第2話 一人の女の子なんです!
僕は今、袖を引っ張れたまま、なんとか千鶴に連れて行かれている。
「あのさ。君は僕をどこに誘拐するつもりなのかな?」
彼女は振り返って言った。
「もうちょっとですから静かについてきてくれるとうれしいな.. . 」
そう言って彼女はあざとい笑いを浮かべた。
くっ、可愛い...
僕は不覚にもそう思ってしまった。
「ここでいいでしょう。」
そう言って連れてこられたのは、、
ん?
何故に体育倉庫?
僕、今からここで何されるの...
もしかしてここで人体実験されたり...
一瞬にして恐怖が襲ってきた。
「えっと、君がなんで僕をここに連れてきたのかな?」
恐る恐る聞いてみた。
「そうですよね。
何個か質問したいことがあるんです。」
そう言って彼女は喋りだした。
「まずは、私が誰だか知っていますか?」
もじもじしながら聞いてきた。
「えっと。たしか君は今日、転校してきた子だよね。」
「違います!違います!そういう意味じゃなくて。アイドル活動をしている私のことです。」
「残念ながら僕テレビは見ないんだ。
だから君のアイドル活動も知らないし、
君が所属してるアイドルグループもさっき人から初めて聞いたよ。」
僕は事実を言った。
「そうですか。それを聞けただけで十分です。」
「ちょっと私の話を聞いてください。」
そう言って喋りだした。
あるところに一人のかわいいかわいい女の子がいました。
その女の子は小学校からめちゃくちゃもてていました。
そして中学2年生になったあたりにアイドル事務所からスカウトがきました。
そしてその子はアイドルとして活動をしていきました。
それからというもの学校に行くとアイドルとしてしか見られなくなってしまいました。
みんなアイドルとして私のことをみている。
友達ですらアイドルとして見てきました。
その子はアイドルとしての自分ではなく一人の女の子として見られたかったのです。
「どうですかこの話は?」
そう言って僕に感想を求めてきた、
「多分この話は君のことだよね。」
「そうですよ。」
そう言ってしばらく間があいた。
「なんでこんな話をしたかって言うと、あなたみたいにアイドルとしての私ではなく一人の女の子として接してくれる人を探していたからです。」
そう言って彼女は目をキラキラさせた。
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