最終話 伝記

森の中は穏やかだった。

太陽が昇り、暖かな日差しが木々の間から降り注ぐ。


開けた場所に生えた大木の下には、さまざまな妖怪達が集まっている。



彼らが囲んでいるのは一人の侍と一匹の鬼。


侍は笛を吹き、心地の良い音色を奏でる。


鬼は満面の笑顔で、その音色に合わせて鈴の音を鳴らしている。



寄り添う二人の合奏を、周りの妖怪達は微睡まどろんだ様子で眺めている。

そこには永遠に続いて欲しい程の、幸せな時間が流れていた。







東の森には鬼が出る。

そんな言い伝えがあった。


一鬼当千いっきとうせんのその鬼は、刀を振るい人を斬る。


あでやかな少女をはべらせて、何匹もの妖怪をしたがえていたと言う…。




一度は死にかけた最強の剣豪である俺が、東の森で鬼の少女とスローライフ・完

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