2



この輝く日を浴びた木々の葉はきっと生き生きと輝いていることだろう。


海は雨が降ってもまだ行けるが、山には天気のいい日にしか行けない。



そんな山奥まで行くわけではない。


山の麓あたりと入口をぐるっと回るぐらいだ。


山に行くことを決めて、スマホを持ち、坂道を上った。




住宅街を抜け、田んぼのあぜ道を少し歩けば、林が現れる。


人工的に植えられた杉は、程よく間隔をあけて並立し、道の両脇を固めていた。


草が抜かれ、整備された道をザクザクと土踏みながら歩く。



木漏れ日が降り注ぐ中、胸いっぱいに空気を吸う。


木の香りが体内を巡り、心も体も洗われていく気がする。


どこからか、チチチと小鳥の愛らしい鳴き声が聞こえ、思わず顔が綻んだ。




風が吹き、

さああと木の葉が揺れる音が

頭上から降り注ぐ中、

履きなれたスニーカーで歩いて、

ゆったりとした時間を楽しむ。




子供の頃は、夏休みにここに来ては虫取りをしたり、大きな川で水遊びをしたりした。


山の中にある白蛇しらへび神社の境内ではかくれんぼをしていたのだが、

いい隠れ場所を知っていたせいで絶対に見つかることがなかった。


神主にめちゃくちゃ怒られたのも、

今ではいい思い出だ。




歩けば歩くほど懐かしい思い出の数々がよみがえる。



ふと、どこからか歌が聞こえてきた。




「へーらーせ、へーらーせ。

のこりしもーのがまことなり。」




どこか聞き覚えのある童歌だ。



(なんだったっけ…。子供の頃よく聞いたような…。)



その歌のことを必死に思い出そうとしているうちに、分かれ道にたどり着いた。



左右に湾曲しながら道が延びている。



今は昼の11時。



まだ時間に余裕があるので、もう少し先まで行ってもよさそうだ。




左の道を上って行った先には白蛇神社へ、

右の道を下っていけば川にたどり着く。



さて、どちらにしようか。




A白蛇神社へ行く→3

B川へ行く→20

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る