないようだ。資料でよく見た流線形のフォルム。その中を覗くと人間がいた。まだ生きているのか、胸が微かに上下に動いている。俺はこの人間に少しの不安感と多くの好奇心を抱いた。
砂嵐が弱まり、視界も若干回復してきた。救援信号を送ってから数分後、全小隊が集まると宇宙船を片目に計画を立て直した。
第一、第三小隊から機動隊が1名ずつ加わり、宇宙船を拠点まで持ち帰った。第一、第三小隊の残りは調査を続けることになり、今拠点にいるのは第二小隊と機動隊の2人、元々拠点にいた複数名だ。
ユカリさんは拠点に着くなり医療技術班を集合させ、宇宙船の詳しい解析、乗っていた人間の容態確認に取り掛かった。
——あとがき——
2話まで読んでくださりありがとうございます。
この話で1番悩んだのが数字を英数字、漢数字表記のどちらにするかです。どうでもいいかもしれませんが小隊番号には漢数字。その他には英数字と使い分けました。はい。それだけです。
もっとこここうした方がいいなどの感想も大歓迎ですので、たくさんの評価お待ちしております。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます