星屑の歌声
音楽室に響くピアノの音色
「うーん…やっぱ訛ってくるよなぁ。。。」
東京に居た頃、僕は小学生の時からピアノを習っていて、こっちに越してきてからはレッスンももちろん無いので時折観測を始めるまでピアノを弾いていた
「はー、しっかし、夏が近づくと日が落ちるのが遅くなってきてかなわないなぁ」
夏うたでも弾くかたまには。クラシックもいいけれどやっぱJPOPも好きだ。
「識人せーんぱいっ!」
「のうわぁああぁっっっ!!!!????」
「ありゃま」
「ら、嵐夢か脅かすなよ…」
「だってぇ、普通に横に立ってんのに気づかないんですもんっ。プンプン!」
「あー、すまんすまん…マジで気づかんかった。って、そういやどうしたんだ?」
「えー?廊下歩いてたらなんか知ってる曲が聞こえるーって思って覗いたら識人先輩だったから!ピアノ弾けるんですね、ボクびっくり!」
「あー、元々ピアノ習ってたんだよ」
「ねぇねぇ、もう1回さっきの曲弾いてくださいよっ。ボクあの曲よくねーちゃんと歌ったんだぁ!懐かしい!」
「おー、いいよ。」
そういやこうして誰かの横で弾いたのって随分久しぶりだ。
歌い出しの前は…しっとりと…
「〜♪」
「なっ……!!」
音楽室いっぱいに響く声。でも耳障りな声じゃなく。高めで透き通っていて…そう、星空が目に浮かぶような。そんな声。
アウトロもしっとりと弾きあげ、そっと指を離す
「えへっ。久しぶりに歌っちゃったー」
「嵐夢お前めちゃくちゃ歌上手いな!」
「えぇーそうかなぁ!照れますねぇ」
「いやマジで上手い。またいつでも歌いに来いよ。僕、よく日が落ちるまでここで弾いてるからさ!」
「じゃあお言葉に甘えて…」
「んー、そろそろ部室行くか」
「そうですね!」
「毎回思うんだけど、この学校地味に広い挙句音楽室から部室まで遠いんだよなぁ」
そうして音楽室を後にし、僕らは部室へと向かった
「夏彦はどうせまた寝てるんだろうなぁ」
「…そういや識人先輩って、なんで夏彦と仲いいんですか?なんかあんまり合いそうな性格じゃない気がして…失礼ですけど」
「あー。別に仲良いわけじゃないんだけどな。まぁあいつ…なんだかんだ良い奴だからなぁ。」
「…ふぅーん。…夏彦はなんで1人ででも天文部を続けてたんでしょうね?聞いた話だと識人先輩が入部するまで1人だったらしいじゃないですか。星が好きってわけでもなさそうなのに」
「言われてみれば聞いたことなかったなそれ。別に暇つぶしたいだけなら部活にする必要ねぇもんな…はて…」
「そっかぁ、識人先輩でも知らないんだ。やっぱあいつに直接鎌かけるしか…」
「え?なんて?」
「いえいえっ。こっちの話ですよっ!さ、今日は何のお話を聞かせてくれるんですか?」
「おー、今日は…」
―その日の夜は、嵐の夢をみた―
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