はじまり
その日は十三日の水曜日で、僕はカレンダーを見ながら金曜日だったら、丁度ホラー映画の題名になるのになぁ、とぼんやりと考えていた。もう九月も終わり賭けだと言うのに、まだ八月の様に熱い。しかし窓から吹いてくる風は、確かに少し肌寒かった。
退屈な授業が終わり、帰りのホームルームも終わり、もう帰るぞ、と言うで山中達に残る様言い渡された僕達は、適当に各自暇を潰しながら教室に残っていた。橋本先生は風邪か何かで、学校に来ていなかった。
水曜日は毎週早帰り日で、何らかしらの大会を控えた部活以外は全て休みになる。窓の外で走っている野球部員を他にして、学校の中には僕達しか残っていなかった。
僕達は何だ何だとぶつくさ言いながら、席に座って各自好きな事をしていた。教室の中には、不思議な事に、皆森、山中、トレンディ、ヨッシー、そしてサンチュが教室から姿を消していた。
何か嫌な事が起きる気がした。
その不安を払拭するかのように、羽川と他の男子と共に漫画の話で盛り上がる。羽川が今季一番お勧めのアニメについて熱弁をふるっていた時、がらりと教室のドアが開いた。
居なかった五人がドアの向こうから姿を現す。そして五人は列を成すと、教壇の前に静かに立った。全員が無表情だった。その表情の中心で、ぎらぎらと光る瞳が異様だった。特に皆森は取り立てておかしく、何時もだったらすっと芯の通った背筋は弧を描き、美しい笑顔を見せるその顔は、俯いた髪の中に隠れていた。サンチュが開かれた窓を閉め、
何かが起ろうとしていた。
クラス中がその五人に注目する。列の中心に居た山中が、ゆっくりと口を開いた。
「今日皆に伝えなきゃいけない事があります」
山中の静かな声に、クラスが少しざわついた。トレンディとヨッシーが、黒板の前に、授業で皆で動画を見る時に使う、ホワイトボードの様な白い紙を黒板に貼り付けた。僕は横に座っている羽川を見た。羽川も、困惑した表情で僕を見返す。静まり返る教室の中で、山中は静かにレコーダーを教壇の上に置いた。
「今、このクラスでは虐めが起っています」
山中の一言でクラスがざわつく。山中はクラスを見渡した。
「虐めにあっているのは、皆森さんです」
クラス中の視線が、一斉に皆森の元へ集まった。視線の中心で、皆森が黙って俯く。囁き声で教室が揺ら揺らと揺れた。皆森は静かに下を見ていた。
「皆森さん、大丈夫?」
と、山中が小声で囁く。皆森は静かに頷いた。そして皆森とぼそぼそと少し会話をすると、山中は顔を上げた。
「皆、これを見てくれたら、事の重大さが分かると思う」
サンチュが皆森の肩に手を置いた。皆森が震える指先で、ゆっくりと制服のシャツを下から捲る。皆森の透き通るような肌が見え、どきりとした次の瞬間、僕の心臓は止まった。
彼女の腹、丁度へその上辺りに、大きな痣が出来ていた。その痣と言うのが、尋常では無いぐらいに酷かった。
大きな痣は、殆ど血の塊の様な紫色をしていた。それが一つではなく、数えきれない程大量に、そして大小様々に、彼女の腹を覆っていた。そして治りかけた痣も、黄色と緑と紫色とが斑に混じり合い、まるで血の付いた痰が絡みついている様だった。
皆森が背中を向ける。背中にも、腹に負けず劣らずの痣が出来ていた。背中には、ぽつぽつと発疹の様な赤い点が、水玉のごとく大量に貼り付いていた。本当に、肌色が見えない程水玉で囲まれているのだ。
山中が説明するまで、その発疹が、画鋲で刺された跡だとは気づけなかった。よく見ると、水玉の玉一つ一つが、血の塊で浮き出た瘡蓋で、僕は吐きそうになった。
「いきなり、こんな事………お、かしいって」
皆森が、喉の奥で唸っている様な、掠れた声を出した。ふぅふぅと荒い息が、皆森の俯いた髪の隙間から漏れる。息が段々と激しく、大きくなる。皆森は過呼吸混じりに、息を吸い、言葉を短く掃き出した。皆森の肩が激しく震える。
「ごめん、なさい、わ…たし……ず、ず、ずっ……」
空気を引き裂くような声が皆森の喉から漏れる。空気交じりの甲高い音に、僕の背筋が凍る。サンチュが慌てて皆森の肩を抱き、皆森の口元に紙袋の口をを当てる。皆森は紙袋を強く握りしめた。皆森の呼吸に合わせて、紙袋が心臓の様に膨らんだ。普段の顔とは比べ程にならない程歪み、引き攣った皆森の顔は、白昼夢の様だったクラスの雰囲気を現実へ引き戻した。サンチュにしがみ付く皆森を見て、油ものを食べ好きた時の様に、胸が変にむかむかとした。
「いい加減にしろよッ!!」
山中が突然、信じられない程の大きな声で怒鳴った。クラス中がその声にびくりと体を揺らす。
「虐めなんて最低で卑劣な行為やッ!皆森はなぁ、ずっと悩んどって、それでも俺を頼って来た、でも俺がおらんかったら、皆森は学校来れんくなるとこやったんやぞッ!」
山中の声に、教室中が水を打ったかのように静かになった。山中が顔の脂肪を震わせ、唾を飛ばして絶叫する。
「皆森が何をしたって言うんや?皆も、皆森が優しくて、ええ子なのは知っとるやろ?思い出してみろよ。校舎の裏で捨てられてた猫を引き取ったのは誰や?陣内が入院した時、一人で千羽鶴作って陣内にあげたのは誰や?皆森やろ。皆森が虐められるなんて間違っとる。ええ奴が傷つけられて、悪い奴がええ奴を傷ついて楽しく生きるなんて、おかしいと思わんか?」
山中がクラスに響き渡る声で、熱にもでも浮かされた様に拳を振った。山中の熱い言葉に、僕達の心が揺り動かされた。僕も皆森の事を思いだした。皆森は本当に良い子だ。そんな皆森が虐められるなんて、間違っている。クラス中が僕と同じ事を思っていた。山中が叫ぶ。
「皆森を苛め取った奴、今ならまだ許してやる。今ここで、皆の前で、皆森を苛め取った事を認めて、もう二度と皆森に近づかん事を約束したら、俺たちはお前を許す。皆もそうやろ?」
クラス中が頷いた。異様な熱気がクラスに充満していた。
「皆もそう言っとる。今ならお前のしたことは許されるで」
山中が優しい、それでいて粘着質な喋り方で言った。しかし誰も立ち上がらない所が、うんともすんとも言わない。山中は大きな溜息をついた。
「本当はこんなことしたくないんやけどな」
山中がそう言って、ヨッシーを見た。
サンチュが教室の電気を消す。暗くなった教室の中、黒板の白い紙の上に、ぱっと光が付いた。段々とぼやけていた写真が、段々と繊細になっていく。ピントの合っていない、そして画像も荒いが、何とか、一人の女子生徒が、五人ぐらいの女子生徒に囲まれているのが見える。そしてその写真は音もなく動き出した。
画像の中で、一人の女子が、一人の女子を叩く。叩かれた女子が地面に倒れ込んだ。その上から、バケツの水が彼女に降り注がれる。一人の女子が、地面に倒れた女子の頭を思いっきり蹴った。他の数人が倒れた女子を取り囲み、蹴り殴る。腹を蹴っていた一人の女子が、自分のスカートを捲り上げ、そこから液体を出し倒れた女子にかける。そこでビデオは止まった。
教室が騒めく。半分泣きだしている女子生徒も居た。
「これを見て皆分かったと思うけど」
と、山中が言葉を止めた。僕は画像をもう一度じっと見た。けれども、誰が誰なのか分からなかった。山中が深呼吸をし、そして言う。
「中島恵、水島幸、山田綾乃、山野みねね、藤本莉子、橋本純名」
クラス中が揺れた。一斉にその六人……皆森の仲良しグループの女子達を見た。全員が、信じられないと言う様な顔で僕達を見返す。
「はぁ?うちらやってないし!」
峰音が叫んだ。
「意味分からへん、頭おかしいんやないのッ」
峰音がもう一度言う。僕達は冷めた目で彼女を見た。ここまで来て言い逃れをしようとする峰音が信じられなかった。
「ちょっと、何なのその顔」
峰音がたじろぐ。元気の良い峰音とは反対に、メグは死んだ様に宙を眺めていた。
「本当に、してないって、信じてよ!」
もう一度峰音が叫んだ。まるで縋り付くような声だ。峰音が困惑したように辺りを見渡す。
「てめぇらは本当に最低やなッッ」
山中が、さっきよりも激しく絶叫した。山中の声で教室がびりびりと震えた。六人が黙る。
「ここまで来て言い逃れかよ、お前ら人間じゃねぇッ」
クラス中が静まり返る。横からが、そうや、と小さく呟く声が聞こえた。羽川が突然立ち上がる。
「そうや!お前ら最低やッ!皆森があんなんなっとんの、可哀想すぎやろ!皆森に謝れ!」
沈黙が流れる。そして、他のクラスメイトも言い始めた。
「そうやおな」「マジで最低」「信じられん」「ってかあんなに虐めるって、そっちの方が頭おかしいやろ」「謝れって」「背中やばかったよね…」「前からちょっと怪しいと思ってたんだよな」「メグってそんな子だったの」「最低」「犯罪者じゃん」「謝れよ」「引くわ」「こわい…」「謝れ」「謝れ」「謝れ!」
クラス全員がメグ達を睨み付けた。峰音が、泣きだしそうな顔で僕達を見つめ返す。
「おお、おかしいやろ、ってか、あの動画、全然顔とか分からへんし、何で私達だって分かるの?決めつけじゃん!」
確かに、あの動画は音が無く、しかも画像が荒過ぎて顔もあまり分からなかった。クラスが山中を見る。山中が教壇に置いたレコーダーを持ち上げた。
「お前らの名誉の為に流さんとこう思っとったけど、気が変わった。お前らが自分のやった事認めんなら、仕方が無いわ」
山中がレコーダーのボタンに指を置く。その瞬間、メグが絶叫した。
「ごめんなさいぃいいい」
語尾を震わせながら、教室の地面に倒れ込む。
「ごめんなさぃ、ごべんざいごめんざいごめんざい」
そう言って土下座する。メグの顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。彼女の大きな目から、黒いアイラインの雨が滴る。メグは狂った様に頭に地面を擦り付けた。
「はぁ?!何言ってんの?メグが謝る必要ないってッ!」
峰音がメグを無理やり立たそうとする。それでも地面に伏せたまま、メグは半狂乱になり、彼女の頭を、何度も地面に打ち付けた。嫌な音が地面に響き、僕の体へ伝わる。僕は粘着質な唾を無理やり飲み込んだ。舌は既に乾ききって、口が変に生臭かった。
「ごべんなざい、わたしがやったの、やったの、ごべんざいぃいぃい」
峰音がメグから手を離した。
「みどめます。謝ります、ごめんなさい、私がやったの、ちがうのちょっと意地悪しただけだったの違う私は違う、ごめんんさい謝るからだからそれ流さないでくださいお願いしますお願いしますお」
『ってかさーッ』
メグの底抜けに明るい声が、教室中に抜けた。
『あいつめっちゃウザくない?皆森明美。芸能人だからって調子乗り過ぎじゃね?』
『だよねー、分かる!』
メグ達の下品な笑い声が、山中のレコーダーから流れた。クラス中が凍り付く。動きを止め、すすり泣くメグを、僕達はただ、見つめた。
『なんか私芸能人ですって感じでうざー』
『しかもぶりっ子やし』
『虚言癖やばくね?』
『まじ病院行けよ、って感じ』
『そーいえばさぁ、昨日のオッサンぐろきもかった』
『何円貰えたん?』
『六万だけだし、しかもきっもいプレイしろってしつこいん』
『赤ちゃんプレイ?』
『ちんこ踏んでって言われたわ』
『きっしょ、くっそ変態じゃん!』
『ってかさ、金持ってない変態ロリコンなんで生きる意味なくね?』
『死んで欲しいわー』
『それな!まじ死ね!』
『それそれ!』
なおも流れ続けるメグの笑い声を背に、僕は信じられない気持ちで六人を見た。皆森をあんなに酷く虐めて、しかも援助交際までしていて、本当に最低じゃないか。
最低だ。こいつらは、人間の屑だ。
「言い逃れできんやろうが!?あぁ?」
山中が怒鳴る。
「お前らがもし反省しんのやったら、お前らの家族にこれを送りつける」
山中が手の中のレコーダーを振った。
「言っとくけどそれだけやないで。お前らのこれからの進学先にも、全部送り付けたる。お前らのした事、他にもぜーんぶ俺は知っとる。動画も声も写真も、全部ある。そればらまかれたら、お前らの将来どうなるかなぁ」
「反省するッ」
その時、藤本が絶叫した。メグの横に座り、土下座をする。
「反省します、反省しますから、それだけはやめて、何でもするから」
山中が、教団の前で、にたりと笑った。
「じゃあここに来て、クラス全員にお前らがやった事を言え。お前らは援助交際しとる糞やりまんで、皆森を虐めた人間の屑やって言え」
藤本が顔を上げ、絶望した様な瞳で山中を見た。
「言えんのやったら、家族に送るしかないなぁ。皆森さんのお父さんが政治家って知っとるやろ?弁護士もやっとるみたいでさ、皆森さんが今まで虐めの事言わんかったのは、お父さんが裁判でお前らボコボコに負かして、お前らの将来滅茶苦茶にさせたくなかったからなん。でもお前らは、何も言わん皆森さんに調子乗って、あんなになるまで皆森さんを虐めた。子供やないんやで、自分たちのした事認めるぐらい、簡単やろ?」
メグ達がふらふらと立ち上がり、教壇の前までに行く。
「違う!私はしてないッ、私は知らないもんっ」
突然峰音が叫び、教室から逃げ出そうとする。それを見た山中が、捕まえろ、と叫ぶ。その声に反応し、クラスメイト達が素早く立ち上がる。行く手を遮られた峰音は、目を見開き、う、と声を漏らした。
ゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて教室中を見渡す。
「……うそ、やろ……?」
と、峰音は小さく呟いた。
「え、待って、まじで、皆……私がやったって、思ってる、訳?」
峰音の瞳から、静かに涙が毀れた。
「……え、おかしい、でしょ。おかしいよ」
峰音が周りをもう一度見渡した。
「待って、私、援交はしとった、けど皆森虐めた事なんて待って、まじで無いの、本当に無いの、ちょ、皆、え」
と、その瞬間に、峰音が息を止めた。息を止め、目を見開き、口を開き、そして、絞り出した様な息を吐いた。腹を中心に、峰音の体が内側に居り曲がり、そしてもう一発峰音の腹に中村の拳が叩きつけられた。
喋るおもちゃを全力で叩きつけた時に聞こえる、変に空気の抜けた声がみ峰音の口から漏れた。
峰音の体が地面に叩きつけられる。それと共に中村が吐き捨てる様に言った。
「てーめの言う事なんて信じられる訳ねーだろ、この糞女が」
峰音は腹を蹲りながら、ひゅぅひゅぅと、ただ鼻から音を出した。
「さっさと死ねよ」
中村がそう言って、丸まった峰音の背を勢いよく踏み潰した。ぐぅうご、と峰音が鳴いた。四方八方から足が伸び、峰音を踏み潰し、蹴り飛ばす。誰かが痰を吐き、峰音の茶色い髪に絡みついた。僕は立ち上がり、峰音を取り囲む集団の中に入った。人々の足と足の間、微かに見えた峰音は、蹲りながら全身を震わし、口元から人間とは思えない呻き声を上げていた。
「あーあ」
と、山中が残念そうな声を出した。全員が峰音を蹴るのを止め、山中に注目する。僕は苛々しながら山中を見た。
「最後まで言い逃れするなんて、やっぱこいつら最低やな」
山中は教室中を見渡し、僕達の目を覗き込むようにして言う。
「なぁ、皆さ、正直、謝っただけでこいつら許せると思う?」
山中が息を吸った。
「皆、こいつらが皆森にしたのは、謝っただけでは許されん事やとは思わへんか?俺らがこれでこいつらを許してまったら、こいつら一生更生せずに、また同じ事繰り返すで?だってこいつら糞やからな。なぁ、今の世の中は間違っとるとは思わへんか?死ななあかん奴が、人間の屑みたいな奴が多すぎると思わんか?悪い事しても反省せん、塵が多すぎ事ないか?何故なら大人は甘いからや。人一人殺しただけでは死刑にならん、この世の中腐っとると思わへんか?」
山中が両手を広げた。
「何でええ奴者が虐められなあかん?何で糞みたいな奴が得するん?おかしくないか?悪い事したら、それだけの罰を受けなあかんくないか?目には目を歯には歯を。この諺をおかしいと思う奴が何処に居るんや?居らんやろ」
ごくりと、誰かが唾を呑みこむ音が聞こえた。
「俺は正直、謝まらせるだけや、こいつらを許せん。そもそもこいつらは、俺らが虐めに気が付かんかったら、今ものうのうと皆森を虐めて笑ってた奴らや。俺らはこいつらを更生させてあげないかんのやないか?」
山中の声が、台詞が僕達の頭に染み渡った。そうだ。おかしい。絶対におかしい。皆森の腹と、背中が脳裏に浮かんだ。あんなにまで皆森を虐めて、謝るだけで済まされるのはおかしい。そんなの間違っている筈だ。
「俺は皆の意見を尊重する」
獣の様に荒い息が、隣の佐藤から、そしてクラス中から聞こえた。
「待って、謝って済むって言ってたじゃん!」
藤本が立ち上がり、山中に縋り付く。すぐさまヨッシーとサンチュに取り押さえられ、藤本の顔が地面にめり込んだ。山中は藤本をちらりと一瞥してから、又僕達の方へ視線を戻した。
「皆はどうしたいん?」
僕達は山中を見つめた。
僕達の答えはもう決まっていた。
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