第6話

「ここか?」

マシュマロと別れてしばらく歩くと駅についた。私のイメージではかなり暗くて廃墟みたいなものだったけれど思ったより....いや、思った以上に綺麗な場所だった。現世の世界で言うと、田舎にありそうな無人駅のような場所だった。

「えっと.....よしっ.....まだ、大丈夫。」


念の為、男の子を探す前に時計を見ておく。


『ここは.....どこだろう?』

ふと前を見ると不思議そうな顔をした男の子が立っていた。

『ぼく、なんでここにいるんだっけ.....?』

やはり、今自分に何があったかを理解できていない様子だった。


『あ、おねえさん.....ここはどこ?ぼくさっきまでともだちとあそんでたんだけど.....』

不思議そうに当たりを見回していた少年が、こちらに気づいて声をかけてきた。さて、ここからどうしようか.....。あいつがいれば簡単に事が進むんだろうけど....。少なくとも私には、会ってすぐに死んだことを伝えられる度胸も、勇気もない。『あーあ......楽しかったのになぁ.....』


「何してたの?」

何をしていたのかも、その後どうなったかも私は知っている。

『川であそんでたんだ、そしたら急に目の前が真っ暗になって.....』


なるほど、死ぬ時ってそんな感じなのか。「あ、そうだ!せっかく不思議なところにきたんだし....私と探検しようよ!」

探検に誘って、扉まで案内する...ちょっと可哀想な気もするけれど私の頭では.....こんな考えしか浮かばない。


『えっ!?行きたい!』

予想通りの反応....砂時計も大分砂が落ちてしまったから、できるだけ急ぎたい....この子に今の状況も理解させつつ。


マシュマロには、扉の前で待っててもらえるように頼んでおいた。ちゃんと送るって言っておきながら、結局最後の最後はマシュマロに任せてしまうことになりそうだ。

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