第4話 2020年04月06日午前:一喜
朝起きて鏡を見ると酷い顔をしていた。
目は赤く充血、そして目の下には黒い隅。
そこに移った顔は間違いなく、病人の顔だ。
そしてその病気がただの風邪なのかコロナウイルスによるものなのか。
不安が顔に貼りついていた。
妻の顔を見ると目は赤くないが隈はできている。
私のせいで眠れぬ夜を過ごしたのだろう。
ただ外見ほどには症状は悪くない。
私は目の痛み、鼻づまり、喉にたんが絡んだ感じが若干あるが熱はない。
妻は36.8度と熱は低いが若干寒気がする。
お互い咳はほとんどでないが、たまに咳が出るたびにドキッとする。
子どもにはコロナウイルスは移り辛いというのは本当だろうか。
(後に子供間では移り辛いが、大人からは移ると知る)
子供ともう離れて暮らした方がよいのか悩む。
会社関連の上司には昨日一報は入れてある。
もし私がコロナウイルスに感染しているとなれば、大変なことになるだろう。
9時になり保健所相談センターに電話するも、一向に繋がらない。
たまに話し中でなく、コール音が聞こえることも有るのだが、出る気配はない。
不安のまま時間が流れる。
ダメ元でいつも風邪などで通院しているいつもの病院に電話してみる。
てっきり「保健所相談の後に来てください」か、「別の入り口から指定した時間帯に来てください」と言われると思っていたのだが、あっさりとマスクしていればいつ来てもよいです、との返事であり拍子抜けする。
予約なく飛び入りのため、非常に待たされる。
幸い激しくせき込んでいる患者はいない。
一人お爺さんが、予約していたのにどれだけ待たせるつもりだ!と怒り出す。
順番を抜かされた模様。
そんな言い方しなくてもよいのにとげんなりする。
1時間近く待ったであろうか漸く受診が始まった。
優しそうな年配の先生。喉は腫れているので、溶連菌の検査をするか尋ねられて検査もして貰う。
溶連菌もマイナスで、軽い風邪でしょう、との診断。
それで診察が終わりそうだったので、私から聴診器で肺炎でないかを確認してもらう。
聴診器の音も正常な音とのこと。
よかった。
本当によかった。
薬局で4日分の処方した薬を受け取り、軽やかな気分で一旦帰宅する。
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