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そんなこんなで、
「指、切るなよ」
ジャガイモの皮をピーラーで剥く時点で四苦八苦していた智也に、苦笑いを向けつつ、ふてくされたようにまな板の上で転がってるジャガイモを見つつ注意する。智也は、そんな俺にふてたような顔を向け――。
「知ってるよ、にゃんこの手でしょ」
……にゃんこときたか、小学生男子。同級生の女子の琴線に引っかかるかは不明だが、二十歳以降の大人なお姉さんのハートなら鷲掴み出来そうだな。
嗚呼、当時の俺にこの可愛げと知識があれば、ワンチャンいけたかもしれないのに。チクショウ。
「にゃー」
「にゃー」
まず鳴いたのは俺だが、被せてきたのは智也であり、一呼吸の間を置いて「「にゃー」」と、雄猫二人で鳴いてみる。
「男同士だと、虚しい」
どっかにあざと可愛い雌ニャンコな女の子はいないものか。
鳴き終えて肩を落とした俺と、そんな俺を不思議そうに見つつも、タン、と、ジャガイモを切る音を響かせた智也。
「女子だと違うの?」
ジャガイモを切りながら、合間に訊ねてくる智也に、鍋の面倒を見ながら「ああ、女子同士がやってるの見ると」一度言葉を区切って、水を入れたボウルで
沸騰してるんだから、味見しても腹は壊さないかもしれない。事実、大したことしてないのに、手順が悪いからか既に一時間以上は経っている。でも、レシピ本にある五時間には遠く及んでないので、もうしばらく火を通してから味を確認することにする。
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