創作の原点 抹消されたキャラ

 小説で大成したい。これは紛れもなく本心だ。だが、執筆だけではなく、イラストを描いたり、ゲームを制作したりもしてみたい。

 Twitterである程度周回していると、絵師による漫画やイラストがあり、原作の知らない僕のような人間にも可愛く、面白いと感じるものが多い。とあるキャラクターをふと書いてみようかと思い立ち、普段は気取って、ほぼ万年筆しか使わないところを、久々にシャーペンに変えて、早速描いてみる。だが上手く描けない。仕方なく断念したのだが、脳内は遥か彼方に過ぎ去った過去を見ていた。

 小学生の頃から今も変わらず僕はポケモンが好きだ。ニンテンドーswitchを持っていないことから、既に引退したとも言えるが。かつての僕は活発に皆と遊ぶ一方で、読書やポケモンの絵を描いたりするというある種の二面性を早くも持ち合わせていた。友達に「○○描いて」とポケモンを指名され、職業画家のように描いたことも少なくない。自分の作品とまでは言えないが、そういったものを人に提供することが喜びに感じるマインドはここが起源なのかもしれない。


 かつてを懐かしんでいると、より懐かしい事を思い出した。

 HNKに、今も放送しているのかは知らないが、「ビットワールド」という番組があった。さんやバカリズムさんなどが架空のキャラを演じて登場し、様々なシリーズによって詳細は異なるが、これまた架空のモンスターや生物との物語を描く、子供向け番組だ。初代は知らないのだが、「ビーボ編」はそれこそ毎週金曜の夜18:20~18:54はそれに釘付けだった。当時、金曜の放課後は習字の習い事に通っていたので、それが終わり、帰宅し、晩御飯を食べてから、お風呂に入るまでをビットワールドに費やしていた。ドラえもん?クレヨンしんちゃん?いや、ビットワールドでしょ。


 この番組の優れた点は二つある。

 一つは「緊急生放送」と題して、作中人物に何らかのアクシデントが起きたことに、ゲームをリアルタイムで日本中の子どもといとうせいこう達が行う。謎ときやアクションゲームといったもので、生放送ゆえに、視聴者がクリアしても、いとうせいこう達は失敗することもあった。これは放送事故ではない。

 なぜなら、現在何人がプレイし、何人成功したかがテレビに表示され、そういった事になったとしても、視聴者の力で何とか助かったという優れたシステムになっているからだ。

 そしてもう一つは、モンスターを自ら考え、応募することで実際に登場するという仕組みだ。もちろん絶対に登場するわけではないが、応募者の名前・ハンドルネームは最後にまとめて紹介される。この僕を除いて……

 ビーボとはポケモンのようなものを想像してもらえればいいのだが、そのシリーズの時に、「テレびん」というモンスターを考案し、応募したのは夢ではなく現実の出来事だ。テレビに、ビンでできた手足があるという子供らしいアイディアだ。だからといって、さすがに抹消するのは違うでしょ……

 毎週今か今かと見ていた少年に大人はこういう事をすることがある。僕も気を付けたい限りだ。パソコンの使い方もよく分かっていなかったあの頃、親戚の伯母さんに教えてもらって、早くもデジタルでイラストを作成し、応募したというのに。それでもなお子どもというのは喜んで見続けるものである。

 これを読まれた方は良ければ実際にゲームをされてみてはいかがだろうか。僕も実際に覗きに行ったが、どうやらまだ放送してそうだ。

 オススメというよりかは思い出の共有となるが、僕の世代?は「脱出ゲームトーヤを救え」から「夢戦士 最後の戦い 諸君集結せよ」だ。特に「謎の虫博士からシャビを救え」と「最終決戦 Jからトーヤを救い出せ」は今でも放送当時の映像がよみがえってくるレベルだ。脱出とアクション。サイトが閉鎖されない限り、また何年・何十年後かにプレイするだろうし、何もかも思い出すことだろう。テレびんのことも……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る