第4話 私が狙い⁉︎
「ゲッゲッゲ..爆烈な匂いがする...愉しげなリズムだ。ヒッヒ!」
学校ってのは集団行動が好きらしい
群れて動く事が正義みたいに、個々の可能性を潰してる。自分たちで選んだランダムな性質を、吟味する事なく打ち消そうとしてるんだ。
「なのに夢を持とうなんて言う」
いっその事、全部爆発でもして跡形も無く無くなればいいのに。
なんて間違っても
口に出すべきじゃなかったよ。
『速報です、南禁高校で大きな爆撃が発生しました。近くに原因と見られる物質は無く、被害は家庭科室から発生したようです。』
「事故..じゃあないよね。」
原因はわかってる、原理は知らないけど。また〝変な奴〟の仕業だ。
「宣戦布告ってやつ?」
爆発音が聞こえてから警察が調査に入り学校は休校になった。友達いない私は比較的自由な行動ができ、残って現場へ向かう事も容易で行えた。
「って、悲しい事言わせるな」
家庭科室って地味だな。
薄暗いし、興味湧かないわ。
「天井に穴が空いてる..」
突き破った先で曲がった後がある、何部屋か伝って来たってことかも。
「調べてみるしかないか」
「ここでなにしてるの?」「げっ..」
来たよ、ヒカリ先生。
執拗に話しかける面倒な奴。
「逃げ切れたと思ったのにな」
「なに、逃げるってどういう事?」
「ゲッゲッゲ..」
普通の奴は巻き込みたくないから、つるまないようにしてるのに。
「離れないでよ?」「え..?」
衝撃を跳ね返すと向こうが被る。対象外の衝撃を防ぐには、反発を人に連鎖させて...巻き込む!
「ハグだって、気持ち悪りぃ。」
「いっ..!」「目瞑ってなよ」
範囲的な爆発は反発すると厄介だ。大きさを絞る。そうだな、爆竹くらいのお遊びってところか。
「ンッ?」
「派手な事するなよ、変態!」
メカニズムとかあんのかな、気化すると爆発するとか。なんかそんなん。
「オレの爆発がッ、つまんねぇネズミ花火に変えられたァ...!」
「あなた誰!?」
今頃気付いたのかよ。それでも教師か
..教師って、こんなもんなのかな。
「ダレでもイイだろ?」
「もしかして...友達なのかしら」
「はぁ!?」
「良かったじゃない、アナタ友達いないって言っていたもんねカナミさん」
「マナミだよ!八千草マナミ!」
はぁ..だからコイツ嫌なんだ
担任なのにイカレてるからさぁ。
「くだらねぇ。
ヒヒッ、ずらかるぜ?」
「あっ!」
「壁に穴を開けた、何それ」
「ああやって別の部屋へと移り変わって馬鹿にしてるんだよ」
「駄目よ、仲良くしなきゃ。」
「..もううるさい」
やっぱり家に帰ればよかったかな?
ダメだ、アイツら街中でも平気で派手な事するよ、めんどくさい!
「家庭科室の隣ってなんだっけ?」
「多目的室。」「何も無いじゃん」
良かった、大きな被害にはならなそうでもそこで止まる訳ないしな。
「あのまま横に進んでいくと行き着く先は...マズいかも」
余計な事ばっかしやがって。
「すぐに止めないとっ!」
「何処にいくのよ⁉︎」
「ヤバいんだよ!
アイツは性格悪そうだから、殺風景な処に爆破は仕掛けない。だから横に進んでる。二階の端には何がある?」
「....理科室!」
多くの薬品を気化させて反応を起こせば爆撃は肥大化する。
「横一列で穴を開けて移動すれば...」
二階の部屋は更地に変わる!!
「どうするの?
急がないと、もう手遅れかも。」
「いやそれは無い」
「え?」
「私は立場上いろんな奴に意地悪されてきたけど、アイツは積極的に動くタイプじゃないと思う。」
「..やっぱり仲良いのね」「違う!」
ある種積極的ではあるけど自ら動かない。焚きつけて急かして、駆けつけたとき目の前でってやり口だろう。
「逆に言えば、近付かなければ考える時間は有り余るって訳だ」
「そんなに上手くいくの?」「さぁ」
正直、モノ考えるのは好きじゃない。
一人なら、突っ込んでいっても傷付かないんだろうけど。ここ学校だし、変な教師がいるわでどうせ被害は広がっていく、やっぱ熟考しかないね。
「私は何か手伝えないかしら?」
「手伝う…あ、そうか。」
普通の人にも使い道はあるな、特に教師なら違和感ないし。
「簡単な事を頼みたいんだけどさ..」
リスクはあるけどこいつならいいか。
『理科実験室』
気配あり..扉の先か。
「入ってコいヨ...そすりゃドカンだ」
周りは薬品で満たした器具ばかり、ノブに触れて扉を開けりゃア括り付けたボムワイヤーで総てに繋がり気化を起こす。勿論抜け穴に通じてるから他の部屋にも大拡散だ。
「さぁ入レ!一歩を踏みダセヨ!!
愉しいぜェ、ニューワールドわよぉ」
「それじゃあ遠慮なく。」「入レ!」
よくドラマとかで爆弾を切るとき、赤か青かの導線を切るか迷ってる描写があるけどあれはナンセンスだ。
入り口が一つしか無いと思っているから一つの解決を迫られる。
「停め方の正式な応えは〝どっちも切らずに素早く止める方法を探す〟だ」
「おじゃまします!」「来タ!」
タコ足配線ボムワイヤーが火を吹くゾ
「覚悟シナ...ん、なんだ..違ウ!」
扉を開けたのは教師!
生意気なガキは何処いっタ!?
「誰探してる?」「ナッ!」
オレが開けた移動用のアナッ!
わざわざそこから入って来たノカ⁉︎
「抜け道にまで糸通してるなんて最低だね、でも良かった。お陰で上手いこと仕返し出来そうだよ」
「……。」
おいおいウソだろ?
ボムワイヤーは振れれば気化して爆弾に変わる。それをお前...。
「なんで掴んでいられんダヨ!?」
「...なんか、やってみたらイケた。」
ノリ!?
「掴んでゴンドラみたいに滑っていけば入り口の扉に着ける。」
「オレが聞いてんのはそれじゃネェ!
なんで爆発シネェんダヨ!」
「あなた能力者だよね?
だったら分かると思うけど、私は受身の異能者だよ。衝撃を跳ね返す。」
「ワカッテル!
だから追いかケテんダロガ!」
「..迷惑だけど、有難う。
一つだけ理解も出来た。私の能力反発は力の強弱だけじゃなくて、留めて保存も出来るらしい。」
「知ルカァ!!」
「話くらいちゃんと聞きなよ。触れたワイヤーの爆撃は今何処にある?」
扉のワイヤーが外れた、たこ足が引っ張り上げられて一本の束に!
「簡単だよね、これ。
扉まで行ってから一つずつ外そうと思ったけど、引っ張ったら全部一気に集まってきた。」
部屋の隅に敢えているのは糸を展開させやすくスイッチを入れるタイミングを図りやすくする為。
「だから糸が飛んでくるとも思っていない、そうでしょ?」
「ファ!?」
束ねた糸は爆発しないけど、拘束の道具にはなる。
やり方は簡単、間抜けの殻の対象に投げつければいい。
「ギャ、縛られた!」
「先生薬品捨てて、もう安全だから」
「ええ!」「ゲーッ!」
「危険も無い仕掛けも無い。
まるで多目的室だね、何も出来ないだろうけど。...あ、それと返すわ」
「近寄るナ!」
「そんな事言ったっていらないし。
量が多いから長引くと思うけど、自分の出したものだからさ。」
『反発』
大きな衝撃の規模を小さく掌に凝縮しそれを相手に当てる事で返却する事が出来る。範囲が極端に縮小される為多大な衝撃を与えられないが慢性的に長い時間を掛け一定の衝撃を与え続ける
「罰ゲームのビリビリだと思ってくれれば分かりやすいと思う。」
「クアァァッ‼︎」
身体が、爆発してルゥッ!
「天井に穴開けてるよ..」
「追わなくていいの?」
「いいよ別に、帰ってくれるなら都合良いし。私も帰ろっと」
ガンガンに能力使っちゃったけどまぁ大丈夫でしょ、もともとイカレてるし
「さようなら。」
久々に買い食いでもしようかなぁ..。
「あの子やっぱり面白いわ。」
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