Main Story (2)

視点担当:アスカ

状況説明:アスカとハイネで色々会話。


※1) アスカとハイネの会話はネタバレなので、「転」でチアキが世界の真実を知るように構成を組んだ場合、比喩を最大限に活用してぼかす必要あり。

今回はぼかさずに書いたもの。





「ねぇ、出会った時から思ってたんだけど、なんでアスカはちーちゃんが嫌いなの?」

「本質的に合わない」


 ばっさりとアスカは切り捨てた。


「そういうんじゃなくて、俺らはもともとそういう風に設定されているはずなのに、なんで嫌いなのかと思って。それは君も知っているだろう?」

「……ああ」


 苦々しく認める。


「人格はともかく、その根底部分は、俺らは変更ができないはずだ。俺らは、ちーちゃんを必ず好きになるようになっている。まぁ、ゲームの都合上だろうけれど」


 さらりと不愉快なことを言ってくれるハイネに、アスカは眉根を寄せた。


「百万人の命をかけたこの馬鹿げた審判をゲームとは少々不謹慎ではないか?」


 対してハイネは困ったようだった。


「君が真面目すぎるんだと思うけど……。まあ、話を戻すけど、嫌いな人間の意見を聞きいれたり、同意したりするのは心理的に難しいだろ? だから、ちーちゃんが俺らを受け入れやすいよう、俺らはちーちゃんのことを好きである必要があった。ちーちゃんに限らず、人は好意に弱いからね。でも、君はちーちゃんを好きどころか嫌っている。それが不思議でさ」


 嫌味でもなく純粋に不思議な顔をして問いかけてくるハイネ。


「そういうあなたもチアキを好きなように見えないが?」


 日ごろからチアキの兄として優しく振舞っているが、時折ハイネからはチアキへの殺意が垣間見えることがある。本当に、ごくたまにだが。多分、チアキは気づいていないだろう。


「失礼だな。本当に俺はちーちゃんが好きなのに。チアキは嫌いだけど」


 その言葉の意味の違いをアスカは明確に読み取る。

 ハイネは爽やかに笑いながら平然と言い放つ。


「だから、時折ちーちゃんの奥にいるチアキの影がちらついて、ちーちゃんを嬲りたくなるっていうだけ」


 まるで、夢や希望を目の前で打ち砕いてやり、その絶望に暮れる悲壮な顔を見て楽しむような残虐さがそこにあった。


 アスカは深々と溜息を吐きだした。


「……チアキのことは嫌いだが、あなたの台詞を聞くと、たまにチアキにとても同情したくなる時がある」

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