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窓から差し込む光で目が覚めた。

そういえば、

昨日の天気予報では晴れと言っていたっけ。



斜面に立つ南向きのこの家。

高い位置につけてある窓から、朝日が良い塩梅で入り込む。



穏やかな光が体を包み込み、母の腕の中にいるような心持ちである。


のびをすれば胸いっぱいに空気が入り、頭がすっきりとした。


そのまますっくと起き上がり寝床から出て着替える。



普段はこんなにすっきりと目覚めたり、寝起きすぐに行動することなんて出来ない。


2連休の初日で心が軽くなっているのが一番の理由だろうか。


気分も良く、体の動きもいい。

これは、目に映るものすべてが輝いて見えた子供の頃以来だ。


歯磨きをしながら、子供の頃に思いを馳せる。



悠然に構えた山と澄んだ海とが囲む、

ここB県C群で生まれ育った自分。



豊かな自然に恵まれたC群では、

遊びはもっぱら外遊び。



田んぼの蛙を友達と追っかけまわしたり、

夏には海水浴、

山に行くなと怒る大人に黙って森に入り、

虫取りやかくれんぼもした。



山の中には白蛇しらへび神社という神社があって、

その境内でかけっこをしては怒られたのも

今ではいい思い出だ。



商店街にはおばあさん1人で切り盛りする駄菓子屋があって、よくおやつを買っていた。


その隣にある、夫婦が営む山内クリーニングという店には母とよく行ったのを覚えている。




一度思い出したらキリがない。

無くしたと思っていた童心がむくむくと膨らんで、遊ばせろと駄々をこね始めた。




天気も良く、体調は絶好調。

大人になった今、子供の頃遊んだ場所を散歩してみようと思った。


大人目線で見れば、また違った景色が見えるかもしれない。



そうは言ったものの、どこに行こうか。


商店街はもうすっかり寂れてほとんどシャッターがおり、見るようなところもない。



それ以外で、はやる童心を満足させられるような、懐かしい場所…。


そうすると山か海かの2択になる。



時刻は10時。


この時間では、両方に行くことは難しい。


少し考えて行き先を…




A 海に決めた→9


B 山に決めた→2

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