魚雷

 クロッキー帳の最後

 鉛筆を不細工に握った

 黒い尖端

 紙のプールはいつだって

 一本線さえ引ければ海になる

 準備はまだ終わってないけど


 飛び込んで

 塗り潰して


 落書きの海に潜って灰色を掻き分けて

 凍えて震える芯のなんか熱い指先で

 未来

 そんなものを掴んだ気がしただけ

 すぐに弾けて

 泡になって

 ちゃちな衝撃で浮き上がる身体

 ほら魚にもカミナリにもなれやしないさ

 ただ目の前を見上げてる

 真正面の太陽が

 跳ね返してる空が

 見下ろしてる

 白地のTシャツと穴のあいたジャージ

 一人きりニヤニヤして

 浮かんだまま

 大の字で


 生きてるよ

 たぶん明日も

 ギラついてる

 太陽 ああ 黒鉛

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ひみつのわだつみ 泥飛行機 @mud-plane

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