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しばらく歩くとそこに建物が建っていた。小屋というには大きい。目の前についたとき、これが駅であることがわかった。看板などはなかったが二両編成の古風な列車がそこに止まっていたからだ。夏はあきれてしまう確かに遥の趣味っぽくはある。さっきから感じる違和感の正体がこれで理解できた。これではまるで遊園地だ。間違いなくここは人工の世界だ。自然を模倣しているだけの世界。細部まで人の手が入っている。夏は駅の中を一通り見て回る。落ち着いた雰囲気の小洒落た駅だがなにも置いていない。説明書もないので使い方もわからない。じっとしていてもしょうがないのでとりあえず列車に乗ってみる。線路は一方にしか伸びていない。運転席はこっちかな? 夏は先頭車両の一番前まで歩いていくが運転席がない。じゃあこの列車はオブジェ? 背負っていたリュックサックを床におろして夏は席に座る。まあここなら一晩過ごせるし今日はここに泊まればいいかな? リュックの中には寝袋が入っている。食料もあるので問題はないだろう。夏が背伸びをしていると急に列車が音を立てる。その音にびっくりして夏があたりを見渡す。なんの音? 慌てていると列車のドアがしまる。そして列車が走り出した。夏は列車の窓から前方を見る。ゆっくりと列車が走っている。森の中を走っていく。夏は突然の出来事でなにをしていいのかわからなくなる。この列車が遥のところまで運んでくれるのだろうか? 夏は席に戻ると腰をおろす。歩きっぱなしだったからとても気持ちいい。
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