Main Story (4)
視点:会話のみのため特になし
状況説明:チアキがアスカに対して「アスカは真実が好きなくせして、その存在は全部設定という名前の偽りじゃないか」という台詞を言って別れた後、チアキとハイネの会話。
*
「うーん、多分だけどアスカも違うんじゃないかなぁ」
「どういう意味だよ」
「確かに俺らはチアキの深層心理やら何やらを核にしている。今まさにちーちゃんが抱いてる両極端な思い。でも、それと性格は違うっぽいんだよ。覚えてる? 昔、俺ってもっと爽やかでアウトドアな好青年だったこと」
「ああ。なんでこんな変態に目覚めたのか不思議だった」
「酷い言いようだなぁ。まぁ、俺もね、最初にこの世界に現れた時、どうやら自分は『チアキが好き』で〈エマヌエルの天使と悪魔〉であるってことを自覚してたんだ。アスカも同様だろうけど。で、実際にちーちゃんと一緒に生活しながら、実はこういう性格も設定とかいうやつで、全部偽物だと思ったら、ちょっとムカついてさ。それで、少し自分らしくないことをやってみたんだけど、そしたらこういう性格になった」
「……ハイネは嘘が好きだろ。偽りの自分とか演じてる自分とか好きじゃないのか?」
「好きっていうのは微妙に語弊があるんだけどね。説明すると長くなるから話さないけど、性格は自分の好きなようにやりたいなって思ったわけ。っていうか、俺、アスカほど極端じゃないつもりなんだけど。そもそも、一々そんな偽りの自分に自己陶酔して恍惚としてたら、俺はどんだけナルシストな奴なやつなんだよ」
「……まあ、確かに」
「その辺から考えてもアスカもね、素の性格から変わってるはずなんだ。どこでどう影響受けたのかは知らないけど」
「でも、アスカはつい最近現れただろ。変化する余地はないんじゃ――」
「でも、俺と同じようにアスカも最初からいたはずなんだよ。現れてないだけで。それは、俺が保証する。その間、彼女がどこで何を見てどういう風に変わったのかはわからないし、アスカ自身も覚えてないみたいだけど」
「……それは」
「ここからは俺の推測だけど、俺らはちーちゃんが好意的に思うような初期性格があった。でも、性格は後天的に変わる余地が残されていた。性格はともかく『チアキを好き』っていう部分は変えられないと思ってたんだけど、アスカを見ているとそれも違うのかも、とか思い始めてる。まぁ、これはまだ疑問が残ってるっていうか、別の可能性も思い浮かぶんだけどね」
「……なんで、ハイネはアスカをかばうようなこと言うんだ?」
「俺はアスカをかばうつもりないけど。むしろ、これは俺のためだけど。だって、アスカの性格が本物で、俺の性格も本物なら、ちーちゃんこの世界に未練を抱いてくれるだろう? そしたら好都合。ま、このまま逃げ続けてくれるのも好都合だけどね」
「……わかっちゃいたが、ハイネって相当、性格悪いよな」
「それは〈チアキ〉に文句を言ってくれよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。