第11話 期末テスト
あれから霞と買い物や何やらはテストが終わってからしようと約束し、テストまで目一杯勉強に打ち込むことができた。霞も俺の質問に的確に答えてくれたおかげでこれまでのテスト勉強より捗った気がする。そうして迎えたテスト日。
テストは3日にわたって行われ、副教科も含めた
全9教科である。クラスではテスト日だからかみんな切羽詰まった顔をしている。余裕がないのだ。
だが、最下位の奴らは逆にのほほんとしている。
もう結果がわかりきってる分割り切りっているのかもしれない。だが、ここに1人例外がいる。
水咲杏果だ。彼女も底辺争いをする1人なのだが、それに危機感を感じている。その証拠に
「瀬良くん、ここ教えて!テスト前なのに全然
分からないよー」
彼女はやる気が無いわけじゃなく、テスト勉強
をしているのに俺と同じく要領が悪いせいで勉強についていけないだけなのだ。彼女がやる気があるのは知っているから俺もそれに丁寧に応えるのが礼儀というものだろう。
霞から鋭い目線が飛んできた気がするが今は気に
しないでおこう。ただ、一つ気になるのが
「え、どこどこ〜」
とむやみに接近してくることだ。もっと自分の持ってる胸イんんん…………驚異なものの凄さを
自覚してほしい。そのやっぱり近くで見ると凄すぎる。初めの頃からしたらだいぶ平静を装える
ようになったがそれでも気になるのでやめてほしい。だがこんなこと本人にはいえるはずもなく、
「へぇ〜だからこうなるんだぁ。」
と真面目に聞き入っている彼女を見て、なんてことを考えているんだと自分を律する。
「それでな、ここはこうなるから、」
「あ、分かった。ありがとう、瀬良くん」
「おう、お互いにテスト頑張ろうぜ」
「うん、瀬良くんこそ頑張ってね。いや、大丈夫
だよね。瀬良くん、今回は特に頑張ってたし」
じゃあねと言い残し、自分のクラスへと戻っていく。毎回こうしてよく聞きにくるが、自分のクラスの奴らに聞けばいいのにとは思うが、今はそんなこと気にしてる場合ではない。もうテストだ。みんながザワザワしてる中、教師が教室に入ってくる。
「ん、テスト始めるぞ。教科書とかノートも全部
しまえ。分かってると思うがカンニング
とか絶対にすんなよ。」
そして解答用紙とテスト用紙が配られる。
俺が緊張で震える中、隣の霞はあっけらかんと
していた。いかにも余裕そうだ。まあいつもの
ことではあるが。
それからあっという間にテストは終わった。霞に教えてもらったお陰で今回は特に良くできたと思う。だが肝心な数学が全然出来なかった。難しすぎるのだ。良くて60点くらいだと思う。それだけはすごい
悔しかった。だが、数学教師が入ってきて
テストを返す時に、
「今回は平均点がいつもと比べて非常に低い。
問題を難しく作りすぎたみたいだったな。
だが白瀬はいつも通り満点だ。じゃ返すぞ。」
結局、数学は63点だったが他の教科は軒並み90点は超えていた。静かに隣の席から
頑張ったねと言われただけで全てが報われた
気がした。
今回の期末テストの順位
白瀬霞 1位
瀬良彰人 6位
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