21日目(最終日)
7時30分
定時検査の放送で起こされる。
35.1℃。SpO2 99% Hr70。
やはり体温が異様に低いな・・・。確かに人間は寝ている時は体温って低くなるものだが、これじゃまるで、頭は目を覚ましてるのに身体が寝てるみたいなもんだ。
8時
内線で数値確認の電話。声の感じからして昨日俺が説教したオッサンとは別の人間だった。そういえば昨夜の夕方はこの健康確認の数値を聴取する電話はかかってこなかったな。
と思っていたら、電話口のオッサンが
「大変申し訳ありません、昨夜は健康調査の後にお電話差し上げてませんでしたよね?」
というので、
「そういやしてこなかったね。」
と答えたら、
「昨夜の数値も教えて戴いて宜しいですか?」
と、さらっと話をスルーして昨夜の体調情報を聞き出そうとしてきた。
あれほど発熱者の情報を放置するなとキレ散らかした直後の失態じゃん?
もう怒りも通り越して呆れしかないよ。
「君らそれが仕事なんでしょ?」
「は、申し訳ありません・・・。」
クソデカ溜息をついて淡々と数値を教えてあげましたよ。
この人等も大変なんだろうけど、このままじゃ本当に死人出る。
でも、いくらこのオッサンにキレ散らかしても仕方ないわ。
何処も人が足りないんだよね?うん、わかるよ。
なんもかんも医師会と官僚が悪いんだよ。
「医師の質の担保」って言葉で自分らの市場価値を死守し、ずーっと卒後競争を回避して、医学部の定員も増やさなかったし、新設医学部自体も何十年も認めさせなかった。知ってる?地方とか行くと、新しく開業するのに(以下検閲)隣のクリニックとどれだけ離れてないといけないとか(以下検閲)
だから今、保健所も医師の数が足りてないんでしょ?
その代わり何?なんでコメディカル職は量産したの?
しかも何の職務権限も譲渡してこないまま(以下検閲)
おかげで6年かけて大学出た後の新卒給料、悲惨な事になってるぞ?学費はアホみたいにかかるのに、卒後の給料は(以下検閲)
今回のコロナ騒動だって、何か力になりたいけどさ・・・。
検体も取れないし、処方の権限もない。基本的に袋詰め(以下検閲)
海外じゃ薬局でPCR検査やってもらおうって時にさ、この国では今さら歯科医師に「例外的に」PCR検査を認めてやろうだって?テメーら何様だ(以下検閲)
進路に病院選ぶ学生も激減してんじゃんよ。なーにが志望者が増えない!だ。あんな給料で増えるわけねぇだろ!臨床やるのは金にならないからバカバカしいって、学生だってとっくの昔に気付い(以下検閲)僕はリポDよりアリナミンの味が好きです。(意味深)
厚労省のお偉いさんも、臨床のUNEI連中も、いい加減目ぇ覚ませや。どんな職業だろうが、しっかりしたプロを雇いたいなら相応の対価が(以下検閲)
くだらねー国家試験作ってんじゃねーよハゲども。そら毎年総統閣下も激怒するわ。
窓を閉め切った部屋で加熱用生牡蠣をそのまま食ってノロで死ね!
だから俺は「医師の指示」とか「医師の判断」って言葉が大嫌いなの。
あの文言があるせいで、(以下検閲)
俺知ってるよ?閉鎖的な医学部の受験システムが、女子の受験生にも大学病院の先生らにもデカい皺寄せとなって重く圧し掛かってるの。アレも確か発端は医学部の補助金と官僚の息子の裏口と天下り関連の事件だったろ。すっかり評判落とされてさぁ、現場で働いてる医師も可哀相だわ。某市民病院の院長がぼやいてたぞ?大学病院辞めた時の退職金が、プリウス一台分にしかならなかったって。
今回のコロナ禍だって、被害者は完全に若い世代だ。
失われた氷河期世代の次は失われたコロナ世代ってか?
あーもう、なんもかんも政治が悪いんや・・・。(ヒツジ先輩)
8時30分
朝食の案内で朝飯を受け取りにエレベーターに乗る。
弁当は今回も幕ノ内だった。
食べ終わってからトイレに行くと、変わらない食生活とストレスの為か、まーたケツ兄貴がガチギレしていた。
「生理かな?」
ケツ拭いたトイレットペーパーを見てドン引きする。
マイ・ア・ナール、もうズタボロやんけ・・・。
うちは胃腸のガン家系なので、ポジコロで生き残ったとしても死ぬときゃ大腸ガンか直腸ガンだと思う。そういえば、大学の実習で某病院にタダ働きしに行ってた時、臨床検査センターで切除されたばかりの直腸がん(プラバックにホルマリン漬けされたもの)を触る機会があった。
アレこそまさにケツの穴を内側から見れるというレアな献体だったが、見た目は完全にホルモン。プラバッグ越しに触った手触りは完全にゴムタイヤのそれだった。もうね、癌になると腸の細胞もカッチカチに固まってしなりが無くなるのね。転移の少ない周辺細胞は柔らかな手触りなのだが、癌化の進んだ肛門付近の細胞は完全に古くなったゴムのそれ。これは炭火で焼いても食べれないと思ったね。
最近本当にケツがよく切れるので、ワイのアナルもあの時のガン細胞みたいにしなりが失われつつあるのかもしれない。
え、柔らかくなるようにほぐしてあげるって?
申し訳ないが取り返しのつかない開発事業はNG。
時代はもう令和!!
乱造されたソーラーパネルのツケを払うのは君達若者だ!!
なんもかんも政治が悪い。(ヒツジ先輩Ⅱ)
9時30分
しまったぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!
怒りで長文書いてたらプリキュアと鬼太郎見忘れた・・・。
くそ、なんもかんも政治が悪い・・・(ヒツジ先輩Ⅲ)
12時30分
ずっと動画見て過ごす。どのみち今日はPCR検査もない日だし、検査センターがパンクしてるらしいので結果も明日になるだろう。今日はマジで何もないただ拘束された日なのだ。SGWチャレンジの最終日だったが、もうダメだ。せっかく友人が支援してくれた物資だったが、荷物は諦めるしかない。
なんもかんも(以下略)
13時
弁当は・・・またこれか・・・。
おかず8品中6品が漬物という意識高すぎ弁当。残り2つはジャガイモのコロッケと、桜餅。梅干しがやけに酸っぱい。
14時
ベッドでウトウトしていたら、内線で看護師より電話。
「昨日の検査が陰性でしたので、これからお帰りになれます。このあと事務局より説明がありますので(以下略)」
ファッ!?マジで!?
検査センターがパンクしてて明日になるんじゃなかったの!?
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
もしやとは思っていたが、どうやら検査結果が早めに報告されたらしい。
あまりにキレ散らかしているので「あいつははよ帰せ」って上の判断かもしれんけど。なんにせよ、とにかくめでたい。
大体、PCR検査だけなら実質もうこれで4回連続で陰性なんだ。
コロナなんぞワイ氏の身体の「はたらく細胞」達が、完全に滅殺したに違いない。
どやぁ!!(ロナウ自慰ニョ)
思い知ったかコロナウイルス!!
お前等なんぞワシの敵じゃないわ!!とっとと死滅しろ!!
15時
確かにね、あとから事務局から電話するって聞いたけどさぁ、遅くない?
こういう所が本当に役人っぽい。
まぁこの間1時間弱あったので、部屋や荷物の片付けを行い、帰る準備を進めていた。ついでに言うと、今日で最後になる筈だったSGWチャレンジを達成するため、SGWの営業所に電話してまだ荷物があるか確認させてもらった。そしたら荷物はまだあるそうなので、今日帰ったらこのままSGWの営業所にGO!だ。
内線で退所に関する連絡がようやく入り、晴れて退所。
体温計とボールペン、酸素飽和度測定器は封筒に入れて返却。
その他、入居時の説明用紙もまとめて全部突っ返しておいた。
記念にもしたくねーわ、こんなもん。
15時10分
帰りはバスでもタクシーでも好きな方を選べという。
もう2回陰性が出ているので、基本的にはもうウイルスがいない人という事で行動してもらっていいそうだ。ただ、帰った後も定期的に保健所からは連絡が入るそうで、今度は帰った後の発熱時の対応に関するマニュアルが渡された。
同時に、入所期間を証明する紙も一緒に渡され、これが各種補助金等の申請に必要になってくるという。
まーでもワイの場合、今回は仕事中の感染。つまり労災みたいなもんだ。
このポジコロ休養期間は全て特休扱いになるのだろうし、今日から始まる退所後の経過観察期間も、恐らく同等の扱いになるのだと思う。職場で抱えていた患者はもう全部放出したらしいが、最期まで働いていた同僚の大半はまだ入院中か、自宅療養であるし、ここからは一職員としてそちらの指示を待つしかないという事か。
15時30分
荷物が多いので、バスでは帰らずタクシーで帰る。
タクシーの運ちゃんには口を酸っぱく、
「もしも陽性になったら、嘘でも呼吸苦をでっちあげて入院した方が良い。軽症ぶってホテルにいたら殺されるぞ。」
と警告しておいた。市中のベッドが奪い合いになるかもしれない危険な話だが、残念ながらホテル内で起きた事は全て事実だ。病院に入れないのなら自宅待機の方が114514倍マシ。
16時
自宅に帰った後、直ぐに家賃を払いに大家さんに挨拶に行った。
「どうにか生きて帰りました・・・。」
「ははは、大変だったね。」
家賃を払った後、今度は車を出してSGW営業所へ向かう。
16位30分
無事、荷物回収。SGWチャレンジ・成功!!
SGWの皆さん、お騒がせしました。
このあと、ガソリンスタンドで給油。原油価格の暴落で大分安くなっているが、それでも何でこんな価格してんだ?税金高すぎだろ。そもそも消費税と二重課税だし、本当に国はいい加減にしろと思う。自動車株上がらないと俺永久に株売れないんだわ。そろそろ自動車関係の税金はどうにかしろよと思う、マジで締め付けすぎ。
コンビニによってヤンジャン立ち読みして生活資金降ろして帰る。
またゴールデンカムイに新しい変態が登場してんじゃん(歓喜)。
肉まんとジュースを購入した。
好きなものが買えるという幸せ・・・自由だ!!
17時
自宅で一息つく。
色々動き回ったが、本当に体力が落ちている。
ちょっと歩いて来ただけで、なんでこんなに疲れ果ててしまうのか。
横になると、間もなく意識が落ちた。
23時
目が覚める。妙にけだるいな・・・まさか発熱してないだろうな?
前回も解熱後から数日空いての再発熱だったので、油断はできない。
保健所からも帰宅後はこまめに検温しろとのお達しだし、念の為検温してみる。
36.1℃。・・・良かった。
それにしても横になったせいか腹が減ったな。
時間はいい感じで深夜だ・・・つまりこれって、ラーメンの時間って事ですよね?(マジキチスマイル)
これは不要不急の外出じゃないよ。
薬膳を食べて身体を治すために出るんだ。
良いね?これは薬膳。あくまで必要な治療なんだ。
モリモリ食べてモリモリウンコ。
ウンコは大事。野菜を作る上ですぐに使える。(肥料的な意味で)
温度野菜となっていって・・・
こんな時間でんぷん潰したいが為に気付いた。(エドモンドさん)
* * *
そんなわけで、ポジコロ入院記はここまで。
この日記はここで終了しますが、そのうち後日談を1話分上げようかと考えています。詳細な話は伏せますが、他の人がどういう病状を経たのかも知る必要はあると思います。あと、死にかけていた同僚も無事生還したらしいです。
とにかく、皆さん呼吸器症状にだけは注意してください。
まだ不明な事も多いですが、アビガンは発熱こそ抑えませんでしたが、呼吸器症状を抑えるのに一役買った可能性があります。
喘息にせよなんにせよ、呼吸器ってのは機能停止するとあっさり死ぬ臓器です。そこだけは充分注意するように。
あと、発熱に関してもこの日記でもわかるように、異様にしつこいです。自分も今回入院中には極力解熱剤は使わず、バナナウンコ療法で自然解熱できるように戦いましたが、自然解熱を促すにしても3日目でスタミナに限界が来てカロナールを投下しています。先日是正されたようですが、4日間の発熱があってから保健所に相談って行政側の判断は、正直かなり無理があると思いました。解熱剤を投与しなかった場合、体力のない人間は3日目辺りから命に関わります。自分のスタミナと相談しながら、38℃を超えたら解熱剤は積極的に使用し、発熱の際は脳を保護するようにしましょう。頸動脈の冷却でかなり楽になります。
ホテルの療養環境がゴミな間は自宅待機の方が良いでしょう。あそこにいる看護師や医師(ほじくり先生)は、ほぼPCR検査の為に常駐しているようなもんです。臨床を専門にしてない彼等に、数百人単位でいる人間の健康状態なんかそもそも面倒見れる筈がないんです。
自分の命の判断を他人に任せてはいけません。自宅待機する場合、ヤバいと思ったら救急車を。サチュレーション測定器が手に入るなら、予め入手しておいた方が良いかもしれません。今はドラッグストアでも取り寄せ未定品になってそうですが・・・。
それでは皆さん、明日以降も御安全に。
Are you 生存!?
* * *
戦績
入院(入所)期間:21日
発熱の波の回数:3回(0日目・3日目・14日目)
使った薬剤:アビガン200mg×126錠
カロナール300mg×5錠・葛根湯(OTC)5回
持っていて便利だったもの:爪切り・歯磨き粉・パソコン
MVP:バナナ・ミカン(最も自然解熱しやすかった食材)
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