第27話 衣装登録
自室のモニターでファッション誌を観ながらヘレンは考えていた。
(我娘ながら何とも得難い婿殿を見つけたものね、完璧、今の処非の打ちどころが無いわね、強いて難を上げれば口数の少ない処かしら・・・日本人の中でも寡黙な人ね、でもそんな事なんてどうでも良い位に素晴らしい・・・有り余る程の財産に裏打ちされた並外れた科学製品・・・あの飛行機やこのスーツは彼のアイデアなのかしら、それとも会社の開発部門の誰かかしら・・・おっと、それよりも今は洋服選びに集中、集中)。
隣の部屋ではキャサリンが同じ様にモニターでファッション誌を観て気に入る服は無いかと探していた。
二人は彼が見せてくれた種類の服を先に登録しようと決めていた。
仕事用に3着、普段着に同じく3着、フォーマル用のドレス1着、それぞれに合う靴と帽子とアクセサリーである。
其の頃、彼は午前中の続きをしていた。
彼が何カ月も前に開発した装置の実用実験の結果確認である。
その装置は画期的な物で実用化されれば、彼の進んだ科学力を更に何段階も引き上げる事になるのだ。
彼の秘密の宇宙船さえも設計変更の必要がになる程である。
現段階では一機の試作機での実用実験の段階で宇宙を舞台に飛び回っている。
安定性と安全性が確認できれば他の船にも採用し更なる実用実験を行う事になるのである。
彼は実用化には安全性を第一にしているがこの装置は更なる段階の安全性確認を必要としていた。
何故ならこの装置の不具合は人命に直結しているからである。
16時、つまり午後4時になりヘレンの部屋にキャサリンがやって来た。
呼びリンと共にヘレンの見ているモニターの右下隅に小さな画面が現れヘレンの部屋の前に立つキャサリンの姿が映し出された。
「お母さん、入れて頂戴、二人で見せ合いましょう」
「入れてってどうすれば良いの」
「アダム、入れて上げて、でいいのよ」
直ぐに壁の一部が消えてキャサリンが部屋に入って来た。
「お母さん、何着出来た???」
「まだ、1着づつよ・・・でもドレス、イブニングとカクテルとアフタヌーン・ドレスは5着できたわ」
「何やってるの、お母さんの場合は仕事用が最優先でしょう」
「それは解っているんだけど・・・」
「まぁ気持ちは解るわ、私も何度も誘惑に負けたもの・・・でもね、お母さん、私達の安全を気にかけてくれる彼の気持ちに報いなければ・・・ね」
暫し娘の顔を見つめていたヘレンが言った。
「お前、変わったねぇ~、勿論、良い方によ」
「ありがとう、さぁ、まずはお母さんの仕事用の服を考えましょう」
「貴方の仕事用は黒のパンツ・スーツに黒の靴と白いシャツ、ネクタイは灰色かストライプ・・・と言う処かしら」
「大正解、ネクタイは灰色よ」
「私も一着作るわ、そうね~タイトルはFBIしか無いわね」
「ちゃんと紺色も有るし、スカート・スーツも有るのよ、色も二種類ね」
キャサリンがさう言うと最初は黒のパンツ・スーツ次に紺色、黒のスカート・スーツ、紺のスカート・スーツと見せた、そして最後に淡いピンクのカクテル・ドレスを見せた。
ドレス姿になる前に一度ヘルメットが現れ消えた時には髪型が変わっていた。
「まぁ~ヘルメットには髪型を変える機能もるの???」
「アダムに聞いたら出来ると言うので試してみたの、大成功ね」
キャサリンの言葉が終わる前にヘレンはヘルメット姿になりヘルメットが消えた時には髪型がアップに変わっていた。
「お母さん、覚えが早過ぎるわぁ」
ヘレンは鏡の前へ行き頭をくるくると回して髪型を確認した。
「大丈夫でしょ、アダムは完璧よ」
二人はファッション誌、映画、テレビ・ドラマなどを参考に服の登録件数を増やして行った。
<つづく>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます