このメッセージという物語は合計15話の話で構築されています。
小説としては短編の部類になるかと思いますが、その話数の間で尋常ならざる刺激を受ける事になります。
まずは、ウイルスが流出したことによる不安。
次に、チャンの絶望と恐怖。
病に倒れ命を落とすことになる悲しみ。
ウイルスの裏に何かがあるのではという疑念。
最後にウイルスにより多くの事が変わり、おとずれる未来への疑問を投げかけてくる。
そのように、わずか15話の間で、目まぐるしい感情の変化を体感する事になります。
これらは、全て卓越した表現力、文章力による技としか言いようがありませんが、あえて、更に要素を付け加えるとするのであれば、物語を読むことによってある一つの災いをイメージするという事があります。
それは、いまだ我々人類を苦しめ、多くの死者を出し続けているコロナという病です。
誰しもの脳裏に深く焼き付いている、この地獄。
これらを体験した、私たちだからこそ、メッセージという物語に対し強い共感を生み出し、心に焼き付ける事ができるのではと思っております。
この時代に生きている、多くの人々に読んでもらいたいと思う作品でした。
良い作品を有難うございました。