181 両脚とクラクラ・Ⅲ
どうも、リビングアーマーの俺ですうぉわ!
――どぉおおおおん!
で、こっちがエルフのクラクラぎょわ!
――どがああああん!
で、あれは大砲撃ちまくってくる街のぉわ!
――ちゅどおおおおおおん!
いやいやいや、本気出しすぎでしょ!
鎧(脚パーツだけ)とエルフ一人に対してこの一斉射撃。
いくらなんでも火薬の無駄でしょ。
もう撃ちすぎて辺りに煙が立ち込めて街の様子がわからなくなってる。
それでも大砲はどかどか撃ち込まれてくる。
俺はクラクラを乗せて、ひたすら逃げ回るしかない。
あ、ちなみにクラクラは今、俺を靴みたいに履いている状態だ。
「弾が尽きるまで待つ――という状況ではないようだな」
〈そうだな!〉
撃たれているのは、どう見ても火薬で金属の塊を撃ち出すあの大砲だ。
中世だか近世だか知らんけど、昔のヨーロッパで使われてたやつ。
それが、あんな勢いで連射できるはずがない。
だって、マ○オのステージに出てくる大砲みたいな勢いで撃ってくるんだもんな。
魔法でも使ってるか、あるいは……。
〈まさかとは思うが、街に擬態するモンスターなんていたりしないよな〉
「それだ!」
え、マジ?
「聞いたことがある。旅人が地図に載っていない街を発見して入り込んだら、そのまま出てこない。それは巨大な魔物が街の幻を見せて、その旅人を誘い込み、食べてしまったからだ……と」
なにそれ怖い。
モンスターっていうか、妖怪じゃん。
怪談じゃん。
「西方の砂漠地帯に伝わる伝説だったはずだ。だが、それが実在するとしたら……」
〈あの街は幻……バカスカ撃ち込んでくる大砲も幻ってことか?〉
だったら避ける必要はないってことか?
いや、こんな本物っぽいの避けないとか精神的にムリ!
しかし……。
どぉおおおおん!
どがあああああん!
ちゅどどごどがどがどがどっかああああんっ!
なんかどんどん撃つペースが早くなってってるんですけど!
しかも大砲も増えて、どこから撃ってきてるかもわからない。
煙まみれで視界も悪い。
これはもう避けきれない――うわ飛んできた!
せめてクラクラに直接当たらないようにと、こっちから足の裏で受け止める。
衝撃が……来ないな?
あれ?
弾が消えた?
ってことはやっぱり幻だったのか?
「いや、違うようだぞ……」
え?
なんで?
「今、大砲の弾がリビタン殿の中に吸い込まれていったように見えたのだが……」
なにそれ!
どういうこと!?
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