第18話 舞い込む訃報

幕府の将軍の前に、焦った様子の役人がひざまずく。


「報告します! 東方の人里に近い森にて、凶悪な妖怪が出没との知らせが…。そのあまりの残忍さに、討伐を望む声が民衆から多数あげられている様です」


「うむ。すでにその話なら耳に入っている。確か東には腕の立つ剣豪がいたはずだが…名は確か、琥太郎とか言うたか」


「それが…。現地に派遣された役人や、侍達の話に寄ると、すでに剣豪 琥太郎は討ち死にしたとの噂です。その者も、東の森にて妖怪に敗れたと聞きました」


「なんだと? その話がまことならば、いったいその森にはどの様な妖怪が住み着いているというのだ!?」


「実際に目にして生きて帰った者が言っていたそうです。そこにいたのは…常軌を逸した強さを持つ、鬼であったと…」


「鬼…か…」


将軍は悩ましい顔をして、あごの髭をつまむ。


「これは、早急に対処する必要があるかもしれないのう…」


そして呟く様にして、そう口にするのだった。

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