第8話 同棲の提案

霞と手を繋いだままリビングに入ると、そこには

芽里さんがいた。


「2人ともおめでとう🎈やっとくっついたのね。

 いつくっつくのかなとお母さんうずうずしてた

 のよ。あと食事の後で話があるからちょっと

 リビングで待っててね?霞、食事の準備手伝っ

 て?」


「俺も手伝いますよ。」


「彰人くんはお客さんなんだからいいのよ〜

 だから机に座ってて?」


霞ははーいと返事をして手伝いに行ってしまう。

流石に何もしないのは俺の気がひけるので霞が

運んできた皿をなるべく綺麗に並べる。準備が終わり3人でいただきますを言い、食べ始める。今日の献立は鳥の塩麹漬けにお浸しに味噌汁と白米だ。芽里さんは昔、飲食店で働いておりその腕は一級品だ。お金を払いたくなるレベル。


「どう?今日は彰人くんが来るって聞いて張り切

 って作ったのだけれど、」


「美味しいです。もう病みつきになるレベルで。

 この前食べた時よりさらに美味しくなってま

 す。」


「ありがとう〜。彰人くん、霞もせっかく彰人く

 んの彼女になれたんだからもっと料理の腕を

 あげないとね?」


う〜〜っと真剣になってる霞も凄く可愛い。彼女

補正がかかってるのかいつもよりも可愛く見える。


「彰人。明日から毎日弁当作るから食べて」


霞が凄い必死に俺の胃袋をつかもうと張り切っているのをみて俺も明日からの学校生活が楽しみに

なる。確か彰人の好物は……と小声で呟いているが丸聞こえだ。自然と笑みが溢れてしまう。ご飯を食べ終わり食器を片付けると霞と2人そろって芽里さんに呼ばれる。


「2人とも大事な話だからよく聞いて。

 明後日から彰人くんの家で2人で暮らしてくれ

 る?」


俺は驚きすぎて何も言えなくなる。それは霞も同じようで今にも倒れそうだ。


「ごめんなさいねー。説明すっ飛ばしちゃっ

て,」


いや、説明したらいい問題では無いと思うな~~


「今日真澄がいないのはね、会社の都合で出張

 に行っちゃったからなの。だから一昨日ぐらい 

 に連絡来た時に真澄と相談してどうするって

 なった時に私も霞の丁度良い花嫁修行になると 

 思って真澄にどう?って提案したら即了承され 

 ちゃって。勿論2人の意思が大事だからどうす

 るかは2人で決めて。因みに拒否した場合は

 彰人くんにはこれからしばらくこの家で暮らし

 て貰います!」


よし、決めた。帰ってきたら取り敢えず一発殴ろう。いつも抜けてるから諦めてはいたがそれぐらい言ってくれてもいいんじゃないかと思う。


だが、今はそんな場合じゃない。え?霞と同棲?

いや、そりゃめちゃめちゃ嬉しいけども。そうなったら良いなとは思ってたけど。それがこんな早く叶うとは。心臓がとてもドキドキしている。

だが男のプライドととしてそれがバレるのが恥ずかしいという一心で必死にそれを隠す。それを隠そうと声をあげようとする。だが、先に声を上げたのは霞だった。


「私は良いよ、彰人が良いなら」


霞は真っ赤になりがながら小声で呟く。俺のもやもやしていた感情が一瞬でふっ切れた。その一言で俺の決意は固まった。彼女の意思に応えないのは男が廃る。


「芽里さん。こちらからも是非お願いします。娘

 さんと同棲させて下さい。」


「お母さん。私からもお願いします。」


2人揃って頭を下げる。

「良いのよ、そんなかしこまらくても。その代わ

 り、ちゃんと避妊はするのよ?流石に高校生の

 内は孕んじゃダメだからね。そういうのは卒業

 してからね!」


霞はキャパオーバーなのか倒れてしまった。まだ

ウブなのだ。


「しませんよ、そういうのはまだ早いですし。

それに霞が嫌がることは俺は絶対にしたくない

 ですし。」


「霞もいい彼氏を持ったわね〜。彰人くん、

 お母さんとして霞をどうかよろしくね。」


「はい。霞を絶対に幸せにします。」


俺は顔を真っ赤にして倒れてる霞を見ながらこれから始まる同棲生活に胸を躍らせずにはいられなかった。

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