第6話 告白
部活を切り上げ校門を出ると、外は暗く冬の冷たい空気が体をおそう。体をブルっと震わせながらも霞の家へと向かう。だがその前にひとつやることが、霞のお母さんへの手土産だ。いくら幼馴染の家とはいえ、泊めて貰うのにそれぐらいしなきゃ俺の気が収まらない。近所で有名なカステラ屋でカステラを買い霞の家へと向かう。インターホンを鳴らすと何故か顔を赤くさせた霞が出てきた。
「霞、顔赤いぞ。大丈夫か?風邪なら無理しない
寝てろって。」
「大丈夫、さ、どうぞ。上がって上がって!」
全然大丈夫には見えないが本人が大丈夫と言ってるといった以上そこまで深く追求も出来ない。
久しぶりにその家に上がると芽里さんが迎えて
くれた。
「久しぶりね、彰人くん、この子ったら彰人くん
が来るのが楽しみで楽しみでどうしようもない
みたいで、」
ちょ、お母さんと霞は反抗しているがそんな姿も
見ててとても微笑ましくてつい笑みが溢れてしまう。
「もうちょっとで夕ご飯が出来上がるからそれま
でゆっくりくつろいでてね、じゃあとは若い
お2人で仲良くね」
お邪魔虫のママは退散しなきゃ〜と元気よく去って行ってしまった。本当変わらないなと思ってしまう。
「じゃ、彰人 私の部屋に来て、」
というと相変わらず顔を赤くさせたまま部屋に戻ってしまった。あいつ本当に大丈夫だろうか?
そう心配しながら鞄を持ち直し、霞の部屋へと
向かう。
「おーい。入るぞ。」
とドアをノックすると中からどうぞという声が
聞こえたのでドアを開ける。そこには女の子らしい可愛い部屋が。中学生のとき来た以来のことなので見ないうちに様変わりしたなと痛感する。
「何を惚けてるの?早く入ってきなさいよ。
ん、そこに座って。」
「悪い、悪い。随分と変わったモンだなと思っ
て。じゃ失礼します。」
「今日も部活だったの?」
「ああ、そうだな。今日は水咲がいなかったから
山谷と2人だったな。楽しかったぞ。あいつ
根がいいやつだからな。話してても飽きないし
面白いよ。」
今すごい負のオーラがでてた気がするが気のせい
だろう。だが霞は中学の頃の事件が問題で極度の
人嫌いになってしまった。今では少しずつマシにはなってきてはいるがそれでもまだまだだ。昔は一時的に不登校の時期もあったくらいだ。だから俺がこうやって部活の楽しい話をすると霞は笑いながら聞いてくれる。そうやってるうちに霞の人嫌いが少しでも良くなればと思って続けている。そうやってるうちに芽里さんに夕ご飯だと呼ばれる。
「分かりました。行こうぜ、霞。」
「待って彰人。話があるの。」
「どうしたよ。」
霞の顔が今までになく真剣だったので俺も真剣に
なる。
「彰人の事がずっと好きでした。
付き合って下さい。」
え?
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