第1章 第22話
「え、このトンネルのことを知らないの? 」
「こんな奇麗なトンネルがあったこと自体が驚きなんだが。」
「仕方がないわね。そこから説明しないといけないのね。このトンネルは、百年前の栄えていた時代に使われていたものなのよ。衰退してしまったのは私たち魔人のせいでもあるんだけど。かつて栄えていた地球では、凄い速さで走る乗り物──リニアモーターカー──がこの地下トンネルの中を走っていたの。今の王都やオメガ、だったかしら? は昔から都市で、リニアモーターカーの駅もあったの。トンネルが無事なら、きっと駅も無事なはずだから、ちょっと掘ったら地上に出られるはずよ。それのこのトンネルは緩和曲線以外はこの星の直径も考慮したうえで最短距離で各都市を結んでいるから(※イラスト参照)、空を飛ぶよりも早いはずよ。」
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「ちょっと待て、それだと、こんな、砂漠の、ド真ん中だったら、もっとずっと、深いところに、トンネルが、、あるはず、だが? 」相変わらず呼吸の荒い一機が尋ねる。
「それは、かつてここに地球最大の都市クレタがあったからよ。」
「クレタ? 昔話で、聞いたことが、あるぞ。 一夜にして、消滅したって、言われている、伝説の土地だろ?」
「クレタは実在していたわ。私たち魔人のせいで粉々になってしまったけど。」
「なるほど、だから、砂に、貴金属が、混じっていたのか。」
「ちょっと待て、ってことは俺たちのご先祖様が戦いに負けて魔人たちに占領されているってことなのか? 」
「それは違うわ。戦いは人間と人間養護派の魔女たちの勝利に終わったわ。」
「じゃあ、どうして鬼龍院とかいう魔女が国のトップにいるんだ? 」
「それはわからないわ。私が封印されていた間に何かがあったんでしょうね。」
「そのことは占えないのか?」
「魔素が切れているから今は無理なの。」
「そうか、それは残念だな。」
「とりあえず、みんなには手伝ってもらいたいことがたくさんあるの。まず明さん、貴方は全国に知り合いに魔貴子を探すようにお願いしてもらえないかしら? 」
「分かった。」
「ツヨシさんたちは明さんの護衛を頼めるかしら。」
「大丈夫だ。」
「そして一機ちゃん、体調が回復したら高速で走れる車を作って貰えるかしら? まずは明さん用に一台。そのあとで木野さんのギルドに協力してもらったら量産化も可能よね? 」
「そうだな。毎時、三百キロ、メートルくらい、出たら、問題、ないか? 」
「三百キロを量産化。悪くないわね。ココアは一機ちゃんをオメガまで連れて行ってくれるかしら? 」
「もちろんです。ツバサ様。」
「私も魔素が回復したら、国家反逆罪でつかまっている人たちを脱獄させて駅の整備もするわ。あっ、その前に占い感知防止のアイテムを作らないと。私が回復していない状態で魔貴子に占いで誰かを見つけられたらお終いだもの。だから、私が必要なだけ魔素を回復させたら作戦決行よ。」
「あの、私は何をしていたらいいでしょうか? 何かお役に立ちたいです。」何も指示を受けなかった優姫が手を上げて尋ねる。
「そうね。何をさせようかしら? 家事全般が得意で、特に料理の腕がよかったわよね。」
「料理の腕がいい? だったら、王国を乗っ取るために戦わないといけないんだが、そのための保存食が欲しいと思っていたんだ。レシピを考えてもらえないだろうか? 」料理の腕という言葉に反応して明が答える。
「いいアイデアね。優姫ちゃん、大丈夫そう? 」
「もちろんです。」
「それじゃあ、ココア、優姫ちゃんも連れて行ってもらえるかしら? 」
「もちろんです。ツバサ様。」
「他に問題はないかしら? 」誰も問題がなさそうなので、話し合いが終わった。
「こんな感じでいいか? 」完成させたばかりの車をゆっくりと運転させながらツバサに見せる一機。空気抵抗を極限まで減らす為に設計された洗練された美しい流線型のボディーでありながら収容人数のことも考慮されており、十人も乗ることができる。イトツヨ糸製のシートベルトやエアーバッグが万が一の事態でも乗員を守るようになっている。
「透視! 問題ないわね。」
「ツヨシ、風太郎、明、運転方法を教えるから、乗ってくれ。」
「「「おう。」」」
「右のペダルがアクセルで、左がブレーキだ。」
「おい、ハンドルはどこにあるんだ? 」
「トンネル内だし、普段は自動で運転するようにした。量産して交通量が増えたら事故が起きやすいしな。一応、緊急用にこのレバーを引くとハンドルが出てくるようにしたから。そうそう、アクセルもブレーキも一回踏むだけで大丈夫だからな。」
「それはすごいな。ところで、そんな細かい操作をできるコンピュータを量産できるのか? 」
「操作はこのコンピュータで一括に行う。」そう言って一機は小さなノートパソコンを取り出した。
「そんなパソコンで処理しきれるのか? 」
「4億Core 8億Thread 50GHzのCPUに1EiBのメモリを搭載しているから大丈夫だと思う。」
(※ 作者は4Core 8Thread 3.6GHzのCPUと8GiBのメモリで頑張っています。)
「何のことを言っているのか分からないが、何となく凄いってことは分かった。」ちなみに、ツヨシたちは気づいていないが、通信は異次元カバンを改造して異世界経由で電波のやり取りをしている。
「私も魔素がある程度回復したわ。とりあえずアイテムを作ったの。ココアも充電が完了したみたいだし、作戦決行かしら。転移魔法を使えるほどは回復していないから私も車に乗せてもらっていいかしら? 」
「分かった。」
一機たちは芽衣子の飛行機能でオメガへ、ツバサと明たちは王都へ車で向かうのであった。
入院して暇だったのでライトノベル作ってみたら友人にウケたので退院後にカクヨムとなろうにうpしてみた。(タイトル変更予定) 名無しのポチ @774-no-Pochi
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