犬に食わせろ犬に食わせろ犬に犬犬に

韮崎旭

犬に食わせろ犬に食わせろ犬に犬犬に

 私が笑わないのは断じてうつ病のせいではない。いや、それは多少ともうつ病の影響もあるかもしれないが屈託も臆面もなく笑う人間はひどく下品に見える、いや、品性下劣にみえるため、あんな者どもと同じだと思われると考えただけで虫唾が走り頭と胃が痛くなり胃の中身をすべてぶちまけそうになり怒りでなぜか自殺しそうになるからだ。犬に食わせるべきは臆面もなく品性下劣に笑う人間どもである。そのような到底知性がある生物とは思われない、近代啓蒙科学が診たら卒倒しそうなあり得ない野卑を恥じる様子もなくさらす人間はまさに犬のえさにふさわしい。にもかかわらず、そんな人間が常識人でございという顔をしていけしゃあしゃあと呼吸しているのが我慢ならない。お前の笑い声だ。お前の笑い声で私はきちがいになりうつ病になり精神病質者になり社会不適合者になる。お前の下卑た笑い声のせいで頭がおかしくなりアル中になり処方薬依存になりパニック障害になり強迫性障害になる。お前は精神疾患をばかにするだろうが、真にバカなのはそんなことを平然と言ってのけることがいかなる恥ずべき行為であるか、知りもせず知ろうともせず、恥の何たるかを微塵も意識しない人間どもの方だ。私は狂っているのかもしれないが、それでもあの下劣な人間どもの集団よりはましな狂い方をしていると少なくとも思う。たとえ自殺を考えることから逃れられず、声に出して笑いたがらない私の性癖が私をより重苦しい憂鬱に陥れるとしても。あのような人間は犬に食わせるべきだ。間違いなく医者のことなど口に出す権利も視覚もない。犬のえさ。犬に食わせろ。

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