第22話 彼の居場所
彼は彼女の自宅を初めて訪問した時に家族を気に入り彼女には内緒で全員の耳の後ろにGPS付きのマイクとスピーカーを埋め込んでいた。
この装置はいろいろな施設にある金属探知機には反応しない極薄い膜状で本人も違和感も無く気づいていなかった。
自宅も監視されていた、宇宙からである、幸いにも警戒に値する事は起こって居なかった。
彼は以前から調査しデータ上では知っていたが実際に会って人柄がとても満足できるものだったので守る事を決断していた。
彼は、彼女の自宅を訪問した初日からその家に住む様になっていた。
両親、特に母親が彼を大変気に入り返さない・・・帰る事を許さなかった。
彼は帰宅すると「ただいま」の一言を言うとベランダへ直行しそこにある籐の長椅子に座り瞑想する事を習慣とした。
ある日から彼女は瞑想する彼の膝に頭を乗せ横に寝そべる様になって行った。
彼が籐の椅子に座るとメイドが珈琲を持って行く事も恒例になっいた。
彼は夏は勿論、冬でも冷たい珈琲を好んだ。
当初、彼女は暖かい珈琲だったり紅茶だったりしていたが何時しか彼と同じ様に冷たい珈琲が定番になっていた。
ある日、突然、彼が寄り掛かっている彼女に言った。
「空に向かって手を振ってご覧」
「空に・・・どうして・・・もしかして、あの船がいるの???」
「監視している、何時も我々の行く処の上空にいます、不審者が近づけば、危険物が有れば教えてくれます」
「・・・そうなんだ~見守られているのね」
「嫌ですか???」
「いいえ、心強いです・・・何時から・・・最初、初日から???」
「そうです」
「ふ~ん」
彼女は彼の方を向いて彼の眼をじっと見つめた。
「貴方は、いったい何者なの、そしてどうして私なの?」
「今は言えません」
「今は・・・ですね?」
「そうです、今はです」
「了解です」
彼女は冗談交じりに返事をして、また彼に寄り掛かり定位置に戻った。
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