166 天空塔ダンジョン攻略・Ⅰ

 どうも、リビングアーマーの俺です。


 快晴の空の下、俺たちは天空塔ダンジョンまでやってきた。


 馬車に乗っているのは


 俺。

 人犬族のロロコ。

 エルフのクラクラ。

 ドワーフのアルメル。

 ゴブリンのラファ。

 ドラゴンのドグラ。


 そして案内役のオークの皆さんである。


 もちろん全員一緒に乗れるわけじゃないので、数台に分乗してきた。


「天空塔ダンジョン、あれ?」


 ロロコが窓から外を覗きながらそう言った。


 見れば、天高くそびえる石造りの塔が見える。


 すげえ。


 上の方は雲に隠れて見えない。


 周りに比較するものがないからなんとも言えないけど。

 多分スカイツリーより高いんじゃないか?


 あんなもの、どうやって建造したんだ。


「天空塔ダンジョンは魔王が生み出したと言われています」


 アルメルが言ってくる。


〈そうなのか〉


「はい。というか、この大陸に存在するダンジョンはすべて、魔王が人類との戦いの際に魔力を放出してできたと言われています。もっとも、それも伝説の一つに過ぎませんけど」


 まあそうだよな。


 魔王そのものの正体だってはっきりしない。

 魔族の王って言われてたり。

 神々が生み出した魔力の源って言われてたり。


 大昔のことだから記録もあまり残ってなくて曖昧らしい。


 そんな魔王が残したものについても、真偽が定かじゃないのは仕方ない。


〈しかし、洞窟やなんかは、魔力で生み出されたって言われたらなんか納得できるけど、塔は無理がある気がするぞ〉


「そんなことはありません。ヘルメスは魔力によってこの大陸の最初の都市である帝都ガルシラを築いたと言われていますし」


 魔力で街を……。


 さすが原初の魔法使い。

 ……というか、それも昔のことすぎて、ちょっと嘘くさい気もするけど。


〈……ん。帝都ってことは、そのガルシラってのがヴォルフォニア帝国の首都ってことなのか?〉


「いえ、ガルシラは魔族との戦いで滅び、現在は世界四大ダンジョンの一つ、廃都ダンジョンになっています」


 そうだそうだ。

 四大ダンジョンのもう一つは廃都ダンジョンだ。


 そういう由来があったのか。


「現在のヴォルフォニア帝国の帝都はそこから南に移って、ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルドです」


 これまでで最難関に長いな……。

 もう覚える気にもならないぜ。


 なんて話していると馬車が停止した。


〈ん? まだ塔までだいぶあるけど……〉


 と、先頭の馬車からオークが降りてきてこちらの扉を開ける。


 ええと、この人はロブだったかな?


 一応全員自己紹介してくれたんだけど。

 俺には残念ながらオークの見分けがつかないのだった。


 ロブ(仮)が言ってくる。


「もうすぐ仲間がモンスターを抑えている場所に着きます。ここからは歩いて行ったほうが安全かと」


 そうだったそうだった。


 ダンジョンに入る前から、モンスターとのバトルが待ち受けているんだった。


 そうと決まれば気を引き締めないといけないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る