167 天空塔ダンジョン攻略・Ⅱ

 どうも、リビングアーマーの俺です。


 天空塔ダンジョン攻略にやってきた俺たちは、だいぶ手前で馬車を降りた。


 塔のすぐ近くまで馬車でのんびりといくわけにはいかない。

 塔からはモンスターが溢れ出している。

 それを抑えるため、オークたちが戦っているのだ。


 まずはそれをどうにかしなければいけない。


「皆さんは塔の周りにいるモンスターは無視して塔の入り口を目指してください」


 と思ったら、俺たちを先導するオークの一人が言ってくる。


 ええと、この人はビオだったかな?


 ビオ(仮)は武器の鉄斧を構えながら続ける。


「邪魔なモンスターは我々が蹴散らします。皆さんはどうか、塔の攻略に集中してください」


〈でも大丈夫なのか?〉


「問題ありません。そもそも我々オークは、天空塔ダンジョンにいるモンスターたちに対しては相性がいいのです。だからこそ管理者に選ばれたのでして——」


 と言うビオ(仮)の言葉が途中で途切れた。


「な、そんな馬鹿な……」


 え、なになに。

 このタイミングでその発言ってすげえ不安になるんだけど。


〈——うおおおお!?〉


 天空塔ダンジョンの手前で、オークたちがモンスターと戦っている。


 しかしその数が多すぎて、もう手に負えなくなりつつあった。


 なにしろモンスターたちは増えすぎて、なんか塊みたいになっている。


 遠目からは、一体のスライムが流れ出てきているように見えてしまう。


 これもう、モンスターたちも自分の意思じゃないよな……。


「なんてことだ……これでは、我々の力では止めようが……」


 と絶望的な声をあげるオークのロブ(仮)。


 どうするんだ、これ?


 ダンジョン入る前からゲームオーバーになりそうなんだけど……。


「まったく、仕方ないのう」


 おお、ドグラ!


「我の力で一掃してやろう」


「待ってくれ!」


 と声をあげるクラクラ。


 大声なのは、オークの催淫効果に当てられないように離れたところにいるからだ。


「それではオークの皆も巻き込まれるのではないか!?」


 そうだな。


 ドグラの炎攻撃は強力だが、加減はきかない。

 この前だってフィオンティアーナの街をぶっ壊したばかりだ。


「ということは、まずはモンスターを牽制しつつ、オークの皆さんを避難させていかないといけませんね」


 とアルメル。


 やれやれ。

 大変な作業だが、やるしかない。


「いこう、リビたん」


 そう言ってくるロロコに頷き、俺は身構える。


 これまでの戦いに比べればずいぶんとマシだ。


 なにしろ突然の遭遇戦じゃない。


 準備は万端だし仲間もいる。


 よーし。

 じゃあいっちょ、行きますか!

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