第7話
『うわぁ.....すごい!』
探検をはじめて少し時間がた経った。男の子はこの不思議な状況に慣れてきたのか、お喋りが止まらない。
『ぼくはね、野球をしてるの!ピッチャーやってて、しあいにもたくさん出てるんだよ!』
「野球かぁ.....私そんなに詳しくないや。
ごめんね。」
そんな他愛のない話をしている間も、私の頭の中は、真実を伝えたあとの不安でいっぱい。
『ぼくはね、これが好きなんだ〜。こんなふうになりたいなぁ....』
「かっこいい人?」
『ちがうよっ!みんなを守れるみたいな、そんな人。』なんて、瞳を輝かせて話す姿を見ていると本当に切なくなる。
もし、生きていたならこの子には.......どんな未来が待っていたんだろうかと思うと、本当に胸が痛む。私は残り少しになった扉までの道程をしっかりと男の子の手を握って歩いた。
「あ.....。」
『ん?どうしたの?』
おかしい....まだ扉まで少し距離があるはずなのに.....目の前に、あいつがいる。
『遅いよ。何してるの.....ボク言ったよね?間に合わなかったら、こっちの世界に閉じ込められたままになるって。』
「そうだけど、さ....。」
そうだけど.....けど.....。
『まさかこの子のこと【生き返らせたい】って思ってたりしないよね?』
やめて......その話はまだしてないの。多分この距離だから.....。
『やっぱり、そうなんだ.......。おかしいとおもってたんだけどやっぱり......。』
しまった......!
『ぼくってほんとうは、しんでるんだね......。』
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