170日目 【シンクロニティ】

新型ウイルスが発祥して間もない頃のWHO(世界保健機関)の発表では「マスクをしても意味がない」ということだった。しかし、新型ウイルスが発祥してから170日が経過した現在、世界中の人々がマスクをしている。


マスクをつける習慣がない米国やヨーロッパ諸国でもマスクをしている。マスクがない場合はバンダナやタオルで口の周りを覆い隠してスーパーへ買物に出かけるようになっていた。


いつの間にかレジに並ぶときは、人との間隔を2mけて並ぶようになっている。どこの国もウイルス感染を防ぐための対策を講じているのだ。


世界で同時にウイルスが広がり、世界で同時に人々がマスクをつける。世界で同時に経済活動が止まり、世界で同時に企業の倒産が始まった。


このはシンクロニティと呼ばれている。これほど大規模で同時に何かが起きる時、それは果たして偶然なのだろうか?


YouTubeにはたくさんの陰謀論の動画がアップロードされ、事細かに解説されている。そして、歴史を紐解きながら時をさかのぼれば200年以上前から貴族や王族のがあったことがわかっている。


インターネットはどこから生まれたのか?


電気のエネルギーを生み出す方法をどうやって考えたのか?


疑問は尽きることがない。始まりを知り、そして、その過程にいてこれから人類が向かう方向を知れば知るほど絶望に辿り着く。


日本にいる古物商の金鹿成人かねしかなるともYouTubeに動画をアップロードしているその一人だった。陰謀論者である。


古物商を営む金鹿は、子供の頃からコレクターだった。お菓子のおまけでついているシールを集め、アニメで見たフィギアを集め、とにかくなんでも収集していた。大人になってからもその収集癖は治らず、会社員になってからも給料のほとんどを収集するための資金としてつぎ込んでいた。


そんな金鹿が趣味がこうじて独立したのは40歳を過ぎてからだった。その頃から小判や世界にある金貨に興味を持ちはじめ、歴史を調べて書物を読んでいるうちに世界を動かしている支配者層に気づいてしまったのだ。


今の米国は政府とは別の組織が実権を握り、陰から政治を動かしている。それはディープステートと呼ばれ、政府や組織の内部の重要機関の中枢から操作している連中を指している。そして、今回の新型ウイルスでも金鹿は陰謀であることを疑った。


・中国から漏れた新型ウイルスは二種類あった

・WHOがマスクは無意味だと発表した

・世界中の国々が発表する感染者数と死亡者の数がおかしい


金鹿の目には世界中の政府の中枢部にいるスパイがディープステートを引き起こしているように見えた。そして、もしそれが本当だとするならば目的があるはずなのだ。

今、それを探り当てることに必死になっている。


ヨーロッパ諸国と米国で行われた強引な都市封鎖ロックダウンとベーシックインカムの対応が異常なほど早かった。まるですべてがわかっていて準備していたように感じた。


疑いの目を向ければ向けるほどすべてがウソっぽく見えてしまう。古物商の目が曇っていては真実は見えない。


その葛藤の最中、金鹿は次に起きることを考えているのだった。是が非でも真実を突き止めなければならない。


執念とも云うべき情熱で”今、世界で起ころうとしている変化”と向き合っているのだった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る