第13話 勇者カッピーパンツが爆発する
さて翌日。
昨晩はいろいろありましたが、朝を迎えました。
キャンピングカーって快適ですよね、トイレもあるし、四人の共同部屋みたいだから楽だしね。
さて、出発といきたいところなんですけども、このキャンピングカーで移動するなら残りの原付バイクをどうにか収納しなくてはいけません。
「またコメントでお願いしたら?」
「そうだね」
とか思っていましたけど、ナッチーの起点を利かせてくれた案でキャンピングカーに何と原付バイクを収納できるスペースを新たに視聴者さん達に作ってもらう事にしました。
サンキュー視聴者、フォーエバー視聴者。
という訳で、三人の原付バイクを収納して、私達が乗るキャンピングカーは山の街、マウンテンパレスに向かい出発。
いやー、キャンピングカー楽ちんだね、尻が痛くならないもの、女の子にはお尻のダメージは重大ですよ。
「…貴女は深淵を覗いてしまった。SANチェックです」
「ぬあー! 発狂はだめー!」
「わ、私が応急処置でなんとか!」
『草』
『まさかのTRPGw』
『ナッチーのキャラ後SAN値20やんけ!』
『新しいキャラシー書かなきゃ』
そして、私達が何してるかというとTRPGで遊んでます。
もちろん、運転はリーンさんに任せきりってわけではなくてシーちゃんが交代とか、時には休憩をしながらですけどね。
流石に一人で運転させっぱなしなんて事もあれなんで、しばらくして思いついたキャンピングカーにオート運転手とかも視聴者さん達にお願いして付けて貰いました。
そんな感じで、私達は時間を潰しながら目的地に向かってる最中です。テレビゲームもキャンピングカーで出来るとか神か!
こんなん知ってしまったらもう原付バイクに戻せないですね、あ、ニートとか呼ばないで!? 引きこもりではないですから!
「ふふん、さあ、どっちがジョーカーかな?」
「ぐぬぬぬ…」
『カッピー! 右やで右!』
『いや、左だ!』
『上からくるぞ! 気を付けろ!』
『したかもしれない』
『中だ!』
「ややこしいわ! というかカード1枚だけなんですけど!?」
私を惑わせてくる視聴者さん達に声を上げる私。
いや、中とか上とか挙句に下なんて、どこにあるんやカード。
そんなにカードあったらババ抜き永遠に終わりませんよ! クソっ! こんな時、迷ったら左を選べってどっかの誰かさんが言ってた気がする!
よし! 決めた! 私は左を選ぶぜ!
「おらぁ!」
「はいどーん」
「ぶふぉ」
『草』
『期待を裏切らない』
『カッピーの引き運に脱帽』
カードを引いて中身を見た瞬間、私は絶望して打ちひしがれた。
引いたカードはお察しの通り、ジョーカーです、なんでや! 今のは普通に行けた感じがしたのに。
ナッチー強すぎんよー、さっき、TRPGで意地悪し過ぎたからかな?
でも、リーンさんがそれ以上に強い、必ずと言って良いほど1番に上がるのだ、この人、本当に聖女の生まれ変わりなのではないだろうか?
さて、そうこうしているうちにキャンピングカーがいきなり急ブレーキをかける。
「うわ! 何!?」
「びっくりした!」
『なんだなんだ?』
『どうしたんだ?』
『いきなり止まったな』
私達は自分達の武器を手にキャンピングカーから降りて外に飛び出す。
すると、そこには巨大な二足歩行の竜が立ち塞がるようにして道を塞いでいた。
あ、あわわ、なんじゃこいつ! ドラゴンなのか! デカ過ぎでしょう! しかも羽付いてないし!
武器を構えたナッチーは忌々しそうにこう呟く。
「げぇ…ギラノニクスの縄張りだったのか、この辺」
「ロンスタ映えしそうなドラゴンだな」
「あ、あわわ、どうしよ…!」
「大丈夫よ! 一体だけなら!」
そう言って、武器を構える皆さん。
そうだ、私もコメントで武器を貰って援護しなきゃ! 早速、視聴者の皆に武器をお願いしよう!
そう思った私は、前線で戦っている皆を他所にこの映像を見てる視聴者の皆に助けをこう。
「皆! 力を貸して! 私に武器を!」
『爆発するカッピーのパンツ』
『爆発するカッピーの今、履いてるおパンツ』
『伝説のカッピーのブラジャー』
「鬼か!?」
しかしながら現実は非情である。
皆はなんと武器を寄越せと言ったにも関わらず、この緊急事態に私の下着を爆発物にすべく、皆さんは一斉に私の下着を指定して来ました。
というか、なんでこんな時だけ統制が取れてるんですかね!? えぇい! 時間がない! 仕方ないです!
そして、私が選んだのは『爆発するカッピーの履いてるパンツ』でした。
私の履いてるパンツに違和感を感じますが、仕方ないですね、やったの私ですから。
「ぐわぁ!」
「ナッチー!」
「ナッちゃん!?」
『ナッチー!?』
『テメェ! クソ竜! ぜってぇ許さねぇかんな』
『ちょっと今からギラノニクス狩ってくるわ』
ギラノニクスの尻尾の振り払いにより、吹き飛ばされ、木に叩きつけられるナッチー。
この際、しのごの言ってられませんね、私は自分が履いている薄いピンクのパンツを脱ぐと、それを手に持ち、ギラノニクスに向かい走り出します。
ノーパンで走っているので、下がスースーしますが、友達がピンチなのにそんなのは構ってられません!
「皆さん! 下がってください!」
「!? …了解!」
「わかったわ!」
『カッピーがパンツを脱いだ!』
『爆発物と化したパンツ』
『戦闘中にパンツを脱ぐやばい女』
『カッピーがノーパンだぞ!』
私がパンツを脱いだ事で歓喜に湧く視聴者さん達。お前ら、後で覚えてろよ!
一方で吹き飛ばされナッチーを肩で支えて二人は前線から離れます。
よし、周囲の安全を確保できた! これなら問題ない!
そして、ノーパンの私は手に持っているパンツを大きく振りかぶると立ち塞がるギラノニクスに向かい思い切り投擲しました。
「グルォォォン!」
「食らえー!」
『パンツが飛んだ!』
『いけー! カッピーのパンツ!』
『ノーパンでパンツを投げる女』
私が投げたパンツは宙を舞い、しばらくして、ジェット噴射し始めるとギラノニクスに向かって一直線に飛んでいきます。
そして、直撃した私のパンツは凄まじい音を立てて大爆発を起こしました。
私はパンツの爆風で吹き飛ばされますがすぐにシーちゃんが私の身柄をキャッチして、クッションになってくれたおかげで衝撃を和らげてくれました
だれだ、こんな武器考えたやつ、頭おかしいんじゃないのか!?
私の履いてるパンツにどんだけ火薬詰め込んだらあんな爆発するんだよ! だいぶ頭ぶっ飛んでるだろ!
私はすかさず、スカートを押さえて顔を真っ赤にしながらギラノニクスがいたところを見つめます。
ギラノニクスの身体は私が投擲したパンツの爆発によって木っ端微塵に吹き飛んでました。
「…お前、なんてランジュリーを履いてるんだ」
「いや! 私だってあんな爆発するパンツ履いてたら怖いわ!? 下半身ぶっ飛んでしまうわ!」
シーちゃんの戦慄したような顔に私は思わずツッコミを入れる。あと、素直にそこは下着って言ってよ!
私とて、履いてたパンツが視聴者から爆発物にされた挙句、ノーパンを強要され、挙げ句の果てにパンツを失った挙句に大爆発したんですからね。
むしろ、可哀想なのこの場合、私でしょう!
しかも、下半身がスースーするし、このまま人前には出れないです。
とりあえず、私はキャンピングカーにあるパンツを履いて事なきを得ます。いや、これ、戦闘中に下が見えてたら放送事故だし、私お嫁にいけなくなるから(絶望)。
ナッチーは気絶はしてるみたいだけど、怪我は大した事なかったみたいでとりあえず安心した。
今日のMVPが爆発した私のパンツなんてとてもじゃないが、気絶したナッチーには言えないな。
クソ、この恨み晴らさぬおくべきか。
「もうゆるさねぇかんな! ナッチーが起きてくるしばらくの間、クッソ濃厚なBL本の映像を流します、しかもボイス当ててやるから覚悟しろよ」
『ぎゃあ!?』
『ゆるして…ゆるして…』
『俺は悪くねぇ! カッピーのパンツが勝手に爆発したんだ! 俺は悪くねぇ!』
こうして、私はナッチーが目を覚ます間、私のパンツを爆発物にした視聴者の皆さんにゴリゴリマッチョなお兄さんが絡み合うめちゃくちゃ濃厚なBL本の映像を流すと共に、私と面白がったリーンさんがボイスを当てるという地獄を皆さんに味わってもらう事にしました。
流石に視聴者全員にビンタとかはできませんからね、これでも百歩譲っての譲歩だと思います。
それから、動画には視聴者の阿鼻叫喚としたコメントが流れっぱなしだったとか、まあ、皆さん自業自得ですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます