第12話 魔法の勉強をしよう

 ジェルミーから告げられたミーティングとは、第三魔法師団のメンバーによる研究成果の報告だった。どうやら第三魔法師団は研究者が多く。難しい魔法理論を聞いても正直わからない。


 もう一つ無駄な時間があった。


 マルゼリータ師団長を持ち上げる時間である。ミリューゼ様のためにどんなことを心掛けたとか、実際にミリューゼ様に喜んでもらうためにこんなことをしたなど。


 正直どうでもいい……。


「よし、ライアン。よくぞそこまでミリューゼ様に献身した!」


 マルゼリータ師団長が功労賞と言いながら、研究費という名の資金を提供するのでみんな必死なのだ。

 会議中、新参者ということもあり、意見を求められることはなかった。


 物凄く無駄な時間を使った気がしたが、部屋を出るときにジェルミーに図書室は無いかと質問してみた。


「魔導師団専用の図書室がありますよ。魔法に関することから、普通の図書館では置いていない資料まで置いています。あなたが勉強するのであれば、どうぞ自由に使って構いません」


 ジェルミーから図書室の利用を許可してもらえたのは有意義なことだ。相変わらずの無表情だが、親切に説明してくれる。


「ありがとうございます」

「あなたが成長することは魔法師団のためになりますので」


 ジェルミーは説明を終えて、去って行ったので頭をさげて見送った。


 教えてもらった図書館に行けば、アリスさんのところよりも立派な造りの図書室があった。屋敷の一室が数万冊の本に埋め尽くされている。


 一通りの本棚を見るために図書室を歩き、一冊の本を手に取る。タイトルは、賢者になるための魔導書と書かれていた。

 ゴブリンシリーズよりも高位なことが書いてあるに違いない。


 賢者になるための魔導書は書き方が面白く、ページをめくると読むことを止められなかった。前に読んだ魔法の原理とは訳が違う。

 賢者になるための魔導書は解説付きで分かりやすく書かれていた。


 魔法には基本属性と呼ばれるも六属性が存在する。


 火、水、風、土、光、闇の六つだ。そこから発生した複合属性や上級属性、魔族や獣人が使う固有属性まで存在していることまで書かれている。


 複合属性には毒、雷、氷、砂、木などが今まで発見されている。


 固有属性には肉体強化である肉や骨。

 スピードやエンチャントなどまだまだ解明されていない補助系魔法も多く存在する。


 上級属性は、魔、聖、空間、時間など特定の条件を満たした者しか使えない属性のことを指す。

 

 更には磁力や重力などの生まれながらの才能が無ければ使えない魔法まで存在するのだ。


 魔法は面白い!勉強が苦手なヨハンでもここまで知識を伸ばしたので理解できるようになってきた。


 属性には、基礎、初級、中級、上級、王級、神級と六つの威力を表す段階がある。


 魔法はイメージが大切である。訓練は精神と共にイメージを安定化されることに重点を置く。媒介となるもの、魔石、魔法の杖などを使うことで威力を増幅することができ、また魔力の消費を抑えることもできる。


 本を一気に読み終え、図書を後にした。あれほど面白い本を読んだのだ。書かれている内容をもとに練習したくなる。自室に帰って魔法をイメージしてみる。

 イメージで大切なのは、自身の魔力を違うモノに変換するということだ。それは信じる心であり、魔法を生み出す力になる。

 スキルポイントの存在を知らなければ魔法など到底できると思えなかった。実際に魔力を水やヒールとして使っているが、それはスキルの補助があるので、イメージしやすかった。

 イメージすることでスキルポイントを使わないで魔法を使えるようになるなら、これほどお得なことはない。


 順番にイメージしていく。火、土、風、光。


 魔力を使って、様々な基礎属性を作り出す。闇以外の属性はイメージしやすく、すんなりと使えるようになった。


名 前 ヨハン

年 齢 14歳

職 業 冒険者(ランクC)戦士、エリクドリア王国第三魔法師団所属

レベル 32

体 力 230/260

魔 力 110/158

攻撃力 178

防御力 236

俊敏性 221

知 力 209

スキル 斧術3、スマッシュ、アイテムボックス、経験値アップ

魔 法 ヒール4、ウォーター5、ファイアー1、ストーン1、ウィンドー1、ライト1

兵 法 背水の陣


スキルポイント 25


 魔法の練習をしただけでレベルが上がった。そのうえ魔法の基礎属性は一通り使えるようになった。


 ファイアー1、小さな火が出せる。

 ストーン1、小さな石を生み出せる。

 ウインドー1、風が吹く。

 ライト1、小さな光が生まれる。


 知力も等々200を超えて一般人よりも賢くなった。


 この世界に来たときは3だった知力が200。偏った知識ばかりだが、やっと人並みになれた。


 レベルアップ出来たので、スキルポイントも増えた。レベルが30を超えたことで、覚えられるスキルが増えていた。

 

 鑑定も興味深いが、それよりもこの世界で生きていくために必要なスキルをとろう。


 投擲、攻撃力上昇、防御力上昇、敏捷性上昇、体力自動回復、魔力消費半減。


 どのスキルもスキルポイント3で取れるお得スキルなのだ。

 六つのスキルを取ることで、体が軽くなり力が漲ってくる。


「ここにいたか」


 自室で色々とステータスを検証していたら、ジェルミーがやってきた。


「副長、どうされました?」

「戦争が始まるぞ」


 来たか、思ったよりも早かったな。


「相手はどこですか?」

「獣人どもだ」


 ジェルミーの発言を聞いて、興奮してきた。獣人族との戦いは大きな大戦というわけではない。前回の共和国の戦争の続きである。

 共和国と獣人国は隣接する国同士で、獣人の姫様は攻略対象の一人なのだ。

 

 戦争開始直後にイベントがあるはずだ。ランスの成長度合いによってはイベントが異なる。ランスとしばらく会ってないからな、もしかしたら手伝いが必要になるかもしれない。


「これから第三師団はどうされるのですか?」

「今回、我々は待機だ。ただ、戦争中になるからなあまり自由に動くなよ」


 ジェルミーは、俺が何かしようとしてるのか分かっているようだ。


「ええ、大人しくしておきます」


 ため息を吐いて、ジェルミーは無表情で去っていった。

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