「勇者」と「魔王」。
ゲームや物語で一度は目にしたり聞いたことがある「正義」と「悪」の構図。最後に勇者が魔王を討ち果たすことになりますが、そのあとは?
まさにこれに対する1つの答えかもしれないお話。兵士は戦争がなくればその存在意義がゆらぎます。勇者も同じように、魔王という敵がいたからこその勇者であったわけですから。
就職斡旋所を開業した魔王は、求人を元になんとか無職の勇者を職につかせようとしますが、さすがは勇者に選ばれた者。心優しくも規格外の存在は毎回ハプニングを起こし、魔王は頭を抱えてしまいます。
殺し合う必要がなくなった勇者と魔王による、心温まるお話です。
「もし私の仲間になれば世界の半分を○○○にやろう」これは有名なドラゴンクエストの竜王の有名なセリフです。
ドラクエ1では竜王という名になっていますが、勇者と魔法というのはファンタジー作品でよく扱われる作品だと思います。
今回紹介させていただく「魔王の就職斡旋所に勇者がやってきました。」も、勇者と魔王を扱った作品です。
ただこの作品が少し他の作品と違うのが、勇者と魔王の決戦後の世界を熱かった作品だということです。
魔王を倒し、望みを聞かれた勇者は、「人間も魔物も差別されない平和な世界」をのぞみます。
ではその平和な世界で勇者と魔王はどのような生き方をしたかが描かれている作品です。
実際にありそうでなかった、その後を素敵に作品です。
魔王は悪役世界征服を狙う存在、そのためにこの場所にこの魔物を配置し、この罠を設置しよう。どういう計画を進めよういうならば経営者的な立場です。
生まれ変わった世界で魔王は就職斡旋所を運営しています。
この作品の魔王は、魔王ということで角など生えているのですが、かわいらしい女の子で、町の人に仕事や居場所を作る仕事をしています。
平和な世界で勇者はどう過ごしているのかというと、その力や魔力を平和な世界で持て余していたり、正義感の部分が浮世離れととらられて、居場所を見つけられず、無職で過ごしています。
無職なので魔王が運営する就職斡旋所を勇者は訪ねてきます。
勇者に就職してもらうため魔王は様々な職業を紹介します。
この作品の中での就職先は、パン屋さんが火の精霊の力を借りてパンを作っていたりと、ファンタジーの世界ならそういう仕事があるのかな。こういう人たちが住んでいるのかなと、ファンタジー世界ならではの実在感で描かれています。
この作品の著者の藤浪智之先生は、駅前魔法学園!! などのTRPG作品も手がけられているのですが、私の世代では、ファンタジーRPGクイズという作品がとても身近な作家さんです。
カールスやヴィヴィなどの魅力的な作品とともに素敵な世界を描かれていました。
TRPG遊んでいても、NPCへのかけあいや実在感を大事に遊べればと思っているので、この作品はとても魅力的でした。
職探し中の勇者、生まれ変わった世界で自分の居場所や役割をみつけられるか、それはぜひご自身の目で確かめてください。
作品を読めばこの世界の一員になりたいな。この作品の世界観でTRPG遊んでみたいなと思えるそういう素敵な作品です。ぜひご覧ください!