第13話 初めての二人の夕食

驚いた彼女が部屋の時計を見ると彼がバスルームに行ってから20分が経っていた。

「ごめんなさい、貴方がシャワーを浴びている間に出かける準備を終えているつもりだったのですが考え事をしていて時間が経ってしまいました」

「いいえ、気にしないで下さい、今日は大変な日でしたからね、当然考える事も多いでしょう」

「ありがとう、これから準備をします、男性は準備が早いですから先に始めます」

彼女は少し慌て気味に寝室へと姿を消した。

彼はベランダのテーブルに灰皿を見つけていて喫煙が許されていると判断し煙草に火を点けた。

彼の心の中は幸福感で溢れていた。

高級ホテルのベランダでシャンパンを飲みながら煙草を吸っている・・・それも大勢の男性が羨む女性の準備を待ちながら・・・。

寝室の扉が開き白いワンピースに黒く細いベルトをし踵の低い靴を履いた彼女が現れた。

彼はその姿に魅了された・・・低い靴は彼との身長差を考えての選択なのだろう、と想像がついた。

彼女のそんな心遣いにも感謝したが、兎に角綺麗だった。

彼は煙草をもみ消すと立ち上がり「素晴らしい・・・写真に収めたい」と携帯で写真を撮った。

彼女もいろいろとポーズを変えて答えてくれた。

「ありがとう、貴方のその服に合う様に私も着替えてきます」

今度は彼が寝室に消えた。

10分も掛からずに彼が現れた、服装は白のズボンに白のデッキシューズに赤の下地に白の模様の入ったアロハシャツだった。

「私はファッションには自信が在りません、これでは合いませんか? 可笑しいですか」

「いいえ、とても似合っていますよ、お食事に行きましょう」

「良かった、行きましょう・・・嫌味でも拗ねて言うのでもありませんが、私がどんな格好でも貴方の美しさに皆の眼が行きますからね」

「ありがとう、でも私の眼の中には貴方しかいません」

「ありがとう、嬉しいです」

彼女は小さなバックを持ち、彼はポケットに必要なもの、財布などを入れ部屋を出た。

勿論、二人とも部屋のカード・キーを持っていた、オートロックだから。

エレベーターに着くとドアを開けてホテルの若い女性が待っていてくれた。

「ありがとう」

「いいえ、レストランでよろしいですか?・・・実を言うと噂の二人を見たかったのです」

「はい、レストランへお願いします、でも私達は極普通のペアですよ」

「いいえ、貴方は同性の私から見てもとてもお綺麗です」

「ありがとう、貴方もお綺麗だと思いますよ、貴方なら私が彼を選んだ理由がお判りですね」

「大変失礼ですが男性は・・・人は外見よりも内面で評価されるものと思っています、ので貴方の彼とお話した事も在りませんので評価は出来ませんが貴方が選んだ方ですからそれに値する方だと思います」

「ありがとう、貴方も出会えると良いですね」

「ありがとうございます」

「くれぐれも安売りはしない様にして下さいね」

「・・・、・・・、はい・・・でも貴方は彼に・・・」

「彼は肉体的な絆よりも精神的な絆の方が大事な様です、素晴らしいでしょう」

「はい」

女性二人は無論、英語での会話だった。

レストランの階に着きエレベーターの扉が開き二人が降りた。

二人はエレベーターの女性に「ありがとう」と言った。

だが彼女は二人を追い越してレストランの受付に先に行き二人の説明をしていた。

受付の初老の男性が少し驚いた様に二人を見つめた。

「いらっしゃいませ」

何と日本語の挨拶で迎えた。

「よろしくお願いします」

その時、二人の後から声が掛かった。

「どうぞ、お通り下さい、ジム、ご苦労様、後は私が対応します、メアリー・・・君がお二人の担当です一緒に来て下さい」

ホテルの支配人だった。

支配人が二人を促す様に先頭で歩き出し次に二人が続き最後にエレベーターの女性、メアリーが従った。

支配人は指定席の札が置かれたテーブルへ二人を案内し彼女の為に椅子の一つを引いた。

メアリーが彼の為にもう一つの椅子を引いた。

その席は窓際のそのレストランで最高の場所だった。

レストランに入って来たお客は最上の席に座る絶世の美女に眼を奪われる事が容易に予想された。

「このメアリーがお二人だけの担当です、ご注文が決まりましたらお呼び下さい」

支配人はそう言うとメアリーを連れてテーブルを後にした。

「ありがとう」

「ありがとう」

二人は礼を言い合った後黙り込んで見つめ合った。

「貴方はこの様なもてなしには慣れているのでしょうね」

「どうしてそう思うのですか」

「男性は綺麗な女性に粗末な態度や扱いはしません、貴方程の方なら同性の女性からも大事な扱いを受けるでしょう」

「小さな頃から可愛い、綺麗と言われてきました・・・幼い頃は皆が言われるのだと思っていました・・・でも10才を過ぎた頃から私は言われ続けたけれど女性全員が言われている訳では無いと気付いたの、それでいろいろと考えたのね、綺麗ってなに???、可愛いって何???、人は人の何を見て感じて可愛い、綺麗と思う・・・感じる・・・のかとか、私は本当に可愛いの」

「ほぉ~、やっぱり君と僕は似ているね、僕も人が何を見て何処を見て可愛い綺麗と感じるのかを考えたんだ、それを他人に話す・・・尋ねると(考えた事も無い)、(感じるものだ)だの(変な奴だな)

などと言われた、でも世界には同じ事を考える人がいてテレビで見たのですが人の顔は左右が非対称でその差が少ない程、見た目が良い、綺麗、可愛いと感じるとの事でした、僕にはそれもあるかも知れないが何か足りない気がしました・・・が確かに貴方の顔は対称性に富んでいますね」

「えぇ~私の顔は対称ですか」

そう言って彼女はバックからコンパクトを取り出し自分の顔を確認した。

彼女は無表情になったり笑顔になったり怒ったり泣いたりといろいろと表情を変えた。

「う~ん、自分じゃ解らないわ」

「貴方は間違いなく左右対称でとてもとてもとても美人ですよ・・・とてもを後何百回も言いたい位にね」

「嬉しい・・・ありがとう・・・でも不思議・・・貴方に言われると嬉しいの、でも他の人に言われても(はいはい解りました)と言う思いしかないの」

「それは私が只美しいと思っているだけでは無く大切にしたいと思っているからでしょうか」

「・・・そうですね、あぁ解りました、私が貴方に好意を持っている、貴方を愛してしるからです、愛している人からの言葉だからです、うんきっとそうだわ」

「貴方はとても美しい方なのに・・・いやだからなのか???恋愛経験が無いようですね・・・日本には<痘痕(アバタ)もえくぼ>と言う諺(コトワザ)が有るんです・・・ご存知ですか」

「いいえ、どう言う意味ですか、アバタもえくぼも解るのですが」

「好きな人の痘痕はえくぼに見える・・・と言う意味です、自分が好きな人の姿、言葉は他の人が見る眼、聴く言葉とは違うと言う事です」

「成程・・・納得です、私が貴方を好きだから愛しているから褒められると嬉しくて幸せな気持ちになるのですね・・・これが恋・・・愛・・・確かに私は今までに家族以外で恋しいと思った事が無い様です・・・この気持ちは家族に対する物とは少し違う様です」

「そうですね、貴方に取っては初めての経験です・・・これから少しずつ確認して忘れない様にすると良いでしょう」

「楽しみ・・・な様な怖いような・・・」

「しかし、美人には美人の悩み、苦しみがあるのですね、きっと神様の悪戯ですね」

「日本人は神社や寺に行きますが大抵の人は神様を信じていないと聞きましたが貴方は信じているのですか」

「今のは言葉の綾と言うものです・・・綾ってわかりますか・・・そうですね~そう、例えですね」

「では信じていないのですか」

「はい、私は信じていません、貴方はどうですか」

「私は小さい頃には両親に連れられ教会に行っていました・・・が実は信じていません」

「何故ですか」

「神様がこの世にいるにしては世界中に不幸があり過ぎます・・・貴方は???」

「僕は未熟な文明が宗教を作り出す・・・と思っています、神様の話よりも先に貴方の事を聞かせて下さい、住所、氏名、年齢、性別は女性ですね」

「はい、女性です、そうですね。自己紹介がまだでしたね、それなのに結婚するつもりでした。

名前はエマニュエル・カレン、生まれはテキサス、年齢は20才」

「わぁ~若い、僕の半分です、僕は42才です、名前はウチダ・セイジ、生まれは勿論日本です、生まれがテキサスと聞きましたが僕のテキサスのイメージは石油採掘の機械が上下している景色と牛がいる牧場ですね、あ、後はヒューストンですね、宇宙センターへ行って見たいですね、州都だと思っていました、お名前がエマニュエル・カレン・・・エマとお呼びして良いですか」

「どうぞ、皆もそう呼びます」

「苗字のカレンさん・・・石油で財を築いた一人にカレンさんていましたよね」

「貴方って本当に物知りですね、ちょっと怖い位ですね、私もその一族です、叔父さんが会長で私の父が社長で会長の長男・私の従妹が副社長です、貴方だからカレンと言いましたが何時もは母の旧姓のモーガンを名乗っています」

「うぉ~貴方はお嬢様なのですね、大金持ちのお嬢様だ」

「全く~そんな事を言って貴方はお金に関心は無いでしょう」

「関心が無い訳では在りません・・・無いよりは有った方が良いと思っています・・・けど、使わなければ持っていてもしょうが無いとも思っています」

「ですよね~、でも父達は貯める事が楽しみ見たいなんです」

「本当にそうでしょうか??? 子供の貴方により多く残してあげたいだけかもしれませんよ。お金の話はそれ位にして食べ物を決めましょう、彼女が待っていますのでね」

「あぁイケない、彼女に悪い事しちゃいましたね」

「お勧めが有ればそれにしませんか、貴方が良ければですが」

「えぇそうしましょう、でもお勧めが無い時は???」

「又考えます」

彼はそう言うと二人を見つめ続ける女性に合図した。

お勧めコースが有り彼女に嫌いな食べ物がなかったのでお願いした。


オニオン・スープに始まりメインがオーストラリア牛のヒレ・ステーキでデザートはチョコケート・ケーキだった。

食後の珈琲を飲みながら食事中に話していた地球の話題の続きを話していた。

「正直、私はまだガイアと話した事が信じられないのです、貴方は???」

「お気持ちは解ります、有機体では無い地球が意識を持っている・・・信じられないのも当然です。

私は何年も前からその可能性を考えていましたので勿論現実だと思っています。」

「可能性って地球が意識を持つ事ですか」

「考えとは何か、意識とは何か、魂とは何か、自我とは何か・・・その一環で地球も意識、自我を持つ可能性について考えました」

「それで記憶、意識って何なのですか」

「貴方は何だと思いますか、考えた事がありますか」

「いいえ、有りません」

「そうですか・・・私は人の知識は自分で調べ、考えなければ忘れやすく記憶となり難い、苦労せず人に教えて貰うだけでは知識と成らない、成り難いと思っています・・・それでも聞きたいですか」

「解ります・・・でも私の日本語の先生も諺(コトワザ)を教えてくれました。<聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥>・・・今の私はどちらを選択すれば良いのか???・・・・・・・」

「貴方は素晴らしい・・・良く日本語を勉強していますね・・・今回は私の負けです、私の考えを言いましょう、あくまでも私の考えです・・・人の記憶は電荷の蓄積です、コンピューターで言えばメモリーです、それもRAM(ラム)です、何もしなくても保存されているROM(ロム)とは違います、書き直しが必要です、その書き直しが睡眠中に行われその作業の一部が夢になります、横道にそれました、電荷の蓄積が記憶ならば電池も記憶しているのか??? 電気が有るか無いかで記憶・・・記録と言えるでしょう、コンピューターは大量の情報を記録しています・・・が記憶とは言いません、記録と記憶の違いは何でしょうか??? 」

「生物つまり有機体か無機物か・・・かしら」

「記録も記憶も情報保存です、何が違うのか・・・自我があるかどうかでしょうか??? コンピューターに自我は無いのでしょうか??? 人に寄って作成されたプログラム通りに動くだけでしょうか??? 将来も同じでしょうか??? AIが開発されました・・・将来も同じでしょうか??? 私は現状のAIでは自我は発生、育成されないと思っています、人の頭脳と同じ程度のセル・・・つまり記憶素子の容量に達した時に機械も自我を持つ様になる・・・と思っています」

「つまり・・・地球はガイアは人と同程度の記憶素子の数を得た・・・と言う事ですか」

「素晴らしい、私はそう考えています・・・しかし素晴らしい、貴方の頭脳は素晴らしい」

「お褒め戴いてありがとうございます、でも私は理解しただけで発想した訳では在りません・・・それに本当の意味で理解したのかどうか怪しいものです」

「貴方の場合は話を聞いただけでは無く体験していますので理解していると思います」

「そうですね、そうですよね~・・・でも・・・」

「まだ実感が無い・・・ですか???」

「どあ言ったら良いのでしょうか・・・う~ん」

「頭では解っている、理解しているつもりでも何だかもやもやする、自分だけでは無く私も体験しているだから間違いは無い・・・がこれまでの人生の常識、教えられた知識から逸脱している・・・こんな事を信じる自分の頭が可笑しい、どうかしている・・・のか・・・と言う事でしょうか」

「そうです、そんな感じです・・・貴方もですか」

「いいえ、申し訳ありませんが違います、私の場合はその段階はとうの昔に過ぎています」

「こんなに短い時間に解決、納得したのですか」

「いいえ、そう言う意味では在りません、もう何年も前から私の頭は奇想天外な考えを生み出している・・・だからいろいろな仮説をお話できたと言う事です」

「ええ、そうですよね~貴方の仮説は素晴らしいものばかりです、とても深い洞察が見られます」

「ありがとう、話をガイアに戻します。

ガイアはもうずっと昔に人の記憶素子容量を超えていたと思います・・・だが情報を得る方法が無かった。

当初は地球上で起こる自然現象を記録・記憶するだけだったのではないでしょうか、その内動物、特に人類の行動が検知できる様になり、その行いを記録・記憶する様になり個々の人類が意思疎通している事を知り言語の存在に気が付いた・・・と言う事でしょうか。

何故ならガイアには仲間がいませんから意思疎通と言う概念が無かったのです」

「他の惑星、水星、金星、火星など特に火星との交信はしなかったのですか???火星の可能性が高いと思うのですが???」

「う~ん、ちょっとガッカリですね~」

「え~えぇ~ちょっとちょっと待って下さい」

可愛い顔の眉間に皺を寄せて考えの真剣さが表情に滲み出ていた。

彼はそんな彼女を見て「真剣な顔も可愛い」と思って静かに待った。

「そうか、そうですね、火星は核が冷えていて活動が無くなっているのですね、だから活動が続いているであろう水星、金星の方が可能性としては高い・・・と言う事ですね」

「・・・と私は思います・・・が多分記録素子の数が足りないのではないでしょうか、ひょっとすると金星は可能性があるかも知れませんね、ガイアの存在を知りましたのでね」

「金星の活動が地球と同じ様に激しいからですね」

「はい」

「私には地球の何が記録素子なのかが解らないのですが???」

「残念ですが、それは私にも判りません」

「へぇ~でもきっと貴方の事だから仮説はあるのでしょう???」

「はい、でもどうして???」

「少しは貴方の事が解り始めました、それで???」

「貴方は量子コンピューターをご存知ですね、そうてすよね貴方ならご存知ですよね・・・凄いなぁ~残念ながら私はネットで少し読んだのですが全くと言って良い程に理解できませんでした」

「とんでも無いです、私も全然理解出来ていません」

「残念、理解出来ているなら教えてほしい処です、が安心もしました」

「その不思議な感想・・・解ります、貴方は本当に正直な方ですね・・・私が知っていれば教えて貰えたのに残念と言う気持ち・・・貴方が知らない事、理解出来ない事を知っている、理解している事の悔しさが無くて安心と言う思い・・・ね」

「多分そんな感情でしょうね・・・貴方は心理学も学んでいる様ですね」

「心理学なんて勉強していません、多分いつも自分の心の中を探っているからでしょうか・・・自分の感情に変化が有った時に何故と何時も問いかけているからかも知れません」

「不思議ですね、私と貴方が良く似ていると思うのは同じ事をしているからかも知れませんね」

「貴方もですか・・・成程そうかも知れませんね、処で量子コンピューターの続きを」

「量子コンピューターの量子は分子、電子などの量子物理学の作用に違いりません、とすればどの様な物質にも分子、電子は存在します、地球を構成する物質にあっても不思議では在りません・・・そう思いませんか」

「成程、100パーセント賛同します」

「でも地球のどの元素が記憶素子、つまりセルの役目をするのかは判りません、きっとガイア自身も知らない・・・と思います」

「明日、尋ねてみませんか」

「そうですね、他に聞きたい事を考えておきましょう」

「良い考えですが、カクテルを飲みながらと言うのはいかが???」

「OK」

二人はスタッフのメアリーに案内されてバーに向い希望のカウンター席に着いた。

「貴方はきっと・・・テキサス生まれだがニューヨーク育ちだから・・・マンハッタンでしょうか」

「まぁ~流石、大正解、貴方は・・・う~ん・・・南国は好き??? いえ007は好き???」

「はい、南国も好きですが007は大好きです」

「ではマティーニで決まりね」

「正解です、ラム・ベースのシェイクですが」

彼が二人の飲み物を頼んだ、カクテルの注文くらいの英語は出来た。

カクテルの名前を言うだけなのだから当然と言えば当然である。

「それでガイアには何を聞くの???」

「やはり何が出来るのか・・・ですかね、でもその前にガイアが何を知りたいのか、ですね」

「・・・日本人て素晴らしいわ、まず相手だもの」

「はぁ私には普通だと思いますが」

「日本人は極普通に当然の事と思っているのよね~」

「アメリカ人は違うのですか」

「残念だけど、アメリカ人の殆どは自分が優先、相手を責める事から始める・・・だから世界中で一番嫌われている観光客がアメリカ人なのよ」

「えぇ、私もネットで知って驚きました、何処でも大声で何時も喧嘩をしている様に話す日本の近くの二つの国と思っていましたからね」

「私もそうでした、その二つの国が一位、二位と思って調べたら何と自分の国が・・・ショックでした」

「あ・・・又話が逸れましたね、貴方と話していると話題が尽きませんし膨らんで行きます、良い事なのですが嬉しい事なのですが、困った事に本題の話が進みません」

「本当ですね、それでガイアが知りたい事と出来る事の予想は???」

「まず貴方の予想を聞かせて下さい、意地悪ではありませんよ」

「解ります・・・そうですね・・・まず出来る事は、磁力は出来ましたので、地震、火山、気温、湿度の制御でしょうか」

「そうですね、それらは多分出来るでしょうね、他には地震からの津波、潮流、気流の操作も出来るのでは・・・と思います、ガイアが知りたい事ですが多分解らないでしょうね」

「そうですね、彼の望みが先ですね・・・解らないですか」

「そうでは在りません、彼には何が知りたいのかの判断が出来ないと言う意味です、何でも知りたがるでしょう、何にと言える程の基礎知識がありませんからね、そう言う意味では知識に対して貪欲と言って良いでしょう・・・我々二人にそっくりですよ」

「まぁ~私って知識に貪欲ですか」

「だって何でもかんでも知りたい知りたい、何でも兎に角やって見る・・・では無いのですか」

「まぁその通りですね~私って貪欲なのですね~」

「貪欲と言う言葉は物によって悪い事と良い事がります、お金では良くない、が私や貴方の様に知識に貪欲の場合は良い事だと思いませんか」

「そうですよね、良い事ですよね、日本語って難しいわぁ~」

「英語も同じでは無いのですか??? 前後の言葉や内容によって良くも悪くもなる単語はありませんか」

「確かに、言われてみると一杯ありますね」

「それに時代によって意味も変わるでしょうしね・・・少し意味は違うのですが貴方はメメシイと言う言葉をご存知ですか」

「はい、男の人に対して男らしく無い時に使うのですね・・・確かオンナオンナしいと漢字では書くのですね」

「貴方の日本語の能力は素晴らしい・・・でも昔、平安時代だったと思いますが元はオトコオトコしいと書いてメメシイだったらしいですよ」

「えぇ~昔昔は男性の方がメメシかったのですか」

「どうもそのようですね~又は今とは意味合いが違っていたのか・・・ですね」

「ですからこの場合の知識の貪欲良い事なのですよ」

「はい、此れからも知識に貪欲でいます」


二人は二杯のカクテルを飲みながら尽きない話題に夢中で話した。

切りが無いので続きを部屋で話す事にしてルームサービスにシャンパンを依頼し伝票に彼がサインしスタッフの先導で部屋に戻った。

話が尽きる事は無く話題も宇宙、考古学、人類学ところころ変わったが二人が不快に感じる事は無かった。途中でシャンパンが届きスタッフのメアリーが勤務開けと言う事で会話に参加し会話が盛り上がる事になった。会話は主に女性二人が日頃から疑問に思っていた事に対して彼が説明する事が殆どだった。只その内容は彼独自の理論によるものでどの文献にも無いものだった。

二人は初めて聴く彼独自の見解に大いに納得し魅了されて行った。

0時を過ぎ、次の日の勤務があるとの理由で名残り惜しそうにメアリーは部屋を後にした。

二人も翌日、既に本日となってしまったが洞窟へ行く事が決まっているので寝た。

無論、彼女がベッドで眠り、彼はソファーで眠った。

彼女は一緒にベッドでと言ったが彼は理由を言って断った。

彼女はその理由に納得し承諾した。

彼はこう言った。

「私の理性の限界を超えてしまいます、私は女性の処女性を大切にしています」

彼女は自分が処女である事を見抜かれているとは感じてはいた。

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