勇者カッピー山の街に着く

 


 さて、私をノーパンにしやがった視聴者さんに向けてクソ濃厚なBL本の音読を聞かせてあげた私なんですけども、朗報です、ナッチーが目を覚ましました。


 もちろん、傷の手当てはしなくてはいけないのでしばらくは安静にしてもらわなきゃいけないんですが、それにしても大事にならなくてよかった。


 まあ、そんなわけで私達は再びマウンテンパレスを目指して旅を続けている最中です。



「まあ、仕方ない、そろそろ許してあげますかね」


『おぇ…』

『ホモに目覚めたぞ、どうしてくれる』

『まずウチさぁ、屋上あるんだけど焼いてかない?』



 コメント欄もなんか心なしかさらに気持ち悪くなってるような気もしない事はないんですが、多分、私は悪くない。


 ナッチーはため息を吐くと、傷口のところを確認する様に触っている。


 背中から叩きつけられてましたからね、本当にあれは痛そうでした。



「跡つかないかなぁ…、痛っ…」

「多分、大丈夫だと思うわよ、ナッちゃんは丈夫な妹だから」

「まさか、カッピーのパンツに救われるとはねぇ…」

「その事には触れないで!」


『草』

『パンツで世界を救う女』

『パンツを投擲するぶっちぎりでイカれた女』



 ナッチーはいやらしそうな笑みを浮かべながら私にそう告げてくるので、私はとっさに顔を赤くしながら声を上げます。


 コメントが相変わらずすぎる。私に厳しい、ブレイバーズの視聴者さん達よく訓練されてますね、本当に。


 いや、悪い意味でですけども。


 あれは完全に私の中で黒歴史となってしまいましたので、触れてはいけないものです。


 戦闘中にパンツを脱いで投擲するぶっちぎりでイカれた女とか言われたんですよ!


 誰が好き好んでノーパンになると思ってるんですか、しかも投げたパンツは爆発四散してもう戻ってはきませんし、本当に最悪ですよ。



「とりあえず、目的地はボチボチって感じだよね」

「そうだな」

「ねーねー着いたら何する? スキーやスノボとか?」

「山だからねぇ、川とかもあるから!」

「遠足かっ!」


『皆ウッキウキで草』

『山荘で殺人事件とか?』

『山越えなら防寒着いるよね』



 ワイワイと何やら旅行雑誌みたいなもので話し合ってる皆に突っ込む私と草を生やす視聴者さん達。


 もうね、本当遠足気分ですよ、スキーとかするとか言ってますし、まあ、私もやった事ないから興味はあるんですけど。


 運動音痴の私が果たしてスキーやスノボができるかどうか不安なとこですね、緊張しちゃうな…って遊びに行く気分になってたいかんいかん。


 そんなこんなで、私達が話していると目的地であるマウンテンパレスの街が見えた。



「おー…着いた!」

「街が山の麓に建ってる!」

「壮観だな!」



 マウンテンパレスの外観は大きなグラナダ山の麓に街が立ち並び、自然と一体感のある風景を作り上げているようだった。


 私もこんな自然の光景を見るのは初めてだったのでちょっとテンションが上がります。いやはや、引きこもったままだと絶対見れなかったなこんな光景。


 ひとまず、キャンピングカーから降りた私達は宿を探す事にした。


 とはいえ、マウンテンパレスは観光地でもあるので割と早く見つかるのは見つかりましたけどね。



「いらっしゃい、四人ですか?」

「はい!」

「では、角を曲がった奥の部屋になります。鍵をお渡ししますね」



 受付の可愛いお姉さんから鍵をもらい早速部屋へと向かう私達。


 どうやら、四人で一部屋らしいけど、どんな部屋なのか気になるところだ。


 前のシーランドのときは二人一部屋で別々だったからね、一部屋で済むならだいぶ経費的にも浮くし、財布に優しい。



「あー、やっとゆっくりできるー」

「とりあえず防寒着買いに行かなきゃな」

「そうねぇ、ちょうど来るときにいい感じのお店は見かけたわ」

「それじゃそこで買おうか」


『防寒着かぁ…』

『この時期はかなり冷え込むからな』

『オススメの防寒着のソース貼っとくわ』


「あ、本当に! 助かるー!」



 そう言って、わざわざ私達のためにオススメの防寒着を教えてくれる視聴者さん。


 こういうのは本当に助かるよね、私達はどちらかというと山は素人だし、山越えもシーちゃん以外は皆初めてだからこんな風に紹介してもらえると買い物もしやすい。


 さて、というわけで買い物をしにきたわけなんですけど、私達はそれぞれ、似合いそうな防寒着を選びながらオススメされた種類の服を試着していた。



「どうよ! これー!」

「暖かそう! 可愛いねー!」

「こっちも良くないか!」


『こう見ると普通の女の子なんやねって』

『普通とは?』

『パンツを爆破したりウィリーするのは普通だった?』

『女子力(破壊力)』


「それはやめい!!」



 キャッキャと皆で服を選んでる中、私の女子扱いに疑問を出し始めるコメント欄にツッコミを入れる。


 まあ、最近は確かにちょっと女子らしい事はしてなかったかなとかは思ったりはしたけれど、私とて女の子なんです。


 可愛い服は着たいし、甘い食べ物は大好きだし、恋話は…いや、恋人はね…私の恋人はPCだから(震え声)。


 とにかく、女の子扱いされてしかるべきなんですね、はい。



「よーし、とりあえず防寒着はそれぞれ買ったね!」

「おー!」



 そうして、それぞれ防寒着を選び買ったことを確認するナッチー。


 私は可愛い水色の防寒着を買いました。ウサギさんの絵がありましたし、デザインも可愛らしかったんで。


 皆さんはそれぞれ、ナッチーは黄色、シーちゃんは緑、リーンさんは紫って感じでそれぞれイメージに合った色を購入したようです。皆さん似合ってましたしね。



「じゃあ、次はせっかくだし、スノボとかスキーしに行こうよ! キヌッターにも載せたいし!」

「賛成だな!」

「あ、あの! 私、初めてなんだけど…」

「大丈夫大丈夫! 私が教えるって! 行こう行こう!」



 そうして、防寒着を選んだ後は、皆でお待ちかねのスキーに行く事に。


 なんでも、グラナダ山の雪が積もる場所は滑るのには最適でその場所をスキー場にしてあるので、綺麗なゲレンデがあるとか。


 何にしろ楽しみですね、せっかくなので皆と楽しみたいと思います。

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