10.芝宮涼子は馬を駆る
あれから、競技会には予定どおり出場することができた。
しかも、思った以上に上手く行った。
なんと芝宮先輩は一ヶ月で馬術を見事なまでにモノにして、スラロームで敢闘賞まで取ってしまったのだ。
皆も驚いていた。
ちなみに、何故そんなに上手く乗りこなせるのかと、コツを聞いたら、馬に舐められないようにメンチを切ると、言うことを聞いてくれるのだと言った。
ただ、僕と百道の見立てはちょっと違っていた。
たぶん、馬は先輩を怖がっているのではなく親しみをもって従っている。
なぜならば、馬がそうであるように、僕と百道にとっても先輩は怖いから親しみを抱く相手に変わっていたからだ。
「芝宮ァ、おまえ大したもんだナぁ」
大戸先生が珍しく褒めた。なんだか僕らも誇らしいしとても嬉しい。
芝宮静子は、元気よく応える。
彼女は関わるものをポジティブにさせる。
それは、少なくとも彼女の未来を切り開く助けとなるんじゃないか──本人は、あまりわかってないかもしれないけれど。
馬を得た彼女は、何処へ行くだろう?
楽しげに、たぶん、どこか遠くへ──
終わり
芝宮涼子は馬に乗りたい mafumi @mafumi
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