第5話 準備(白瀬視点)
私は学校が終わると颯爽と家に帰り、慌ただしく動いていた。自分の部屋の掃除だったりリビングを整えてたりと普段家の中で基本グダグタしてる私からしたら考えられないぐらいテキパキとしている。そんな私を見てか、母の芽里が
「いつもグダグダしてる霞が、彰人くんが来る時
だけちゃんとするわよねぇ。彰人くん毎日
うちにいてくれないかしら。」
私は沸騰しそうになった。ゆでダコみたいに顔が赤くなっているのが自分でもハッキリと分かるレベルに、
「毎日って………それって……同棲するってこと
で……でも将来はそうなる予定だし……」
と私が小声で呟いていると
「冗談よ、でもそうなるといいわね!
あら満更でもないでもなかった?」
「もう、お母さんはあっち行ってて!」
真っ赤になった顔でお母さんをリビングから追い出す。でも考えてみればそうなのだ。だって毎日そうなればいいな、なんて妄想を何十回としているのだから。お母さんは私の感情をこれ以上無いほど正確に当ててくる。母親なのだから当然かも知れないが私としては複雑な気持ちだ。
でも恥ずかしがっててはいけない。私は今日告白
という一大イベントを行うのだ。今までずっと隠してきた気持ちを彰人に打ち明ける。家に帰ってきてからそれを自覚すると同時に手が震える。心臓がうるさい。まだ目の前に彰人すらいないのに。彰人が目の前にいたらどうなだちゃうんだろう私は。でももう決めた。告白するのだ。
私は意識を強く意識を保ちながら部屋のお掃除を
続けた。インターホンの音がする。多分彰人だ。
ドアを開けると私がずっと思い続けた人の姿がいた。
「よう。霞」
呼びかけられただけで顔が赤くなる。嬉しい。もっと話しかけられたい、もっと話したい。
そんな感情が泉のように湧き出てくる。やっぱり私は彰人のことがどうしようもなく大好きなんだ。
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