第4話 連行

パリのオベリスクを始めイタリア、エジプトの輝きが消えた日に日本のマンションをアメリカ人二名と日本人二名が訪れた。

「桜井誠一さんのお宅ですか」

インターフォンから声が聞こえた。

「はい、どなたですか」

「警視庁の者ですが、お知恵をお借りしたいと思いましてお伺いしました、お願いします」

言葉は丁寧なのだが言い方は有無を言わせない物だった。

「解りました、警視庁へ寄りますか、それともアメリカへ直行しますか」

インターホンの画面を見ていると画面の外の人物に確認している様だった。

「直接です」

「旅行の準備をしますので10分下さい、戸締りをして下へ降ります」

日本の警視庁の人物は何故も何も知らない様だった。

きっかり10分後に玄関に現れた男はスーツケースと動物のケージを持っていた。

アメリカ人が犬か猫かと尋ね男が犬と答えた。

「OK」

男はアメリカ人二人の車に乗せられ日本の警察車両の先導で麻布へ向かいそこからへりで横田基地に飛んだ。

基地に着いた途端に男に対する扱いが変わった。まず男に手錠が掛けられ犬と荷物は没収された。

随行していたアメリカ人の一人は日本語が堪能で男に歩け、乗れと命令した。

手錠を掛けられた後、軍用機の貨物室に乗せられ床に座らされた。

その間、男は逆らう事も言葉を発する事も一切なく従順に従っていた。

飛行機は横田基地を飛び立ち6時間後にはハワイの基地に降りたち給油後直ぐに飛び立った。

次に降りたのは同じく6時間後だった。

飛行機はタクシングした後エンジンが止まった。

「私はテロリストではありませんよ」

男が初めて口を開いた。

「何を言っているのか」

日本語が出来るアメリカ人が答えた。

「貴方はここが何処か知らないのですね」

「ペンタゴンの近くですよ」

「違います、グアンタナモですよ」

「そんなはずは無い、貴方をペンタゴンへ連れて行く事になっている」

「誰が貴方に命令を出し、誰が命令を無視したのか・・・命令系統が一本ではないのか」

横に居たもう一人のアメリカ人が拳銃を抜いて二人に向けた。

「動くな、動くと撃つ、手を上げろ」

勿論、英語だ。

日本語が話せる男が驚いて英語で言った。

「何をするのだ、此処は何処だ」

「手を上げろ」

「手を上げた方が良いですよ、彼は本気の様ですから」

男が日本語で言った。

日本語が話せる男が手を上げた。

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