第14話 初めての二人の朝食
翌朝、頼んであったルームサービスの朝食を二人はベランダで食べた。
不思議な事に彼はベーコン・エッグにパン、彼女はご飯の和食だった。
スタッフは逆に配膳した、二人はスタッフの前で交換しスタッフを驚かせた。
彼女がスタッフにチップを渡しスタッフが去った後に言った。
「私はこのチップの制度が嫌い、凄く嫌い、それに少ないと態度が悪く成るし多いと丁寧になるしあげないと時には面と向かって悪態を付くし悪口を言う・・・最悪よこんな習慣は・・・それに比べて日本ではチップは要らない、チップが無いので態度と言葉使いが悪いかと言うと世界一とも言える位に素晴らしいでしょ・・・最高、だから我が家では頻繁に日本へ家族全員で行くのよ、だってまるで王様になった様な気分にさせて貰えるからよ」
「おもてなし・・・と言うものだね」
「そうそう、おもてなし、世界中が真似れば良いと思うわ」
「ネットでの情報だけど広がっているらしいですよ」
「それは良いニュースね、処でそのベーコンに半熟の卵を絡ませると美味しそうねぇ~」
彼はそのベーコンを乗せたスプーンを前に出した。
彼女は迷わずベーコンを口に入れた。
「う~ん・・・美味しいわ、洋食も良いわね」
「私は良く海外へ行くので慣れる為にできるだけ海外では和食を食べない事にしています」
「私は、私の家族はもう長い間、日本食以外食べていないわ、その為に家に日本人のコックを二人雇った位だもの、一人は日本食全般で一人は寿司専門なのよ、父が日本で見つけて契約したみたいなの」
「貴方の家庭はお金持ちなのですね、お金持ちはお金を貯める事が楽しく成りもっともっとと成り、その為には不正もする様になると聞いています・・・貴方の父上が家族がそうで無い事を願います」
「安心して下さい、私の父は貯めるよりも使う事の方が好きみたいですからね、次から次と新しいコンピューターを買うし、毎年家族総出で海外旅行に何回も行っているし、日本の黒毛和牛が気に入ってアメリカに輸入するのでは無くて自分で育てると言って牧場を買っちゃうし・・・もういろいろとよ、良くもそんなに買うお金が有るものだと感心しちゃう位よ」
「貴方の家、お父さんはお金持ちですからお金を増やす事は簡単でしょうね、現代はお金持ちは増やし易く、お金の余り持っていない人が増やす事は大変な時代ですからね」
「あら~父も同じ様な事を言っていました、だから新規事業に援助・投資しているそうです・・・、・・・貴方と父は話が合う・・・かもね」
「貴方と結婚するのですからお合いしなければなりませんしね、お母さまはいかがですか」
「父もだけれど母も結婚する相手は日本人にしなさいって言っているから大丈夫じゃないかな」
「兄弟は何人ですか」
「兄と姉が居ます、三人兄弟よ」
「私も三人です、但し姉と弟ですが」
「私は貴方を家族に紹介するのが楽しみだわぁ~」
「又、又話が逸れてしまいましたね、二人で話していると切りがありませんね」
「そうですね」
二人はそれぞれの食事を楽しみ満足し珈琲を頼んだ。
「私はと言うか家族はいつも和食だから食後も珈琲じゃなくてお茶なのよ」
「僕も普段は麦茶です、それも一年中です、冬でも氷入りの麦茶です」
「私も夏は麦茶です、冬は暖かい緑茶ですね、中でも玉露がだ~い好き、父はその内、日本茶の栽培に良い土地をアメリカに見付けて作り出すと思うわ」
「日本好き、贔屓もそこまでとは、いっそ日本に住めば良いのにね」
「母はそうしたい様ね、何時だったか何故って聞いたら、まず治安が良い、親切って言っていたわね」
「日本でも犯罪は有りますがね、確かに世界では珍しい程に犯罪率は低いですね」
「ガイアに犯罪を止められないかなぁ~」
「それは面白い考えですね・・・う~ん・・・」
「待って駄目よ貴方はどうも考え始めると周りを意識しなくなる様だからここでは止めて」
「御免、御免その通りです、でも良く解りましたね」
「だって、お風呂の後でそうだったでしょ・・・実は私も同じだから直ぐに解ったのよ」
「何だ、貴方も同じですか」
「ええ、でも家の中でだけよ、だってアメリカで外で何て危ないでしょう、貴方は何処でも何時でも安全な日本だから良いでしょうけどね」
「私も海外に旅行に行く前に幾つかの事を自分に言い聞かせています。掏摸(すり)に気を付ける事、ポケットに大事な物を入れない事、入れる必要のある時は意識の一部を常にポケットに置く事、人前では財布を出さない様にする事、大金はホテルの金庫へ置き、少額又は必要な金額とカードにする事、バックやトランクを床に置かない、トランクを床に置いた時は手離さない事、裏通りや人通りの少ない道を歩かない事、風俗のお店には入らない事、客引きに気を付ける事、などなどです」
「私には何時もの事ですね、アメリカですから・・・でも不思議ですよね、用心するのって人に関してがかりですよね」
「事故は用心してもしかたが無いですからね、さてそろそろ出かけましょうか」
「はい、じゃ洞窟探検用の服に着替えましょうか」
「では貴方からどうぞ」
「ではお先に失礼します」
彼女が寝室に消えた後、彼は煙草に火を点けて外の景色を楽しんだ。
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