第11話 彼のホテルへ
やっと二人きりで歩ける様になったので気分も爽快になった、洞窟では確かに二人きりの時間はあったが外は格別だった。
彼女がそれでも安心できなくなって急に後を振り向いた。
「全く、まだ二、三匹の蠅がいるわ・・・この言い方で合っていますか、日本語はいろいろな表現が有ってとても難しいから」
「合っていますよ、貴方は凄く凄く日本語が上手ですね」
「ありがとう、ちょっと待って下さいね」
と言うと又後を振り向いて英語で叫んだ。
付いて来ていた3人が驚きと狼狽の顔をした。
彼には意味が解らなかったが、余程激しい意味なのか、若い女性の言葉では無いのだろうと感じていた。
「御免なさい、私も普段はこんな事は言わないんですよ、と言うより言ったのは初めてです」
「いいえ、どういたしまして、男の私がするべき事でした、それに私には意味不明でした」
「あぁ良かった、これから貴方に英語を教えますが汚い言葉は教えない事にします」
「では私も良くない日本語は教えない事にします」
「御免なさい、私の日本語の先生はまず最初にそれを教えてくれました・・・でも言いません」
「そうして下さい、私は汚い言葉、相手を罵倒する言葉、自分が言われて嫌な言葉を使わない様にしています、そして身分や服装に関係無く丁寧な言葉を使う様に心掛けています・・・
ご理解下さい」
「はい、何となく解っていました、私の知る日本人の中でも貴方は特別です、今では他の意味でも私に取って貴方は特別です」
二人が彼のホテルの玄関に着いた、ここで彼女が又急に後を振り返り誰かいないかを確認した。
誰も付いて来ていないと確認し安堵のため息を付き玄関を通った。
彼はこの地に着いてホテルに入り直ぐに洞窟へと向かったので荷物はトランクに入ったままだった・・・ので部屋に入ると只トランクを持っただけでフロントへ行きキャンセル料を払いホテルの玄関を出た。そこで彼女はホテルの前に止まっていたタクシーの運転手にトランクを開けさせ彼の荷物を載せさせ彼女のホテルへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます