嵐夢

―目を開けると、そこは部室だった。

僕はただそこにつっ立っていた。

外では轟々と風の吹き荒れる音。雨が乱暴に屋根や壁に当たる音。

そんな中僕は、何故か今日も観測をしなくちゃいけない気がして部室の外に出る。

急がなくちゃなにかに間に合わない、そんな焦燥感に襲われながら屋上へ向かう。

息切れと心臓の音が響く中ドアを開ける。

目の前に広がるのは暗い、暗い嵐の光景。

でも不思議と僕の身体は吹き飛ばされもせず、雨の攻撃も受けていない。

空を見上げても目に雨粒が入らない。

どんよりと暗く、分厚い雲で覆われた空を見上げてふと、呟いた。


「織姫と彦星は会えなかったんだな」


自分の声なのにどこか別の場所から響く。―


"ジリリリリリリリリリリ!!!"


「―はっ!!!」


目を開けると見慣れた天井。


「夢か。。。しっかし、なんというかヤな夢だったなぁ。。。」


身体を起こすと、激しい頭痛が襲う

脈拍と共に響く痛み

起き上がると足元はおぼつかず、力なくその場に崩れ落ちた


「シキー?入るわよ?」


母さんだ…


「シキ!?大丈夫!!?」


…その日、僕は学校を休んだ。


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