第22話 西部観光

<西部観光>-----#022

二人は洞窟を出ると再度カフェに立ち寄りサンドウィッチと珈琲を頼んだ。

二人は約束通りに洞窟についての話は無言で話した。

<ガイア、貴方と心で話をすると、とてもお腹が空くわ>

<エネルギー、頭脳でエネルギーを使うのだろうね>

<カフェで二人の男女が無言は不自然だから暫くガイア抜きで話ましょう>

<残念ですが、その方が良いでしょうね>

<じゃあまたね、ガイア>

「君はどう思いますか、言葉か宗教で文明が過去に滅びた事があると思いますか」

「私は滅びたと言うか、原始時代に戻ったとは思っていました、文明を維持・発達させる為にはある程度以上の人口が必要なのだと先程の話で気付きました」

「僕もそう思います、過去の原爆の痕跡も納得出来ます、では発達を続けた文明はどうなったのか、と言う問題が残ります」

「我々では無いわね、まだ戦争も宗教もあるし言語も山ほどまだあるものね」

「そう我々では無いとなると・・・何処へ行ったか」

「地下か空か」

「地下に何億人もは無理だから空、宇宙しか無いわね」

「地下の施設に冬眠している可能性はあるし、小さくなって冬眠しているか、脳だけで冬眠しているか、機械の中に意識、頭脳を転送しているか、など地下の可能性も捨て切れない・・・が宇宙の方が可能性は高いね」

「でも、何故宇宙に行く必要があったのか、何処へ行ったのか、何人で行ったのか」

「もう一つありますね、何時か、です」

「そうね、逃げたのか、冒険か、呼ばれたか、文明が発達していたならどんな災難でも回避する事が出来ると思うけど・・・例えば隕石落下なら現在は不可能でも100年、200年後には可能になるでしょう、地球を逃げ出す事も無いと思うんですよね、恐竜の絶滅は6500年位前の隕石だと言われています、それ以後ではありませんから、もっとずっとずっと前です」

「そうでしょうね、私も現代の考古学者が考えている以上に前から人類は生まれていたのだと思っていました」

「思っていた・・・いた・・・って、以前から思っていたのですか」

「はい、何度かの人類の栄枯盛衰があったと考えていました」

「貴方はやっぱり凄い人ですね、惚れ直しました」

「惚れているのは私の方です、お間違い無く」

<ガイア、貴方は6500万年前のユカタン半島の隕石落下を御存じですよね>

<セイジ、勿論です、あの後で太陽が当たら無くて表面の地上化が進みました、生物は殆ど居なくなりました>

<じゃあ、本当に隕石で生物絶滅が起きたのですね>

<はい>

<その絶滅は何度目ですか、貴方の知る限り>

<三度目です>

<何時の事ですか、ガイア>

<申し訳ありません、年月を意識したのは、三度目の少し前からなのです>

<一度目は多分私のせいです、火山の噴火が制御出来るし解り、大噴火を起こしてしまいました>

<そんなに凄い噴火だったの>

<はい、その破片が現在の月です>

<えぇ~、月は貴方が作ったのぉ~>

<作ったと言うか分裂したと言うか>

<月とはお話出来ないのですか>

<エマ、何度か試みましたが返事はありません>

<ガイア、水星、金星、火星とか他の惑星とはどうなのですか>

<エマ、金星と木星と土星からは雑音の様なものが聞こえる時があります>

<多分、成長過程なのでしょう、地球に比べて活動が鈍いのか、記憶素子となる素材が少ないのか、人が存在しないので刺激が少ないのか・・・>

<凄いわ、セイジ、そんな事に気付くなんて・・・>

<凄くなんか無いですよ、此れだけの情報が有れば誰でも考え着きます>

<そんな事はありません、現に私は思いも付きませんでした>

<セイジ、私もです>

<水星からは何も聞こえませんか>

<聞こえません、セイジの説では一番可能性が高いはずですね>

<そうなのです、何かが足りないのか、多過ぎるのか、物理的刺激、精神的刺激・・・やはり私は人の存在だと思います、地球には人がいます、他の惑星には人は居ません、素材、物理的刺激は他の惑星の方が豊富です>

「オーパーツって知っていますか」

「はい、時代に合わない物体の事ですね」

「凄い、完結な言い方ですね、貴方はその存在を信じますか」

「信じています、真球の石、オルメカ・ヘッド、何トンもの石の移動と積み上げ・・・実際に見たピラミッドは人の力と技術では不可能だと思いました」

<エマ、違います、カウラーとメンカウラーのピラミッドは人が作りました、現在の人と同型でした>

<ええぇ~、人が作ったのですか、凄い労力ですね、あぁ、ではクフ王のは誰が作ったのですか>

<現代の人類以前の人類です>

<別の人類・・・面白い話ね>

「此処では無くホテルにしましょう」

「それが良いわね」

彼がカードで会計を済ませ車に向かった。

「貴方は国際免許を持って居るの」

「持って来ました、が、東京では車の必要が有りませんので地方や海外に行った時でけの運転です」

「ここは日本し同じだから運転してみますか」

「やってみますか、危ないと思ったら言って下さい、直ぐに変わります、其れとも眠いのですか」

「眠むくは有りませんが、脳が整理を求めている様です」

「解りました、運転します、ナビもありますから大丈夫でしょう」

二人は車に乗って彼がエンジンを掛けた。

「凄いなぁ~、ナビが日本語にも対応しています」

彼が車を周りを十分に確かめてゆっくりと発進させた。

「ナビも日本が開発したんじゃなかったかしら」

「でも、GPSはアメリカの軍事技術ですよ」

「えぇ~そうなの、日本だと思っていたわ」

「日本には衛星を発射する技術は有りませんでした、今は有りますが、GPSはアメリカの弾道ミサイルの誘導用に開発したんだと思いますが・・・」

「へぇ~そうなんだ、でも残念ね、新技術って大体の始まりは軍事利用なのね」

「発明者はその積りが無くても開発情報を軍が知ると軍事専門に秘密にするのでしょう、そして、より高度な成ると一世代前の製品を民間に下ろす、其れが現在ですよ」

「そうでしょうね、私達の能力も政府に知られたら軍事利用に研究されるわね、きっと」

「きっとでは無く、確実にです」


「これから何処に行くのでしたっけ」

「北のシャーク湾です」

「何でしたっけ、地球に酸素を作り出した植物」

「ストロマトライトです」

「そんなに珍しいの」

「私のしる限り生存しているのは世界中で二か所です」

「地球最初の酸素発生なんて凄いわね」

二人は途中のピンクレイクで初めてたった二人でデートらしいデートをした。

ピンクレイクは塩湖で藻の影響でビンクになる事などをネットで調べ見つけ難いと書かれていたピンクレイクのオブジェの写真にしっかり撮った。

次に二人は カルバリ国立公園を訪れてネイチャーズ・ウィンドウやナチュラル・ブリッジを写真に納めた。

勿論、二人が仲良く映り込んでいた。

二人はいよいよ今回の目的地シャーク湾に着いた。

1991年に世界自然遺産に登録された処である。

「この黒いいっばいある岩がそうなの」

「そうだよ、僕はこれを見るのが夢の一つだったんだ」

「ただの岩にしか見えないわ」

「岩の表面の藻類が酸素を作り、その過程で出来たものが岩になるんだよ、35億年も前からずっとなんだよ」

「35億年からずっとなの~・・・只の岩に見え無くなっていたわ、生物に見えてきたわ」

「そうだよ、生物の集合体なんだ」

「このこ達が頑張って酸素を作って私達がいるのね」

「その通り、さぁモンキーマイアに行こう、イルカと夕日を見に行くんだ」

その日は運よくイルカが現れ戯れるイルカを見て愉快な気分になり、地平線に沈む夕日を二人は肩を寄せあい言葉も交さず只眺めていた。

<ガイア、僕たち人類はこの景色を綺麗、素晴らしい、美しいと言う言葉で表現するけど、解るかい>

<残念ですが、解りません、私には24時間何処かである景色ですから>

<そうなのよね、地球は丸いのよね>

<エマ、君も距離が伸びたね>

<本当だわ、でも此処は静かだし、私の心も穏やかだから・・・>

「さて、夕日も見たし今日の宿に行こう、君には似合わないけど我慢して下さい」

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