夏の大三角
「な、夏彦!お前どうして…東京に行ったんじゃなかったのか?」
「あー、なんかこの田舎に天文台作るんだと。そんでなんとか賞っつーのとった俺が補佐でなんかプロジェクトに入れられてんの。意味わかんねー。」
そういやなんか記事に書いてたな…
「で、夏彦はなんでこんな夜中に」
「いや…今日七夕じゃん。なんか懐かしくなってよ。一昨年の七夕、シキと見上げた空が無けりゃ俺は天文学の道へ進まんかったからなー。ま、昨年はちとアレだったがよ。」
「…ごめん夏彦。僕、誤解してて…」
「いーってことよ。シキは俺を心配して色々言ってくれたって事わかってたしな。」
東京に行っても夏彦は、夏彦のままだった
「夏彦!ねーちゃんから写真送られて来たんだっ!お前、ねーちゃんと再会したんだな」
「お、おう。けどな、今は良い同業者であり、先輩って感じだぜ。」
「知ってる。ねーちゃんがたまに連絡くれるんだ〜。なん、つーかさ。ごめんな。」
「え、今日俺なんでこんな謝られてんの!?怖ェんだけど!」
音楽室に響く笑い声
「じゃっ、星見ながらボクが持ってきたポテチとジュースでパーティだぁっ!」
「ポテチ!?ジュース!?最高じゃねぇか!!!」
「よーしっ屋上へ行くぞぉ〜!」
―キラキラ光る星が見えたんだ
流れゆく空の果てまで
あの夜空の2人はどうだろう
僕達みたいだね―
「おぉー!天の川綺麗〜!」
「ボクは最近毎日見てるけどねっ」
「俺も〜」
「ほら見つけた!夏の大三角だ!」
「ほんとシキは星が好きだなぁ」
「はぁー?お前も、だろ!」
「そうさせたのは誰だっつーの」
「ねぇねぇねぇっ!」
「「?」」
「ボク達、夏の大三角みたいだねっ!」
「…ははっ」
「確かにそーだな!」
「えっ、じゃあどっちが織姫!?」
「いやそこかよ!」
―笑い声が星空いっぱいに響く。
今年は会えたんだな、あの二人も。―
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