第19話 好み
鍛え抜かれたアスリートの肉体は美しい。日々の鍛練が彼らの肉体を作り上げる人間国宝と呼ばれる職人の技には「神」が宿る。これも日々の修行の賜物だ。逆に、体の不調にも必ず原因がある。
追突されたときの影響で、ムチウチの治療を続けている。月に一度、接骨院で施術を受けているが、いきなり首の状態を診ることはない。上腕部や肩甲骨の下、背骨の周辺部などをほぐした後に脛椎を整える。
腰を痛めたときは、足の指先からだった。筋肉や腱、さらに東洋医学で言う「経絡」のつながりを考えながら体全体を整える。専門的なことは分からないが「遠いところからほぐす」という言葉は印象的だった。
目的を遂げるために周りの障害を取り除くのが「外堀を埋める」。戦国時代の城攻めで使われた方法の一つだ。直接攻め込まれてはいないが、気がつけば防御の力を奪われてしまう攻め方でもある。
接骨院の施術も、「外堀を埋める」方法で行われているのかもしれない。痛みの小さい部分を少しずつ治していけば、そことつながっている大きな痛みも楽になる。患部だけでなく、体全体の健康が大切なのだ。
読み応えのある小説は、何度読み返しても飽きない。特にお気に入りの場面を読み返すと、伏線となっていた前の場面が改めて気になる。伏線で「外堀を埋める」文章が、自分の好みなのかもしれない。
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