17日目

6時


体温を測る夢を見ている。38℃だったり、37℃だったりするのだが、これは実際には測ってないな。そろそろ起きて測らなくてはならないという気持ちはするのだが、起きるのが億劫でこのまま寝てしまおうという気持ちが勝った。


7時30分


内線でたたき起こされる。看護師からの健康確認だ。

そういえば検温してなかったので、体温計を脇に挟みながら対応する。

SpO2 98% Hr89。

体温は・・・35.9℃!?

そういえば今更だが大量に発汗している事に気付く。


自然解熱で35℃台が出たという事は、即ち完全勝利を意味する。

今日はもう大丈夫そうだから是非ともPCR検査やってほしいと看護師に伝えて、電話終了。


8時


朝食はサンドイッチだった。よかった、幕ノ内じゃない・・・。

思えば、昨晩の勝敗の決め手は、あの夕食だったのかもしれない。

昨日は昼の幕ノ内弁当を食うのが苦痛で、途中でスキップしてしまった。

しかし、食事をスキップする事で胃腸の体力は温存できたともいえる。

そもそも自分は元々朝食食べないマンなので、朝食って昼も食うというのは地味にしんどい習慣だったんだよね。


昼をスキップした事で体力は温存できた。そこで夕方のローストビーフと漬けサーモンの丼よ。休養期間と生肉のパワーを得た事で、ワイと生死を共にする腸内細菌兄貴達の挙動にも、一定の変化が現れ始めた。


我は美食を極めし者・・・。(GUK)


考えてみれば、病院ではカッチカチの焼き魚に自分が味覚障害なんじゃないかと疑いたくなるほどクッソ薄い味付けの味噌汁を飲まされたものの、納豆といった発酵食品が添えられているという良い点もあった。カリウムと食物繊維の豊富な生バナナや生オレンジ、キウイといった青果を食べる機会もあったし、そういう意味では確実にあっちの方が療養食ではあったのだ。初日は空腹に悩んだが、3日も経過するとあの量で慣れてしまい、ご飯の量も300g→200gで丁度良くなった。


医食同源という言葉があるが、ワイ氏は薬と同様に食事の力を強く信じている。

勿論、必要時に適切な薬を使う事は大切な事だが、葛根湯使い始めた所でも書いたように、最終的に人の身体を健康に導くのは薬ではなく食事だ。食事の情報は経験と知識によって集積され、最終的に「今何が食べたいか?」という本能的欲求によって最適な解が導かれるようになる。


食べる経験とは即ち、己の身体が欲するものを正しく理解する為の、動物として最も基本的な教養であり、同時に才能でもある。この世には体質により食べたくても食べれない人も沢山いるのだから、食べれるというのは即ち神に与えられた才能ジーニアスなのだ。

海老・蟹アレルギーの人とかホント可哀相。

あんなクッソ旨いものを一生食べれないとか・・・。


日本人なら発酵食品!!


(以下、発酵食品に対する熱い思いを記したんだけど長文になったので割愛)


みんなもくさや、食べようね?

真空パックしてあるから通販で新島とか伊豆大島から買おう!(提案)


9時


窓を開けて空気を入れ替えていたが、また身体が冷えてぶり返しては困る。

再び横になって動画を見て過ごす事にする。


10時


おかしい。

PCR検査で呼ばれるなら、この時間帯になる筈だが・・・。


10時40分


念の為検温してみる。36.4℃。

よし、良い感じだ。体調もすこぶるいい。

順調に自然発汗しているようだし、もう大丈夫やろ。


11時50分


36.0℃。よし、引き続き順調だ。

結局午前中はPCR検査に呼ばれなかった。

まさか・・・明日に回されたのか?


12時


昼食。少しグレードの高い弁当。

幕ノ内弁当というよりは、松花堂弁当っぽいな?

ヒジキや漬物の類は大差ないが、鯖の照り焼きはそこそこ良い物を使っている。それに、白飯に乗っているこの味付けシラス・・・混ぜ込まれているのは山椒の実か?緑茶を含みながら味わえば、これぞ味変・・・ククク、スバラです。


13時


午後の放送。これから作業を開始するとあるが、もしかして午後はもうPCR検査ではなくなんちゃって聴診の時間なのでは?


13時30分


看護師から内線。

体調確認の電話だった。


あれ・・・PCR検査は?


「もう今日分の検査は午前中で終了しました。」


は?


「医師の判断で、検査は明日にしましょうって事になりました。」


は??


ほじくり先生ドクターさぁ・・・。

人の鼻の穴をほじくるしか能のないあんたが、本日、まさに二度目のポジコロ勝利宣言を出したワイ氏の鼻の穴を、「今」ほじくらないでどうすんのよ?


長らく監禁生活でフラストレーションも怒りゲージもMAXが近い。

ビキビキ(#^ω^)ビキニ1、2、3!!


この時点でSGWチャレンジはいよいよ最終局面に突入。タイムリミットは次のヒーリングっとプリキュア。この期日までにSGW某支店に回収に行けなければ、預けられた支援物資の荷物は返送されてしまう羽目に。


なんもかんもほじくり先生が悪い。


割とマジでイラついていたので、看護師にはそろそろ弁当にポカリスエットばっかり入れるの止め、過血糖になるから通常に戻すように苦言。


だってさぁ!

いくらワイ氏が発熱してて水分補給が必要だからって、毎回毎回律儀にポカリスエット500ml×2本ずつ弁当に添えるんやぞ?

結果、もう12本目や!!いい加減にしろ!!

いくら水分補給と言っても、こんな糖質多い清涼飲料水を断続的に6Lも飲まされ続けたら、過血糖で白血球兄貴も身動きとれんようになるわ!!

もうちょい考えてよ!!君ら医療の専門家でしょ!?


何でPCRの検査だけそんなに慎重なんだよ!!ふざけんな!!


14時30分


愛知県のポジコロ野郎がホテルから逃走したというニュースを見た。

「医療行為を受けられない事に不満を持っていた」

という話を聞いて、まさに今の自分やんけ!と戦慄する。


自分は退院前にもらっていたカロナールの残りと自前の葛根湯もあったし、まぁそれなりに薬の知識はあった。最悪の事態に備えた闇ルートも確保していたし、やろうと思えば自力で薬物治療が可能な状況だったわけだが、もしもこんな環境下で薬も知識もない人が突然高熱出したら、どういう精神状態になるだろうか?


大体、体調不良時の対応はただ紙に「電話しろ」しか書いてくれてないし、緊急時の番号は携帯電話の番号も含めて3つ程あって、メインで使われている番号は夜間使用不可能になるらしいじゃないですか。

しかも、昨日の朝は時間外だからサブの番号に2回も電話したけど、結局出なかったよね?電話があった事すら知らなかったようだし。


正しい手洗いのやり方だの、咳エチケットに気を付けましょうだの、そういった相手の行動を制限するようなパンフレットは何枚も入れているくせに、高熱時には脳保護のために頭や首を冷やしましょうとか、タオルを予め凍らしておきましょうとか、そういう実用的な情報は一切書いてない。とにかく医師や看護師の指示を仰ぎなさいとしか書いてない。


なーにが「医師の指示」じゃ!

「医師の指示」なんか大っ嫌いなんだよ!!

だいたい人の鼻の穴ほじくるだけで他には何もしてないだろ!!


そりゃ脱走者も出るわ。


病院では8時間毎に飲んでよいとされていたカロナールも、ここでは12時間毎に厳しく制限されている。4時間でキッチリ効果が切れてしまう薬を、12時間毎ねぇ。


ははっ!!(ワニ顔)


カロナール。

良い薬ですよ。


まぁここは病院じゃないんでね。

「本当は使わせてあげたいんだけど・・・」

っていう言い訳はいくらでもできると思う。


けど、こんなペースでポジコロが発生し続けていれば、この手の

「自宅に帰してくれ!!」

事件は今後も各地で起きるんじゃない?(なげやり)


今日も全国のホテルに入っている無症状・軽症の彼等は間違いなくコロナ陽性ポジコロ者達で、中には自分と同じように突然高熱が出て、何日もヒーコラ苦しんで、それでも呼吸器症状がないからって理由で病院に移してもらえないって人は沢山いる筈だからね。


というか、呼吸器症状ばっかりに注意し過ぎじゃない?発熱だって結構危険な症状ですよ?部屋で熱性けいれんとか起こしてたら、それこそ人知れず死亡じゃないですか。


「このままじゃ殺される・・・」


そう思われたら、おしまいやぞ。

せいぜい気を付けなよ、ほじくり先生。


17時30分


夕方までずっと動画を見て過ごしていた。

テレビは・・・見ない方が良いね。

定時検査の時間なので、測定。

KT35.3℃、SpO2 99%、Hr100。


17時50分


淡々と数値報告。

今日は一日熱引いてたんだから、なんかリアクションしろよ公務員。

明らかに自分がイライラしているのが分かる。


18時


夕食の案内だったが、動画を見るのに集中していて後回しに。


18時20分


夕食を貰い忘れている事に気付き、慌てて取得に出る。

エレベーターでいつもは見ないポジコロ野郎共と遭遇する。

もう9階まで埋まったのか・・・。どんどん増えるな。


18時30分


夕食は洋食弁当。これは1300円位する弁当だな。

ローストチキンに、少量だがカレーソースも用意してある。

もう発熱もしてないし、美味しく完食。

怒りゲージ、ちょっとダウン。


19時


作業をするから弁当フロアに来るなとの館内放送。

これ繰り返し放送するんだが、動画やテレビ見てる時に急にバカでかい音で放送開始するもんだから、本当にイラっとするのよ。怒りゲージは一瞬振り切れて、

「あぁーうるせぇ!」

って叫んじゃったもん。危うく絶・水月刀が炸裂するところだったわ。

でも、今は他の部屋の人も皆同じ気持ちだと思う。


2日くらい前かな?自分は熱でそれどころじゃなかった時に、

館内放送で「周りの部屋の人の迷惑にならないように、運動等は音をたてないようにしてください。」という放送が入った。

恐らく、ヒマを持て余した全身チンポの金髪キノコカットポジコロ陽キャ野郎が溢れる性欲を運動で鎮めるべく部屋でドスドス動き回り、入居者同士のToLoveるダークネスにハッテンしてしまったのではないかと・・・。

隣室の陰キャから事務室に苦情が入り、放送に反映されたって所か。


おお、矢吹神よ!

彼等の怒りを鎮めたまえ・・・!!


軟禁生活が如何にして人の精神を蝕むのか、日記をつけているとよく分かるな。


20時


さて、今日もそろそろ風呂に入って寝るか・・・。

もしも明日も検査見送りにされたら、流石のワイ氏もブチギレてほじくり先生のフェイスガードを剥ぎ取り「お前もポジコロにしてやる!!」とか言い出しかねんな。


皆さん、明日も御安全に。

合言葉は「ばら撒くぞこの野郎!!」


ぐっない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る