第4話

 10月1日

 

 日記をつけることにした。

 かつては学校生活上で友達というものが出来なかったので、あまり他人との絡みがなかった。しかし、栗東少年を準眷属にしたことで、生活に彩りが出来、些細なことが華やかに見えるようになった。これはいいことだ。


 10月13日


 デートの真似事みたいなことをしてみる。

 ただお互いに「デートっぽい会話」の語彙がないので何ともぎこちないものになってしまった。それはそれで初々しさを演出できた気がするので良かったのかもしれない。遊園地に行って一緒にお昼を食べたり、ジェットコースターに乗ったりした。周りから姉弟に見えているのだろうか。観覧車で夕陽を見ながら吸血というのもなかなかロマンチックで悪くなかった。


 10月20日


 墜ちてほしくはないけど、たまには私のことを好きな栗東少年というのも演出してみたくなったのでそういう設定を作る。

 呼び鈴が鳴らされ、玄関の扉を開けたらもじもじとした少年が立っていた。


「あ、あの先輩……おはようございます」

「おはよう武君」


 これはこれで悪くない、と私は頷く。


「あの……今日も父母の情報を教えてもらいたくて……」

「ふーんそうなんだ。両親の情報目当てでで私に会いに来たんだ。私に会いに来たのが目的じゃないんだ」

「いや……違うんです……そういうわけじゃなくて……」

「冗談だって」


 私は微笑みながら部屋に招き入れた。それを見て彼はほっとした表情を作る。

 いつものようにマナーでキスをしようとしたら、最初の時のように手で静止された。


「あの……白先輩! 実を言うとあなたのことが好きだったんです」

「えー困るなーどういう所が好きなの?」

「え……顔……?」

「他には?」


 少年は黙りこくりだした。

 宙を見つめ長いこと話さなくなった。

 どうやらエラーを起こしたようだ。

 まあいいや。今日はここまで。


 11月10日


 女装をさせてみた。

 メイド服を着させる。スカートの下はトランクスかスパッツか女ものか迷ったが、トランクスにした。そのまま家事をやらせる。一人暮らしをしているせいか家事は得意なようだった。床を雑巾がけさせてみたら、真っ赤な顔をして屈辱的に溢れた目でこちらを見てきて眼福だった。セクハラをして邪魔をしたり楽しみ、最後に吸血行為に移った。


 12月21日


 首輪をつけて四つん這いで山で散歩をさせる。

 見つかったらまずいので少年手製のドローンであたりに人がいないかを確認しながら進んだ。


「あの……流石にこの季節に裸はつらいです……」

「犬はしゃべらないの」

「はい……」


 1月17日


 初めはおっかなびっくりと周りにばれないように彼の行動を指定していたが、だんだん余裕が出来てきたので、学校内でも彼で遊んだりもするようになった。

 体育館の倉庫に呼び出し、座らせて私の口を舐めさせたりしてみた。

 というよりは私が彼の口内をいじくりまわしたというのが近い。

 綺麗な歯並びの上からなぞっていく。生え変わる寸前の歯があっていじってみたら少年は嫌そうな顔をした。

 舌をつまみ、味蕾の凹凸を指で感じる。口蓋垂を少し触ると、えうっと吐き気を催したようで、苦しそうな顔をした。かわいかったので涎にまみれた手を私は舐めた後、彼の柔い顔をべたべたと触った。

 そのあと私は彼に唇を合わせて、舌を入れた。

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