なんで私を選んだんですか?

@pinkcherry

第1話 告白(前編)

「もうこれで何人目!!浮気ってなんなの?本当に最低!私だけって言ったの嘘じゃん!!」

携帯の画面を見ながらともみは泣き叫んだ。失恋だ。

画面を切り替え友人、なおきに電話をする。


プルルルルルル…プルルルルルル…

「もしもし。なおき。また別れちゃった…」

そう。また。これで3度目だ。

「またか?今度はどうした?喧嘩別れ?おまえ夫婦喧嘩は犬もなんちゃらって言うだろ!」

と慰め混じりになおきは言う。

「違うもん…浮気されたんだもん…」

私は半べそかきながらそう伝える。

「たくっ!しゃーねぇな。今から家行くから!それまでに涙流しきっとけよ!」

そうなおきに笑顔で言われた。

「顔がブサイク!だけど来てくれた方が助かる…かも。待ってるから早く来て!」

プツッ。そう言って電話を後にしなおきが家に来るのを服を着替えながら待った。


なんで私だけ。と思いながら髪をひとつに結っているとピーンポーンとインターホンがなる。

やっと来た!そう思い玄関に行き、急いで扉を開けた。

「もう!遅い!」

そう言って何も言わずニコニコしながら両手を合わせ「わりぃ!」と言いたげななおきを出迎え、部屋へ連れていき別れた詳しい事情を全て話した。


「なるほどなー!ともみ本当にろくな男と付き合わないよな。」

と目の前で涙を流す私をニコニコしながらそう答えた。

「酷いよ。付き合った時は優しかったんだよ。」

と言い訳混じりに呟いた。

「あー!もう!この際だからはっきり言う!俺はお前が好きだ!前の男みたいにともみを雑に使わないし、浮気もしない!それに幸せにする!だから俺と付き合ってほしい。」

と唐突、慰めなのか冗談なのか、分からないなおきの言葉に涙が止まり空いた口が塞がらなかった。

すぐ我に返り1分程無言が続く。

「今の話本当?」と最初に呟いた

「俺は本気だよ。別れたから付け入ろうとなんて思ってない。それに好きじゃなきゃ言わない。返事は落ち着いたらでいいから。」

高校入学してから2年間仲良くしてきたなおきから言われた言葉。友達としてしか見てこなかった私は答えが出なかった。と頭の中で考えていると

「今日は帰るわ。また学校で!」

一瞬恥ずかしそうな、落ち込んでるような顔を見せ直ぐにいつものなおきに戻ったなおきが部屋を出る。

「あっ!玄関まで送るよ!」

そう言ってなおきを玄関まで送った。

なおきが帰った途端、頭が真っ白になりつつも部屋にもどった。ご飯は「ダイエット中」と言い訳をしご飯を食べなかった。お風呂にも入りたくはないが、さすがにと思いお風呂に入りまた部屋にもどった。


今日の事で頭がいっぱいだった。が、「このままじゃダメだ…寝よ!」そう言い聞かせ、しばらく寝ようと考えていたが、ふと気がつくと今日の出来事を思い出していた。

それを何度か繰り返し気づけば一睡もできず夜が明けた。

目の下に隈が出来た顔で朝ごはんを食べに下へ降りる。昨日食べてないせいかお腹が空いている。

下へ降りると「おはよう!」と家族の声

「おはよう。」と眠そうな声で答えた。

「凄い隈…ともみ寝てないの?」と母の声がするが今はそれどころではなく、「うん。」と言いまだお腹がすいているのにもかかわらず「ご馳走様。」と言って部屋へ戻る。

「さすがにこの顔で学校に行けないよな…」

と呟き机の上にあったメイク道具でお化粧を始めた。

お化粧が終わりふと時計を見ると8時30分。遅刻だ。

大急ぎで制服に着替えカバンを持ち靴を履きながら「いってきます!!」と慌てた口調で言い、学校へと走って向かう。

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